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前夜(14)/暁(2)

午後を待って、クリストフは城下町へ向かった。

気まぐれでも起こしたか、「やはり共にゆこうぞ」と言った魔王も一緒だ。

美しさがそのまま形になったかのような容姿が目立ちすぎるかとも思ったが、

“銀エルフだったらあり得なくはないか”と思えるくらいの格好に早変わりしてみせたから、

面白いやら恐ろしいやら……。

とにかく、そんな魔王スゴロクと歩きながら談笑しているうちに、

クリストフにとっては懐かしくも、異世界かと思うほど遠かった城門前に到着した。

4つの小さな塔を持つ四角い建物の、堅い印象は相変わらずだ。

警備員の募集を行う臨時の試験会場は、門を入ってすぐの中庭に設けられていた。

人当たりのいい笑みを浮かべて受付業務を行う係員に、

思わず「お久しぶりです」と声を掛けそうになってどうにか止めた。

レオンの兄リチャード=ケネスだ。21歳、既婚。

顔を見たことは数度しかないが、当時からとても大人びて真面目な青年だった。

伊達眼鏡だてめがねをかけるようになったらしい。

少し神経質で真面目きわまる表情の美貌はそのまま、丸眼鏡の奥の瞳が穏やかになったように見える。

城の警備員に応募したい旨を伝えて必要事項を記帳すると、そのまま試験を受けることになった。

世間は狭い。

試験官を担当していたのは王立学校の同期、エリシヤ=レングズであった。

コルトシュタイン商工会の会頭を務めるマクシミリアン=レングズの末娘だ。

学生時代から人を見る鋭い目を持っていた。魔王の正体を訝ったほどで、そこは相変わらず。

デスクワークが好きだと言っていたとおり、武術の腕前はクリストフの方が上だった。

刺突剣技を見せるとバレそうだったので苦労したが、

どうにか警備員として城に上がることを許された。

若干名の募集だったらしく、一挙に2名の合格者が出た試験会場は、少しどよめいていた。

詰め所を案内された後は、いよいよアルフレッド王との面会。

遠目に見た戴冠式たいかんしき以来だ。

「緊張すると却って怪しいぞ」

「わかってるってば」

深呼吸を何度かするうちに、少々しわがれているが威勢のいい声で「次の者!」と呼ばれる。

自分達の後には一人だけだが、あまり長い話をする時間はない。

まずは実績を上げて、王と親しく話をできるようにならねば。

その後のことを考える余裕は、今はない。芝居の脚本も煮詰めずに来てしまった。

魔王が「どうにかなるだろう」と気楽に構えているので、

悪いことにはならないだろう、くらいの気持ちでいることは出来ている。

玉座の間に通された。

アルフレッド王は玉座の手前に膝を崩して座っている。

盗まれたと言うのは本当らしく、その金髪の上には王冠がない。

「おぉ……君たちは特に強そうだな……エレジュというのは君か」

即席で考えた偽名を呼ばれ、クリストフが跪く。

「腕には自信がございます、陛下。お役に立ちたいと切に思っております」

スゴロクと申す、とだけ名乗った魔王には何か考えがあるのだろうが、

クリストフは深く考えないようにした。

魔王のたくらみなんて、とんでもないことに決まっている。

2019/8/22更新。

2019/8/23更新。

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