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激闘編(16)/戦士の宴(16)

「さあ、武術大会も残すところあとわずかとなりました! 観客の皆様、最後までお楽しみいただければ幸いでございます!」

5日目に入っても、観客たちは飽きることなく声援を送り続ける。

まずは2回戦の最終試合からスタートだ。

「1回戦を幸運な不戦勝で勝ち上がりました、『夜の眷属けんぞく達』!

 予定外の参戦で選手たちの厚き壁となりうるか? コルトシュタインが誇る精鋭部隊、『金鞘』!」

リコシェとダガーを欠いて組織された『金鞘』には、非常勤としてクレシダとクロウが編成されている。

『夜の眷属達』のメンバー3人は、組織の解散後に行方不明となった者達だ。

もと暗殺組織の精鋭たちが再会する構図ともなっている。

今の力をご覧に入れたいというラルフの求めに『金鞘』が快く応え、勝ち抜き戦を行うことになった。

ラルフは珍しく真剣に戦ったクレシダとクロウを苦戦しつつも撃破し、

「ラルフ選手、強い! 一体どんな経験を経て、この地に戻って来たというのでありましょうか!?」

休むこともなくブルーベルに真っ向勝負を挑んだ。

「お帰りなさい。何も言わずに消えたのは頂けないけれど」

「申し訳ありません。私どもの放免を直訴してくださったそうで」

「その価値があると思ったから、王にお話しただけよ――じゃ、ちょっと遊んであげようかしらね」

妖魔族は2本の短刀を巧みに操り、闘技場の広さを活かして縦横無尽に動く。

蒼く燃える燐光が、ラルフの剣と打ち合うたびに美しく火花を散らした。

長い応酬の末、「捕らえた!」

魔法戦士の剣が確信をもって振り下ろされる。「遅いわよ、ラルフ?」

恐るべき速度で彼の背中をとったブルーベルの刃が付き付けられ、ラルフは勝負をあきらめた。

――。

ブルーベルの奮戦ぶりたるや、筆舌に尽くしがたい勢いであった。

3人の精鋭を連続ノックアウトした後では、さしもの妖魔も吸血鬼の手並みの前に敗北を喫したが、

会場からは惜しみない拍手が送られた。

続いて、遮光眼鏡をかけたルインの眼が、金龍の娘をとらえる。

「ニーナか。お前の力に気づいてさえいれば、『私』も変われていたのか?」

「あなたは、道を間違った。でも、戻って来た。それが……すべて」

今はこの場を楽しもうと言って、ニーナが大剣を鞘払う。

頷いて同意したルインが、吸血鬼の剛腕で矛を構えた。

金色の気炎を燃やしたニーナが躍動する。

軽々と振り回す大剣は闘技場の床を撃ち砕き、素早く立ち回る吸血鬼に迫る。

「おいおい……思い切り親子喧嘩をさせてやろうとか言う気遣いはないのか」

「全然。かっこいいとこ、見せてあげるんだ」

「ちっ! 小娘が!」

おとなしく負けるだけでは腹立たしいと言いたげに、防戦一方のルインも大胆な攻撃を仕掛ける。

金龍の娘の戦闘能力は、それでも吸血鬼を上回った。

気合いを込めて振り下ろした矛は……。

「……は?」

軽く払われた大剣の前に、無残にも砕け散った。

吸血鬼ルインは「やってられるか!」という一言を残して、闘技場から姿を消してしまった。

2019/8/9更新。

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