1話-5 翌日の教室にて
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6限目の授業が終わり、ホームルームが始まる。周りが騒がしくなり始めた。
女はそんな周囲の音を遮断するように机に伏せながら、ただ一つ誰もいない前の机を気にかけていた。
滅多なことでは休まないはずの友人が、何の前触れもなく欠席している。
普段は早退する彼女もその理由を知るために、珍しく最後まで授業を受けていた。しかし、何の情報も得られていない。
そして、こっそり家の近くまで行って確認しようかとでも考えていたその時、信じがたい言葉が女を襲った。
「…出光さんはしばらく休学するそうです。」
「……え?」
思わず耳を疑った。
「それじゃあ、気をつけて帰りなさい。」
教師は扉に手をかける。
女は急ぎその後を追った。
「おい!どういうことだよ⁉︎」
背中に向かって叫ぶ。
その声に、教師はゆっくりと振り返った。
「どういうことって?」
「夜乃の休学だよ!あいつ、まさか病気にでもかかって…」
女はそこから先を言うことは出来なかった。自分に対する静かな怒りを相手の目に感じたからだ。
「自分の胸に聞いてみればどうですか?」
決して怒りに任せた言い方ではない。それ故にその棘は深く女の胸に突き刺さった。
そして、そんな彼女を余所に教師は止めた足を再び動かした。
「違う…違うんだ。」
その言葉は誰にも届かない。
「私はこんな結果を望んでたんじゃあ…」
女は頭を抱えうずくまった。
そんな彼女の側には、クラスメイトも普段つるんでいる取り巻きも、
長い付き合いの親友もいなかった。




