【異能探偵NEWS 】
「では、我が異能探偵事務所に入所する新入所員西空零司、幽霊所員高橋大樹を祝して、乾杯!」
「っていうか、大学に酒持ち込んでいいんですか?」
「まあまあ西空君。細かいことは気にしない気にしない」
「そもそもおまえが人混みはやだっつうから、この部室で歓迎会することにしたんだからな。感謝しろよ」
「別にオレは歓迎会なんてしてくれなくても……」
「うわっ。今時の子だ。そんなんじゃ社会に出られないよ」
「放っといて下さい。っていうか高橋さん。隣でウンウン頷かないでください。ウザい」
「ささっ。高橋君も遠慮なく飲んで飲んで。成人してるから、お酒大丈夫だよね」
「誰もいない席にお酌してるのって……何か、怪しい儀式してるみたいっスね」
「っていうか高橋に酒出す意味あるのか? 飲めねえんだろ。酒の無駄じゃねえか?」
「ちょっと。幽霊差別は止めろよなー。俺軽く傷ついちゃう」
「実の所、飲めたりできないんですか?」
「え、飲めんの? 俺死んでるのに?」
「いや、分かりません。ただ、お供えとかあるわけですから、もしかしたらと思って」
「よし試してみるぜー!
……駄目だ、コップが持ちあがらねー。飲む以前の問題だ」
「ご愁傷様」
「……何度見ても、誰も居ない場所に向けて話してる西空君って、そうだと分かってても恐いっスね」
「恐いというか、危ない奴だよな」
「こらこら。そういうこと言わない。それを言ったら、南ちゃんだって大分あれだよ。動物と真面目に会話してるあの光景。完璧に不審者。西空君のことをとやかく言えないかな」
「済んません。自分を棚に上げてほんと済んません」
「しっかしまあ、ホント個性溢れる面々が集まったサークルだなー」
「幽霊のあんたがそれを言いますか」
「でもさ、このサークルきっと素晴らしいものになるよ。何故なら、個性でこーせいされているのだから!」
「さて皆様。ここでちょっと相談があるのだけど」
「何ですか北さん」「何だ北ちゃん」
「西空君大変だ! 誰も聞いてない!」
「死んでるからです」
「我らが広瀬大学探偵事務所を改名しようかと思うのだよ」
「改名? 今のままじゃ駄目なんスか?」
「正直ダサいと思わない? 広瀬大学探偵事務所。まるでこの大学お抱えの探偵みたい。実際今回も依頼者にそう思われたし。しかもサークル名で登録してあるのは探偵研究会だから、偶に齟齬が生じるし」
「いやでも、他に名乗りようがねえだろ。僕は分かりやすくていいと思うが」
「これだからヘタレなイースト菌は」
「ヘタレ関係なくない? 後イースト菌言うの止めて」
「こんな地味な名前じゃ、いつまで経ってもお客さんは増えない。もっとお客さんの興味を引く名前にしないと」
「その様子だと、北さんもう新しい名前を決めてるみたいですね」
「良くぞ気付いてくれました。では、我らが探偵事務所の新しい名前を発表しまーす!」
「北ちゃん酔ってない? 酔ってるよね?」
「新しい名前はこちら!」
【異能探偵NEWS 】
「西空君が入って、ついに東西南北が揃ったからね」
「西空のNに、心矢のSに……あれ? EとWがどうやって北ちゃんと南に繋がるんだ?」
「あ、東先輩……その発言はさすがにちょっと。酔ってるとしても酷すぎるっス」
「いや酔ってねえよ。え、僕何かおかしいこと言ったか」
「相変わらず東君は能力が絡まないとヘタレポンコツねえ」
「ヘ、ヘタレポンコツ……」
「では西空君。答えをどうぞ」
「……北山さんのNorth、東海さんのEast、西空のWest、南地さんのSouth。それぞれ頭文字を取って、NEWSって事ですよね」
「大正解! いやあ、西が来てくれたらこの名前使えるなってずっと思ってたのだけど、本当に西が来てくれるとは思いもよりませんでした。本当に西空君には感謝してます」
「異議あり! 俺が入ってない!」
「では早速この名前で申請してくるー!」
「西空君大変だ! 異議が却下された!」
「死んでるからです。ったくしょうがねえなあ。北山さんちょっと待って下さい。高橋さんが異議を唱えてます」
「と、いいますと?」
「俺の名前が入ってないと、ガキみたいに駄々をこねてます。そこでピョンピョコピョンピョコ兎みたいに跳ねてます」
「西空君。皆が見えてないのを良いことに嘘言わないでくれまいか?」
「ふふん。まだまだ甘いね西空君。西洋のスイーツより甘々です」
「シバきますよ」
「おお恐。そこのヘタンコツとは大違い」
「ヘタンコツ!?」
「何か美味しそうな響きスね。ラーメンのスープに入ってそう」
「高橋君が入ってないとの事だけど、これをもう一度よーく見て」
【異能探偵NEWS 】
「……? 何もおかしな所は無いように見えますが」
「閃いた! Sの隣の空白が幽霊である俺を表してるんだな。何か不自然にスペースがあるなーとは思っていたが、そういう意味だったんだな」
「ああ、成るほど」
「まだ分からないのかな?」
「Sの隣の空白が、幽霊である高橋さんを示しているんですね」
「その通り。西空君冴えてるね」
「いえ、それほどでも……」
「北山ちゃん! 解いたのは俺だぜ俺。西空君も黙ってないで何か言ってくれー」
「それで北ちゃん。マジでそれ申請しに行くのか?」
「勿論マジ。大マジ」
「突っぱねられると思うんスけど」
「やってみなければ分からないじゃない」
「っていうか、一般人に異能について話すんですか? 絶対聞かれますよこれ」
「細かいことは気にしない気にしない」
「異能について聞かれたら、こう誤魔化せばいいのさ。異能? そんなもの知らないのう」
「それでは北山来々留。行って参ります」
「いや北ちゃんやっぱ待て! それ提出するのはさすがに不味い!」
「北さん待って下さい。酔っ払いが校内歩くのは不味いっス!」
「西空君大変だ! 誰も聞いてない!」
「死んでるからです。後、今の駄洒落割と意味不明です」
「……っていうかお前は追い駆けないのかー?」
「人の多い場所にわざわざ行きたくありません。恐いんで」
「お前ぶれねえなー」
「っていうか夜だから学生課開いてませんよね」
「あっ。それもそうかー」
【異能探偵NEWS 】 "Cold Cage" -完-




