激闘編(5)/戦士の宴(5)
「大変長らくお待たせいたしました! 午前に引き続きまして、第3試合を行います。本日最後の試合となります、奮ってご声援いただけますよう!」
3日間の予定を半ば強引に7日間まで伸ばしたために、一日に行う試合数にもばらつきが出てしまっている。
運営側の不手際だが、そんなことを気にする暇があったら応援と賭けに集中したい、
というのが観客の心理だ。
街全体を覆う熱狂が、大会運営そのものを助けていた。
「第3試合は、ゲストチーム同士の対決となります! 西大陸を南北に隔てる大渓谷より、はるばる遠征に来た戦闘民族――『ドラゴンスケイルズ』!」
昼食休憩を挟んでも興奮さめやらぬ観客席から、轟くような歓声が響き渡る。
龍の鱗から作った鎧で全身を覆った5人が、陽気なしぐさで槍や剣を振り回し、会場に応えてみせる。
「対しますは同じく西大陸より……奴らが出るなら俺らも出る、と息巻いて参戦、『大渓谷の狩人』!」
鷹や隼といった猛禽類の特徴を持つ、鳥人族の中でも戦いに優れた部族たちだ。
背中の翼で派手に羽ばたいてみせ、蜥蜴人に対抗している。
「蜥蜴人と鳥人族の対決である。勇猛なる戦士と優れた猟兵の立ち回りをご覧あれ」
彼らは律儀にも一対一の勝負を選んだ。
大きな得物を軽々と振り回す蜥蜴人の戦士たちに対して、
一撃離脱や上空からの射撃など、距離を絶妙に操る戦法を見せる鳥人族。
陽気で単純な戦士とキザでクールなイケメンというわかりやすい構図も相まって、
第3試合は大いに盛り上がる。
「おのれキザ男! 堂々と勝負をせぬかっ!」
『スケイルズ』の大将ウォーレンが、苦戦を強いる相手に芝居がかった調子で吠える。
「おれの迫力の前には、誇り高き隼も小鳥に変わるのか!?」
「聞き捨てならないな、トカゲ! それに――」
闘技場をすさまじい速度で飛び回り、弓の連射を浴びせていた鳥人が、
よく通る声で応じて素早く地表に降り立った。「私は女だ! そのギョロ目は節穴かっ!?」
飛翔する際につける、嘴を模した仮面を脱ぎ捨てると、腰に刷いた二振りの細剣を構える。
「おおっと! 鳥人族の戦士クウィラスは女性でありました!
緋色の髪をなびかせて疾走する速度は圧巻でございます!」
実況席から飛ぶ賛辞も意に介さず、クウィラスが走る。
「むぅん!」
と気合を発したウォーレンが、死角から放たれた剣を大槍で弾き落とす。「どこに消えた!?」
ここだよ、という声は――、
「なんとぉー! クウィラス選手、ウォーレン選手の大きな肩に立っております!
妖しく艶やかな微笑、映像ではお伝えしきれるものではありません!」
彼の肩から聞こえた。
鋭い剣が首筋に突きつけられている。
「……これで勝負ありかな? トカゲの戦士どの」
挑発的な口調に気圧されたように、
「愉しき戦いであった……!」
蜥蜴人の大男が槍を捨てた。
二回戦の対戦カードが一組、決まった。
2019/8/2更新。




