激闘編(3)/戦士の宴(3)
ついに迎えた大会当日。
出場者や観光客で予想以上に膨れ上がった人口を収容すべく、
魔界の技術と人員を借り受けて建築した巨大スタジアムは、見事に満員御礼となった。
この建造物が安定して空中にある理屈はわからない――深く考えてはダメな気がした――が、
客が多すぎてイベント中止、などという目も当てられない事態を回避できた。
概略の簡単な説明を兼ねた、派手めの開会あいさつで観客の心に火をつけた後は、
アルフレッドも観戦者の一人として席についた。
あとは出場者たちが大会を盛り上げてくれる。
ちょっと都合のいい期待は、過たず叶えられることになるだろう。
世界各地から集まってくれたゲスト50名による10チームと、地元枠の30名、6チーム。
試合はトーナメント形式で進み、
最終的には17番目のチーム――クリストフ率いる“金鞘”の打倒を目指すことになる。
決勝の後にはエキシビションとして、アルフレッドが単騎で優勝チームと勝負する機会も設けられた。
“王の裁量で願いを叶える”という優勝の副賞は、議会の議員が知恵を絞って提案してきたものだ。
遊びの域を出ない、とか堅いことを言ってくるのかと思えばそうではなく、
彼らもとても真剣に武術大会について討議を行ってくれたのだった。
戦うなら楽しんでもらうべきだとの全員一致の意見を受け入れ、
勝敗に関わらず100万ゴルトほどの賞金を持ち帰ってもらうことにした。
勝てば勝つほど金額が増えていき、最終的には3億にまで到達する。
民間のトトカルチョも許可され、主催者側が把握できない(把握しない)資金の流れもできることになる。
グエンによる統制が速やかに解かれた市場で、どれだけのお金が動くのかは、
アルフレッドですら想像もできない。
当初は3日間の予定だったが、7日もの日程を確保して、皆で楽しく大騒ぎすることになった。
魔界からも何人か参戦するかもなー、と王は考えていたが、これは何故か提案される事すらなかった。
観客向けの実況と解説を、スゴロクとその側近ロデルが二つ返事で引き受けてくれた程度だ。
「お客様には席をお立ちにならないようお願い致します!」
と愛らしい声の呼びかけが響く頃には、魔法金属で作られた闘技場に初戦の対戦者が姿を見せた。
第一試合は『北海水産』対『昔取った剣』である。
双方が冗談みたいなネーミングだが、事前に行った模擬戦ではかなりの実力を見せていた。
北大陸の戦士ソウエンの息子トーマを始め、北大陸の海岸沿いから集まった5人の半獣人と、
コルトシュタインが誇る元気なおじさま達の対戦だ。
躍動する若手を相手に奮戦し、大将戦まで持ち込んだものの、
ウォルト=ケネスのぎっくり腰による不戦敗という間抜けな結果に終わった『昔取った剣』にも、
惜しみない拍手と参加賞100万ゴルトが贈られた。
「まだまだ老け込んでいる場合ではございませんな!」
というマクシミリアン会頭のコメントが、アルフレッドの印象に残った。
2019/8/1更新。




