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激闘編(15)/戦士の宴(15)

第1試合の興奮も冷めやらぬまま、午後を待っての第2試合が開かれた。

南大陸の現状は、他の大陸に伝わることがない。

世界中を巻き込んだ大戦争の名残が大地の傷として深く残り、

かの地にこびりついた血と硝煙の臭いは、決してすすがれることがないと言われている。

だが……。それはあくまで、大戦直後のこと。

魔境から亡命先を求めてやってきた5人は、あくまで明るく陽気だった。

猫の耳に狼の尻尾を持つ少年は、酒瓶さけびんでジャグリングを披露しながら現れた。

右腕を鋼でこしらえた青年の肩には、宝石を頭に乗せたリス、カーバンクルが乗っている。

ひょいと飛び降りて煙に身を包むと、幼くも美しい少女に早変わりして会場を驚かせた。

黒いローブで全身を覆った二人の人物が『ぬぅっ』と現れて、これが『異形の騎士団』である。

「本日の最終試合、続いては『白牙傭兵隊』の入場です!」

過日の試合ではレオンの肩から動こうともしなかった小人族が、上機嫌で姿を現した。

地元の女性客の、羨望のこもったあこがれの眼差しを余裕で受けている。

続いて次々と闘技場に上がる『白牙』の面々に、様々な思惑のこもった歓声が贈られる。

遅れて賭けに参加したグエン=ファーウィンドが、ここ一年の儲けの全額にあたる金額を、

『白牙』に賭けたせいもあるだろう。

ニーナは呆れて言葉を失ったようだったが、

これに燃えたのがホワイト・ファングとジェシー=ヴェントだった。

交代制の変則タッグマッチを提案して承諾されると、すぐに夢中になって戦った。

ジェシーの身体に眠っていた『剣鬼』の血がようやく目覚め、彼を一端の戦士に導いていた。

瞬間移動や幻影、5本の鎖の先に刃をつけた武器など、

風変わりな戦法を駆使する『異形の騎士団』に真っ向から勝負を挑んだのだ。

長時間の奮闘の末、最後は『異獣いじゅう』を自称する少年レミギウスと、

『霧のプリンス』が戦う事になった。

「やー、おたくら強いねぇ、うちら噛ませ犬みたいなもんやない?」

「なんか端折はしょられたみたいだけど、君たちもすごかったじゃないか」

レオンは激しい剣試合を演じて倒れたジェシーと、鋼の手の青年ゼストを起こしながら応じる。

ニーナとホワイトファングがのっそりと起き上がり、それぞれの相手を同様に助けて場外へ下がった。

「おたくはどーすんの? とーぜん、降参とかはしてくれへんよね?」

「嫁さんに愛想尽かされたくないんだ。付き合ってくれないかな」

「わ、わ、わ。そういうことなら、ええよー。うち、強いやで?」

レミギウスは弄んでいたボールをぽーんと客席に放り上げると、「ほな行くえ!」

高く跳んだ位置からの急降下を見舞う。その背には龍の翼が生えている。

澄んだ音を響かせて鋼の爪を受け止めたレオンは、そのまま剣で反撃に出る。

傷つかない戦いを信条としていた今までの彼とは全く違う、

真摯しんし清冽せいれつな戦いぶりは、警備隊の事務畑で活躍する兄の手際を思わせた。

「くっそぉ、参ったわぁ~!」

決着は夜の篝火かがりびの中。

汗にまみれた『霧のプリンス』の笑顔が赤く火照っていた。

2019/8/8更新。

2019/8/9更新。

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