第2話:はじめまして
ご愛読ありがとうございます。
第2話となります。
強引な展開が続くかと思いますが、ご容赦願います。
最後までお読みいただけますと幸いです。
魔属領パタゴニア。
その首都、魔の都エストラーダにある王宮。
今夜ここで、ある夜会が開かれる。
「皆様、ようこそ、おいで下さいました。記念すべき第2000回目の『ヴァルプルギスの夜』を開催させて頂きます。今夜の会は、わたくし、『時』のエルニドこと、アルバン=エルニドが取り仕切らせて頂きます。」
白髪で眼鏡をかけ、身なりの整った紳士が声を上げる。
「今宵は特別な夜。100年に1度、この“エターニア”に新たな魔の王を迎え入れる大切な日。儀式の前に、まずは盛大に、乾杯と致しましょう。高貴なる魔の民の更なる栄えに、乾杯!!」
乾杯の号令と同時に、会場から声が上がる。
2000回目の「ヴァルプルギスの夜」が始まった。
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(ここは?)
真っ白い空間。以前にも来たことがあるような…。
夢…?で来た場所だ。
《告:ここは、黄泉の領域。これから、転生の儀を開始致します。》
やっぱり死んでしまったのか。
先ほどまで感じていた痛みが、嘘のように消えている。
これも夢なの?どこから夢なの?
《告:これは、夢ではありません。これから、転生の儀を開始致します。》
また無機質な声が頭に響く。
夢じゃないのね。
うん?転生?生まれ変われるの??
生まれ変わったら、今度は自分に正直に、従順なM男として生きたいんだけど。
《告:神堂ユラ様。願いは既に3つ承っております。》
ほう。俺は、既に願いを3つ言った、と。
…何だっけ?
《告:これから、転生の儀を開始致します。》
辺りが、より一層白く、明るく包み込まれる。
え!ちょっと待って!!もう少し聞きたいことが…。
《告:これから、転生の儀を開始致します。》
あ…この人ダメだ。聞いてくれない人だ…。
光は次第に強くなる…。
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宴もたけなわ。
白髪の紳士エルニドが告げる。
「皆様、お待たせ致しました。これより、『サモン・ドゥ・ロード』の儀を、執り行わさせて頂きます。生贄台に注目してください。」
開場の中央にある生贄台を囲むように、大きな魔法陣が描かれている。
「サモン・ドゥ・ロード」は、新たな魔の王を呼び起こす儀式である。
「今回お仲間となる魔王は3柱。先の人間族との戦いで、新鮮な魂が3万個ほど集まりましたので、ありがたく供物として捧げさせて頂きます。」
エルニドが両手を広げ、参加者の注目を集める。
「それでは、皆さま。サモン・ドゥ・ロードを開始致します。」
生贄台を囲むように描かれた魔法陣が薄暗く光り、それと同時に供物として用意された魂が悲鳴を上げた。
魔法陣の光りが強まる中、陣の中央から4柱の影が現れる。
「新たに私たちの仲間となる、3柱の魔王の誕生です!」
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光が弱まると、石段の上にいた。
辺りを見渡すも、うす暗くて…よく見えない。どこ?ここ?
周りに3人のヒト?がいるのはわかる。
「新たに仲間となる、3柱の魔王の誕生です!」
近くで白髪の男性が声を上げ、すぐに困惑し始める。
「あれ?4柱?そんなはずは…。」
少しずつ周りが見えてきた。
どうやら何かの集会のようだ。
沢山の…ヒト?頭に角があったり、得体のしれない生物もいるが…とにかく、沢山の何かに見られている。
俺の横には、3人のヒト?がいる。一人はすごい美人だ。踏まれたい。
「御呼び頂き光栄で御座います。私はノエルと申します。大魔王エストラーダ様より、『炎』のオリジナルスキルを頂きました。『炎』のノエルと御呼びください。」
横にいる1人、筋肉質な高身長イケメンが挨拶をする。羨ましい。
「僕はクランメ。エストラーダ様から『霧』のスキルを頂いたよー。よろしく!」
となりのちびっ子が続けて挨拶をした。
「私はアーシェ。『白』のアーシェ。」
美人が簡潔に挨拶。
アーシェという名前らしい。可愛い名前だ。
スラっと伸びた手足がお美しい。
お近づきになりたい。
盛大な拍手が響くなか、周りの視線が俺に集まる。
「えっと…、はじめまして、ユラです。」
スライムの方への憧れがあり、システムリスペクトが過剰かもしれません。
ご容赦を頂けますと幸いです。