表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/94

激闘編(終)/宴のあと

アルフレッド王婚約記念武術会は、西大陸からの使者『貴鷹騎士団』の優勝で幕を閉じた。

黄金都市を丸ごと巻き込んだ宴会の余波は、閉会から3日ほどが経っても冷めないままだ。

最終的に、賞金総額は5億に少し足りないほどの金額になった。

女帝は「寄付とかするか悩んだ」と正直に口にしたが、

アルフレッドは気にせず持ち帰るように言い聞かせた。

同情などではない。

武術会の最終日に行ったエキシビジョンマッチでの健闘ぶりを称えてのことである。

気合い入りすぎ(本人談)で『王の力』を全開にした黄金王の無茶な戦いに負けじと奮闘する、

異国の騎士たちの大暴れは、会場を満たし続けた観客の記憶にしっかりと刻まれるものだった。

武人とはかくあるべし、とコルトシュタイン議会が盛り上がり、

昨日の会議でついに、旧自衛軍の面々が正式に国防の役割に復帰することになった。

しかし……良いことばかり、とはいかないのが世の常である。

「ふられちゃっいましたね、陛下」

「勘弁してくれよ、クリストフ……俺はもともと、そういう役回りだったんだから」

西の大国を率いる女帝の求めた『副賞』は、黄金王の予想の斜め上をゆく代物であった。

ジェシー=ヴェントとニーナ=ファーウィンドの将来について、である。

二人にはその場で冒険者の資格を与え、『剣の帝国』への留学を許可した。

それは一言で言えば、黄金王と『翠の』ニーナの婚約をぶち壊しにする願いであった。

優勝者の権利としてどうしても、と願われれば、叶えないわけにはいかなかった。

婚約記念という看板を上手に壊してもらった恩に報いるべく、

『剣の帝国』に同盟を申し込んである。

「まあ、私は文句ないですけどね……ニーナ嬢もうれしそうだったし」

「俺のダサいのについては」

「ノーコメントで」

ヴィルヘルミナの願いで公然とふられる格好になってしまったアルフレッドだったが、

個人的にはジェシーの勇気を引き出せたことに満足もしている。

言うべきことを言うべき場で叫んでみせた少年を、少しは見習わねばならない。

「でも、……ちょっと、かっこよかったよ、アルフレッドさま」

ジェシーはニーナ=ファーウィンドに婚約を申し入れた。

騎士の礼はみようみまねだったが、将来の義父が思わず拍手するほど堂々とした態度であった。

仕方がないから譲ってやる、というようなことを衆人環視の前で言ってのけた王の姿勢を、

『金の』ニーナは褒めている。

「そうか……?」

「うん」

これから自分が結婚についてどうするかを発表する気がない以上、

過日のカッコ悪い姿の記憶と評判が国民から消えることはないだろう。

そんなことは別にどうでもいいのだ。

武術会は無事終わった。

慈善オークションの準備も滞りなく済んだ。

「もう少しだ」

「あ、王……、オークションにはルイン殿も参加するらしいのですが」

「やっと堂々と勝負できるな」

「はい。打ち負かしてやってくださいね」

二人の側近から寄せられる信頼が心地よい。

うららかな秋の午後である。

2019/8/16更新。

2019/8/17更新。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ