チュートリアル1
今日の分これで終わり!気が向いたら続きいきます
「はあ、朝かぁ」
もうサービスは始まったのかな。なら色々とすませてこよ。朝ご飯とか歯磨きとかを済ませて、スーツとヘッドギアを身につける。
「ああ、ワクワクするぅ。ちょっと深呼吸してから……」
スゥーーハァーーー カチッ
昨日と同じような場所にでた。ただ一つだけ目の前に大きな扉があるのが違いだ。
「セットアップはお済みのようですね。それではその扉に手を合わせてください」
言われたままに手を合わせると、周りが急にほの暗くなって、扉の周りにうっすらと歯車とか機械仕掛けのなにかがみえた。
ゴゴンって音がすると同時に扉に紋様が浮き出てきた。そして勢いよく開いて私をすっぽり吸い込んだ。ナニコレ!?
ガヤガヤしてるなぁ。何だろう。地面に顔から投げ出されて周りが見えない。立ち上がって周りを見ると、とってもキュートな狐に狐の獣人そしてヒトがいた。でも全員女性で狐のお面をつけている。
本物の狐ってもっと怖い顔つきなイメージだったけど、この子たちは非常に可愛らしい。
「お主、そこらの狐と一緒にするでない。我々は妖狐と、その配下、千年狐と狐巫女じゃよ」
ふぇぇぇぇ、しゃべった!?このかわいい子喋るんだ、へぇ~
「お主の頭の中ダダ漏れなのじゃけど。いつまでも失礼なこといっておると天罰を下すぞ」
あっ、すいません。つい……調子に乗っちゃいました。
で、ここはどこなのでしょう。和風な建物は見あたるけど、他のプレイヤーはいなさそうなんだよね。
「ここかね。ここは幾夜岳、妖狐たちの世界で唯一の里じゃよ」
なんかすごいところにきてしまったなぁ。ふと気づいたんだけど、私のすぐ後ろ雲が広がってるよ。どれだけ標高高いのよ。
まあ、とりあえずこのことから聞かなきゃ。
「ねぇ、私はいったいこれからさきなにをすればいいのかしら」
「お主は世渡り人。この世にあってこの世に根源を持たぬ者。なにをするのも決まっておらん。ここでゆっくりと暮らしてもよいし、人里に降りるのもよい。ただ絶対にこの場所を誰かに伝えないでおくれよ。妖狐がまだ存在することはバレてしまってはいかんのだ」
よくわからないけどここのことはこれからも誰にも言わないでおこう。
「とりあえず、まだなにも決まってないので、こちらでお世話になってもいいですか?」
「まあ、どのみちお主に住処を与える心づもりじゃったしの、ついてきなさい。」
言われるがままついていく。周りには斜面にあうように素朴な木造の住宅が立ち並んでいた。これは巫女や千年狐の住処らしい。とても落ち着くデザインでどこか京都の雰囲気があった。まあ、周りはごっつごつの岩だらけですけど。
妖狐達は若いのが社のまわりに、成体となった個体は神社の中に住まうらしい。それは頂上付近にあるとのこと。私の住処はそこのはずれに造ってくれるって。
はぁ、疲れた。だってこことっても空気薄いんだもん。しんど~い。
そろそろかな。
「ここらへんかの。手を貸しなさい」
可愛らしい手をこっちに出してくる。たまらずすぐに出す。
「よし、ではっ」
ボフンっ
もくもくとした煙がなくなるとそこにはこじんまりとした庵ができあがっていた。すごーい。
「幾夜庵とでも名付けようか。ここを使いなさい」
あとは用事があるなら社まできなさいとのことだった。どっと疲れていたので後にする。
ちょっと周りを見渡してみる。石造りの階段にそって並ぶ素朴な家、その下に広がるだだっ広い雲海、その隙間から見える森、湖。
「うーん。なんかすごいとこについちゃったな」
改めてこんなところにくるプレイヤーなんているのかな、秘境も秘境だと思う。
それにしても澄み切った空気に青空、なんて気持ちいいんだろう。今までの鬱屈した気分がどんどん晴れ渡っていく。
そんな青空の真下で昼寝していると、気づいたら夕方になっていた。
「ほれ、起きんか。いいものがみれるぞ」
えー、さっきまでみてたんだけど。いまも夕日綺麗だし。
「頂上に行けばわかるよ。たぶんみんなも見にいってるじゃろう」
すぐ近くだしいこっか。
頂上について夜になるのを待っていた。いいものは夜に見れるんだって。
次第に日がどんどん沈み、それに伴って雲もはれてきた。山の周りには大きな湖に囲まれていた。
「うわぁ、綺麗!なんで、すごい」
完全に日が沈んで、星空が見えるようになると満天の星空とそれを鏡のように映す湖、そして遠くには様々な生き物の生活の明かりがぼんやりと見えた。
なんてきれいなんだろう。とてもゲームと思えない。
「これが幾夜の由来じゃよ。それぞれの種族にそれぞれの夜がある。まあなにも夜に限った事じゃないがの」
この景色、新月にしかみれないんだって。私は案外幸運なのかもしれない。こんないい景色をみれるなんて。
そうだ。この世界のいいところ、悪いところ。全部見て回ろう。
やりきったっておもってここに帰ってこよう。うん、それがいい。
「ねぇねぇ。私これからここから出て行こうと思うんだけど。いろんな事見て回りたい。もっといろんな景色をみてみたい。いい?」
「よかよ。この世界、実際に会って見てみなければわからないことがおおいからの。ただし、まだお主は外の世の中で生きていく力はない。ちゃんとした力を身につけていくのだ。いわゆるチュートリアル?じゃったかの。それを受けていくのじゃ」
「うん。鍛錬して早く一人前になるね。お爺ちゃん」
明日はチュートリアルをしましょ。楽しみね。
幾夜庵に戻って眠る支度をする。ログアウトする時間が近いからね。
おやすみ。また来るね。
プハァ
汗ぐっしょり、ってここに換気穴あるじゃない。ならこんなことならなかったのに!シャワー浴びてこよっと。
ブクマより感想が欲しい浪人でござる。
挿絵は街の様子です。雲海の上から頂上付近の神社まで建物が並んでいるイメージです。他にもいろいろかけたら描こっかなと