表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/94

日常編(6)/暗闇を払って(3)

アルフレッドはひとしきり謝ってから、改めて尋ねた。

「警備隊はどうだ? 期待できそうなのか」

狂言暗殺騒動での活躍が認められたジェシー=ヴェントが正式に警備隊に加わり、

ニーナ=ファーウィンドはますます職務にまい進していると聞く。

巷では、お堅い公務員というよりは、警備隊のアイドルとして人気なようだが。

「んー、隊長さん始めエリート集団なのは間違いないからね。実力はついてると思う」

「あの隊長……すごいよ」

自分はよい人材に囲まれているようだ、と王は思う。

優秀な人材をそろえ、適所に配置しているから、他の国もうまく行っているのだろう。

「引き続き鍛えてやってくれ」

「ん、わかった。それで王様、本題は? 調子伺いだけじゃないでしょうよ」

「顔にでも出てたか」

「そんなもん。貴方は素直なひとなんだろうし」

「むぅ」

いいことだよ、と笑ったクレシダは「何を聞きたいの?」と居住まいをただす。

髪を複雑な形に結び終えて上機嫌なのもあるだろうか。

「義賊事件のことだ」

「他の刑事さんに全部お話しました。話す事はございません」

確かに報告書は読んだ。

狂言暗殺の影に隠れる形になったとはいえ、自分の耳で確かめておきたいこともある。

暗殺組織にまるごと特赦を出そうと言うのだから、

この二人を始めとする『義賊』の子どもたちを、同様に救いとらないわけにはいかない。

「だから帰ってくれ、とか言うなよ。あと刑事って何だよ」

「ま、いいから。それで、何が知りたいのさ」

「誰に頼まれたか」

「……何のこと?」

「今さらごまかさなくたっていい。特赦は取り消さねぇよ――俺が真相を知りたくてむずむずするってだけだ」

クレシダは、改めて王を値踏みするように見つめた。

「驚かないでね――僕らにひと暴れするよう仰ったのは、ウィルフレド様だよ」

やっぱりかぁ、と王が天井を見上げる。

「まさか、続けてあんなことになるなんて事までは、親父も見通せてなかったろ?」

「うん。自分の残した禍根かこんでアルフレッドを苦しめてしまったって、お嘆きだった。

 自衛軍の問題とか治安維持をどうなさるのか、試してみたかっただけみたい。

 あとは、議会と民の意見が食い違った場合どうするのか、とかね」

治世を続けて行けるかどうかの、先王からの実地テストといったところだったのだろう。

事情を聴いた今なら、ちょっと担いでやろうか、

という悪戯心までが透けて見えてくる。

自分は改めて父の事を敬愛しているのだな、と自覚する。

「親父は何て言ってた?」

「その後の暗殺の芝居ふくめて、悪くなかった、ってさ」

「ん、わかった。しばらく好物の酒は送ってやらんと伝えてくれ」

少しは仕返しをしてやらないと気が済まない。

大爆笑するクレシダ達を残して、王は部屋を出た。

2019/7/17更新。

2019/8/31更新。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ