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彼女出来たんだ
凄いこれ五分もあれば余裕で書ける。
「実はさ」
「ん、どした?」
これから入学式が始まる体育館に向かいながら、僕は隣を歩く幼馴染で親友の天城春弥に話しかける。
「彼女出来たんだ」
「へー、彼女。あの優斗に彼女ねぇ。へぇぇ。……ん? 彼女? …………はぁぁああっ!?」
「ちょっ、声大きい」
若干遅れ気味に反応を示す春弥。
「あ、あぁ、悪い、驚いて……いやしかし、あの優斗に彼女が出来るとはな……どんな子?」
「さぁ?」
「さぁ? って……付き合ってるんだろ?」
「うん、まぁ。でも、付き合ったの昨日だし、なんなら会ったのも昨日だし、連絡先とかも知らないし……あ、そういえば聞き損ねたな。どうしよう」
告白してから家に帰るまでの記憶はないけど、スマホに新しい連絡先が入ってないのは確認済みだし、その時着ていた服のポケットとかにもそれらしいメモは入っていなかった。うーん、参ったな、せっかく出来た彼女に会えないとか話にならないぞ……。
「「あ」」
と、そんなことを考えていたら。
いました、僕の彼女。