第1話:転生
神堂ユラ。
大学で映像を学ぶ20歳男性。
これは、よくある異世界転生の物語。
マナと魔法の世界”エターニア”。
この世界は豊富な「マナ」に溢れ、嘗ては精霊神の下、精霊とヒト達が幸せに暮らしていた。
「マナ」は、時にヒトに精霊の力を与えた。
ヒト達はその力を使い、この”エターニア”に文明を築いてきた。
ある者は種を創り、ある者は国を創り、またある者は文化を創った。
一方で、「マナ」の力に溺れるものも現れた。
その者は、この世界を統べるために「マナ」の力を利用した。
世界に溢れる「マナ」を、自らのものにしようとした。
それに激怒した精霊神は、その者から「マナ」を取り上げた。
しかし、その者は、既に十分な力を手に入れていた。
その者は、その力から「魔素」を産み、魔族・魔物を創り出した。
その者は”魔王”と呼ばれる存在となった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(ここは…?)
真っ白い空間に、俺、神堂ユラが一人ポツンと立っている。
(…夢?)
ハッキリしない意識の中で、無機質な声が響き渡る。
《告:神堂ユラ様、本日“エターニア”への転生の儀において、願いを3つ承ります。》
真っ白な空間に光が差し、その光は徐々に強くなる。
あまりの眩しさに、僕は思わず目を閉じ…そして目を覚ます。
・・・
・・
・
チュン、チュチュン。
「朝か。」
カーテンの隙間から眩しすぎる朝陽が差し込んでいた。
「変な夢をみたな。何だったんだ、あれ?エターニア?『転生』とか言ってたな。」
『転生』とは、ここ最近流行っているネット小説やマンガで話題の題材らしい。
クラスメイトの間でも話題で、その会話の影響が夢に出たのか?
僕はマンガや空想に興味はないんだが。
「どうせなら、もっと景気のいい夢を見させてくれよ…。」
女の子に踏まれる夢とか、えっちなお姉さんに襲われちゃう夢とか、さ…。
そう、僕は健全なM気質男子(通称:M男)だ。
空想話なんかより、やはり女の子(可愛い)がいい!!
ま、経験はないから、これも想像なんだけど…。
「そんなことより、お店に行かないと!」
そう。そんなことより、今日は大事な予定がある!
わたくし、神堂ユラには崇高な趣向がある。それは大人なDVD集め。昨今、動画サイトで簡単にダウンロードができ、違〇な海外サイトで見放題なのだが、やはりパッケージを集めることこそ至高だ。それは女優・監督さんへの敬意にも繋がる。その中でも、今日は特にお気に入りの《女子〇生にとことん踏まれてみたシリーズ》の最新作の発売日。買わないわけがない。
意気揚々と、家を出る。
・・・
「ありがとうございました。」
店を出る。
買いました。AVの購入も、もう慣れたものだ(内心はどきどきしたが)。
いやぁ、もうね、パッケージが素晴らしい!何というか、このパンストの艶めかしい感じ?
素晴らしい!踏まれたい!早く見たい!
期待に胸を躍らせ、スキップしながら帰路につく。
俺も、こんな素敵な映像が作れるような…
その時。
キキッーーーーーーーーーーー!!
耳をつんざくようなブレーキ音。
…作れるような創作活動がしたいなー。
ドン!
《告:1つ目の願いを承りました。オリジナルスキル「創造」を獲得しました。》
衝撃音とともに、全身に強い痛み。
あれ?俺、跳ねられた?
だんだんと、意識が…遠のいて…いく。
…誰か、救急車…。
…痛みで力が入らない。まさか、このまま死ぬ?なんてことはないよな…?
…こんなことなら、家で大人しくダウンロードしておけばよかった。ってか、やばい!俺の宝物達(大人グッズ)を隠したい!!このままじゃ、社会的に死んじゃう!!
《告:2つ目の願いを承りました。スキル「秘匿」を獲得致しました。》
…うん?何?今の声。「秘匿」?
…あぁ、まあいいや。…本格的に頭がぼーっとしてきた…。
…色々やりたいこと、あったんだけどなぁ。結局、童貞だし、エッチなお店とか…行きたかった。女の子に踏まれたり、イケないこと、されたかったなぁ…。
…もし…生まれ…変わ…れるなら…ちゃんと…従じゅん…な…M…お……
《告:申し訳ございません。願いを聞き取ることができません。もう一度仰ってください。》
《告:申し訳ございません。願いを聞き取ることができません。もう一度仰ってください。》
…
《告:神堂ユラ様。願いを聞き取ることができなかったため、こちらで最後の言葉「従順」・「Mお」より、解釈・判断致します。》
《…従順…従える?…しもべ?…Mお???…まお??…魔王?……………》
《告:神堂ユラ様。3つ目の願いを承りました。称号「魔王」を獲得致しました。》
…
…魔王!?
かなり強引な展開となり申し訳ございません。
頑張ってここから面白くしていきます!
どうぞ末永く、宜しくお願い致します。