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コウタとリサのある日の日常  作者: のだ おぶなが
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『うたわれるもの』前編

 ある日の夕暮れ

 二人の高校生が歩いていた。


 二人で帰るのも最早恒例にすらなってきたけどなんか沈黙が気まずいな、そうだ最近やったゲームの話でもするか。このままでいるよりはましになるだろ。


「突然だけど『うたわれるもの』って知ってる?」


「なにいきなり、びっくりするじゃん」


 リサは突然話しかけられたのと、知らない名前を聞かれたせいで少し驚いた顔を見せていた。


「いや、だからさ『うたわれるもの』って言う名前のゲームだよ」


「なにそれ? 有名なの?」


 やっぱりあんま有名じゃないのかな。でもアニメ化とかもしてるしそこまでマイナーでもないと思うんだけどな。


「有名どうかは分からないけどすげー面白かったんだよ。てかなんでこんな面白いゲームが話題にならないのかが分からないね。もっと取り上げられてもいいはずなのに」


「出た出た、オタク特有の突然の自分語り。ほんとどーして自分が得意な事となると突然饒舌になるのかしら。私にはそっちの方が不思議よ」


 そういうとリサはやれやれといった感じで両手を上げた。


「……いやいや、言いすぎだろ。なんか話そうと思って言っただけなのにそんなに言われるなんて、ノストラダムスもびっくりだわ」


「…… 」


 最初の沈黙の方が遥かにましだと思える程の空気だった。


「……なにそれ。もしかしてだけど、いや違ったらごめんね。ほんと悪気は全然ないから。ただ気になったから聞くだけだけど、それってもしかしてギャグ?」


 リサの鋭すぎるツッコミが僕を襲う。最早ツッコミという名の凶器だった。

 痛い。痛すぎる。何て切れ味の鋭いツッコミなんだ。僕のライフはもうゼロだよ。


「………… 」


 僕が真顔でリサのことを見ていると、こらえきれなかったといった風にリサが笑った。


「フフッ、ちょっと。真顔で黙るのは卑怯だよ」


「リサが意地悪なことを言ったからだぞ。悪気はないとか言っといて悪気しかなかっただろ。悪気百パーセントだっただろ」


 ほんとたまにひどいこと言うよな。僕の渾身のギャグを悉く潰すんだから。


「それでノストラダムスもびっくりだってどういう意味なの」


 さらに畳みかけて来たので僕は少しだけ拗ねたような素振りを見せる。


「それはもういいよ。ただの思いつきで言っただけだから特に意味なんてないよ。それより知ってるの?」


「なにが?」


 おい、さっきまでの会話全部忘れたのかよ。いくらなんでも速すぎるぞ。

 でもこんなんでも学年で上位に入るレベルの頭の良さなんだから、人って分からないよな。


「だから『うたわれるもの』だよ」


「いや。知らないわ」


「最初からそう答えてくれよ」


「どういう意味?」


「いやもういいよ、疲れたから」


「そう。大丈夫? あんまり無理しちゃダメよ」


「それを疲れさせてる張本人が言うか」


「ん? なんだって?」


 リサは意地悪な笑みを浮かべてこっちを見ている。


「もういいよ! さっきから話が一向に進まないじゃないか。で、知らないって名前も聞いたことないの? 一応アニメもあるんだけど確かリサはアニメとか好きだったろ」


「好きって言っても人よりも見るってだけだし。でも、聞いたことはある気がするんだよね。面白いの?」


「なら今度見てみなよきっと面白いから」


「きっとってなんか自信なさげなんじゃないの。そんなに面白いなら自信もって進めてよ。それじゃあこっちも見ようって気が起きないじゃん」


「いや君天邪鬼だからあんまり熱く語りすぎたら余計に見る気なくすだろ。それに僕も見たことないからさ、面白いかどうかは分かんないんだよね」


 リサは少しだけ呆然としていたが、やがて合点がいったように納得した。


「ああ、君が言ってるのは『うたわれるもの』っていうゲームの話であって、アニメは存在を知ってただけってことね」


「そうだよ。って、もしかして知らないのにテキトーな事言ってんじゃねーぞとか思ってたでしょ」


「少しだけね」


 そこは嘘でも否定しないのか。正直でいいと言えばいいのだが。なんかねぇ。


「やっぱり、リサは思ってることがすぐ顔に出るから分かりやすいんだよ」


 僕がそう言うとリサは少し怒ってるようにも見えた。


「……いつもは気づかないくせに」


「え、なんか言った? 最近イヤホン難聴なんじゃないかと思うことが増えてさ、でもイヤホンつけないと音駄々洩れになるからつけないわけにはいかないよね」


「なんでもないよっ。それよりどういうゲームなの」


「んーと、僕が持ってるにはvita版なんだけどPS3とPS4でもあるんだよね。でもいつも思うんだけどさSRPGを据え置き機でやるってのはどうなの」


「そんなの人の好みなんじゃないの。ある程度の需要があるから据え置きでも出てるわけであって、必要なかったら携帯機でだけ出せばいいだけのことじゃない」


 リサは当たり前の事のように言う。

 確かに。……納得してしまった。くそっ、なんか悔しい。


「それもそうか。で、実はこのゲーム三部作なんだ」


「なに、分割商法ってやつなの。やることが狡いなー」


「違うよ! もともと十年くらい前に最初の作品が出て、その続編って形で出されたんだよ」


「でも三部作ってことは最近出た方は二つなんだから、どっちにしろ分割商法じゃない」


「そりゃまあ確かにそうだけどさ。あれを一つにまとめて出せってほうが無理だよ。二作品目なんてやりこみとかなしで普通にクリアするだけで三十時間以上かかったんだから」


「へーすごいわね。某FFなんて中身スカスカだと話題になっていたのに」


「ま、まあネットの情報だからネガキャンかもしれないだろ? って、それは置いといてだよ。このゲーム何がすごいって全部面白いんだよ。アクションパートもアドベンチャーパートも文句のつけようがないくらいに面白いんだよ! 某FFとは違って!」


「君もネガキャンしてるじゃんか。それより、随分熱が入ってきたわね。」


「これを興奮せずに話せってほうが無理だよ。それよりもなんで僕がこのゲームをやろうと思った理由だけど分かる?」


「なにその私の年齢当ててみてに通ずるウザさは」


 リサは軽く笑いながら言う。


「で、理由だけど。実は僕最初の『うたわれるもの』もやったことあるんだ」


「でもさっき十年くらい前って言ったじゃん。なら初代PSとかで出たんじゃないの」


「ああ、元はPCでエロゲ―として出てたんだ。それを18禁要素を抜いてPSPに移植したんだ」


「じゃあ君はそのPSP版をやって『うたわれるもの』にしっぽりとはまってしまったということなのか」


「なんか言い方は気になるけど要するにそういうことだよ」


「じゃあ元はエロゲ―ってことは好みのキャラなんかいるの?」


 うーん、難しいことを聞いてくるなあ。男キャラもいい味出してるし、でもやっぱ、


「そうだね。僕は王道を征くエルルゥかな。トウカもいいけどエルルゥの健気さには勝てないかな。自分の中では圧倒的メインヒロインだからね」


 リサがなぜか僕から一歩離れた。


「ここまで語られるとさすがに引くわね。キャラの名前を連呼しているところが特に」


 ぐはぁ。やめてくれ、その言葉は僕に効く。


「そんな言い方はないよ。リサはたまにひどいことを言うよね。こう心にグサッと突き刺さるような」


「そうかな。いやもいやも好きの内って言うじゃん。それで最近出た二作についてはどうなの?」


 いや、それは少し違うと思うけど。ま、いっか。


「まず一昨年にでたのが『偽りに仮面』っていう名前で去年に出たのが『二人の白皇』っていうんだ。ああ、もちろんこの前にはうたわれるもの~ってつくからね。それでこの『二人の白皇』の白皇はハクオロて読むんだけど、なんと初代の主人公の名前がハクオロっていうんだよ。もうこの時点でこっちとしてはビンビンなわけだよ」


「ビンビンてなにが」


 リサは少し期待してるように聞いてきた。

 一体何に期待してるのか。僕には分からない。つもりだ。


「食指がだよ。もうPSPをやってる時から『二人の白皇』について考えてたからね。でもvitaのソフトって余程のクソゲーじゃない限り中々値下がりしないだろ。だから中古で買ったとしても二つ合わせたら七千円ぐらいするんだよ。いくら待ち望んでたとはいえお小遣いを貰っていない身としては、レジに持っていくまでに少し葛藤があったね。

 でも、ソフトを本体に入れてvitaを起動させたときのあの気持ちといったら、そこでもう七千円の元は取ったなって感じだってね」


「フフッ、楽しそうだね。なんか小学生みたい。でも楽しそうな君を見ているとなんだかこっちまで嬉しくなってくるな」


「そうとも、僕はアンパンマンでね人に元気を分け与えることが出来るんだ。ってそんなわけあるかーい。誰がアンパンマンじゃ」


 リサは口に手を当て苦笑いしている。


「だれもアンパンマンとまでは言ってないよ。勝手に被害妄想をするのはやめて欲しいな。それに君はどっちかというと食パンマンだよ」


「それは褒め言葉として受け取っていいのか迷うところだけど、恐らく誉めてはいないんだろうね」


「あら、そう? 私としては褒めたつもりだったけど」


「いつも思うけどリサの感性は独特だよね。君の瞳には僕は何色に映っているんだろうね」


 フッ、完璧に決まったな。『うたわれるもの』に出てくる歌の歌詞を用いて自然に格好つけることが出来た。これは中々ポイント高いんじゃないか。

 そんなコウタの気持ちを知ってか知らずか、


「なんかいきなりクサイ台詞を吐かれて私は一体どうすればいいの。教えてマリア様」


 リサは両手を顔の前で組み空を見上げて祈るように言う。

 おいおい、ダダずべりもいいところだぞ。こんなことになるならあんな変な事言わなければよかった。……でも、ほんとリサはいい意味で普通じゃないと常々感じさせられるよな。


「ほんと、ここで神様じゃなくてマリア様なんていうところが本当にすごいと思うよ」


 僕は思わず笑みがこぼれてしまった。

 しかし自分がいじられることには慣れていないのかリサは恥ずかしそうに下を向いている。


「い、いいからさっきの話の続きを聞かせてよ」


「うん。で、どこまで話したっけ」


「起動したところまでよ」


「そっか。じゃあえーっと。起動したらもちろんデータをダウンロードするよね」


「ダウンロードって?」


「アップデートだよ。買ったのは最近でも発売されたのは結構前だから、いろいろバグやらなんやらの対策がされるからね。ダウンロード自体はすぐに終わったから、いよいよ待ちに待った『偽りの仮面』起動だよ。もう待ち遠しすぎて〇ボタン連打してたよ。連打しすぎて絶対少し陥没したね。

 そしてタイトル画面。あれは感動したね。なんたってPSPからのvitaだったから画面の綺麗さがやばかったよ」


「なに、もしかして画面の綺麗さが一番印象に残ってるの」


「いやいやもちろんそれだけじゃないけど、やっぱりゲーム機も日に日に進化していってるんだなあってさ」


「君こそたまにおじいちゃんみたいなことを言うよね」


「おじいちゃんって。俺はまだ二十歳にも満たないピチピチの高校生だっての☆」


 と言いながら僕はウインクした。


「内容はどうだったの」


 リサは何事もなかったかのように話を進める。ちゃんと見せつけたはずだけどなあ。少しぐらい反応してくれてもいいのにと思う。


「……内容はこれまたやばいんだよ。あんまり言いすぎるとネタバレになっちゃうからあんまり言わないようにするけど」


「あら、私はネタバレなんて気にしないからどんどん言ってもいいよ」


「リサはそうかもしれないけど、ほかの人が困るかもしれないだろ」


 リサは不思議そうな顔をしている。


「他の人ってここには私たち以外誰もいないじゃん。まさか君にはなにかが見えているのかい」


 僕は少し苦笑いを浮かべる。


「そういうことじゃなくて、この会話を誰かが聞いているかもしれないだろ? その人が困らないような配慮だよ」


「そんなこそこそ聞いているような人の事なんて考えなくてもいいんじゃないの」


「確かにね。だから隠し切れないところはさすがに言わせてもらうよ」


「別に気にしないでもいいと思うけどな」


「まあそう言わずに。それじゃあ内容だけど、熱くなれるところは熱くなれる。泣けるところは泣ける。笑えるところは笑える、といったように見どころが多いんだ」


「泣けるって君の涙はいったい何色なの?」


 ……ん?


「なんで僕が血も涙もない様な人間だと思われていたのかは謎だけど、普通に透明だよ」


「じゃあ匂いは?」


「なんでさっきから僕が普通の人とはちょっと違った体質を持っていると思っているのかな」


「だって君ちょっと、いや結構変わってるもの。よく言われない? 君は変わってるねって」


「リサにだけは言われたくなかった言葉だね。でも逆に考えるなら変わり者のリサから見て変わってるってことは僕は案外普通なのかもしれないな」


「それは無いと思うな。類は友を呼ぶって言うでしょ。変わり者の周りには変わり者しかいないのよ」


「それは。リサも変わり者だということを自分自身で認めているということになるけれど」


 リサはしまったという顔をした。

 これが墓穴を掘るということか。まさか目の前で見れるなんて、レアだ。


「それはそれこれはこれよ。君が変わり者だからといって私を巻き込まないでほしいな。心外だよ」


 リサは唇をとがらせてアヒルのように言う。


「それは失礼しました。聖上」


「なに。聖上って」


 リサは首をかしげてこちらに訪ねてくる。

 フフフ、分からなくても当然。これもゲームに出てくる言葉だからな。てかさっきから導入が自然すぎないか。自分で自分が怖いわ。


 ここはひとつ説明するとするか。


「聖上っていうのは天皇や帝を敬った言い方なんだ。『うたわれるもの』はこういうちょっと古い世界の話で、戦争なんかもしてたりするんだ」


「じゃあ鉄砲や大砲をずっこんばっこん撃ったりするのかしら」


 さっきから擬音がおかしいような気もするけどいちいち触れていたらキリがないからな

 僕は心の中でこう考えてあえて触れないことにした。


「いやさっきも言ったけど『うたわれるもの』の世界はちょっと古いんだ。そしてそこに住んでいる人達も変わっているんだ亜人と言ってね、耳やしっぽが生えているんだ」


「君ってケモナーだったの。意外だなー」


 そう言ってリサは大袈裟に驚いてみせる。

 いやいや、僕はいたって正常だっての。でも確かに獣も捨てがたいものがあるな。


「否定はしないよ。でも僕はアブノーマルだってことは言っとくよ」


 僕がそう言うとリサは本当に驚いた顔をした。そしてなにかを考えているようだった。

 おいおいそんなに僕のことを危ない奴だと思っていたのか。それでよく一緒に帰ってくれるな。リサってやっぱアブノーマルだよな、ってあれ? 


「もしかしてアブノーマルって普通じゃないってこと?」


 僕がそう言うとリサはやっぱりかといった顔をした。


「そうじゃないかと思ったらやっぱり間違いだったのね。君は英語苦手だからね。それにしたって今の間違いはどうかと思うよ。でも残念だなー。せっかく君が普通じゃないって分かってあんなことやこんなことをしようと思っていたのに」


 ううっ、少しだけ恥ずかしいが前向きに考えるとしよう。そう人間とは恥をかくことで一人前になるのだと。……やめようなんだか悲しくなってくるから。


「それにしても、なにか考えていると思ったらそんなことを考えていたのか。全く恐ろしい程早い思考速度だな。主にエロ方面の」


「エロ方面だけじゃないよっ。私はすべてにおいて完璧なのだから!」


 リサはそう言うと、フフーンといった感じに両手に腰を当て無い胸を懸命に張っていた。見ようによっては可愛く見えるが如何せんセリフがセリフだけにそんなことは思えない。


「よくもまあそんな、悪の軍団の終盤まで引っ張るけどいざ戦ってみるとそんなにでもない科学者みたいなセリフを恥ずかしげもなく言えるな」


 そう言い終えるより前にリサは勢いよくこっちを向くと、君はまだまだ分かってないなー。とか言ってきた。

 やっぱり、努力をしないで世界チャンピオンまで上り詰めた天才ボクサーみたいだな、にすればよかったかな。


「どうしてそこで科学者にするかな。どうせなら天才一家に生まれたけど才能はそんなにでもなくて、主人公のことを最初は下に見ていたけど戦って負けてくじけそうになるけど、でも自分に天才だと言い聞かせて必死に努力を重ねて主人公の良きライバルとして活躍する幼馴染にしてくれないのかなー」


 リサは、はぁーっとため息をつく。

 いや、長くね。


「いやいや、そんなの分かるわけないでしょ! てか分かったら分かったで逆に怖いわ」


「そんなに難しいこと言ってないと思うけどなー」


 小首をかしげながらそんなことを言っているリサを見て僕はやっぱり普通なんだと確認できた。


「さっきから話がそれてばっかで全く話が進まないじゃないか」


「そう? 私はこっちのほうが楽しいからいいけれど。君はもしかして自分の話が途中で遮られるのは嫌いな質だっけ」


「いやそうでもないけど。もうすぐいつもの所じゃないか」


 そう言って僕は前を見てかるく指をさす。


「あ、本当だ。やっぱり君と話していると時間が過ぎるのが早く感じるなぁー」


 リサはそう言うと少し考えてからこちらを向き、


「じゃあ今日は特別に君の家までついてってあげよう!」


 なんだか嬉しそうに言ってきた。


「でもリサの家ここから結構歩くじゃないか。僕の家に寄ってったら帰る時間がもっと遅くなっちゃうよ」


 こちらとしてもまだ話し足りない感が否めないしなぁ。そうだ!


「僕がリサの家まで行くよ。話したいのは僕のほうだし。それに、こっちが送ってもらうみたいな形になるし。こういうのは男の役目だろ?」


 リサが固まっている。

 なんだ天才科学者は全てにおいて完璧なんじゃないのか。いや、主人公のライバルだっけ。


「い、いいの? 私の家結構歩くよ?」


「私の家結構歩くってなんか家が歩くみたいだな」


 日本語って難しいな。


「そうじゃなくてさ。君今両足粉砕骨折してるじゃん。そんなんで私の家まで来れるのかい?」


「いやそんなわけないだろ! いつから僕が、フンッ肋骨が二、三本いっちまったがまだ戦える。なんてことを言う漫画のキャラみたいになってるんだよ! てか両足粉砕骨折してたらさすがに漫画でもやばいだろ!! しかもなんで最後ちょっと師匠キャラみたいな言い方したんだよ! はぁはぁはぁ」


 やばい疲れた。言いたいこと全部一気に言ったら結構疲れた。やっぱ部活やめてから体力落ちたな。


「……大分疲れているみたいだね。じゃあ早速行こうか」


「反応なしッ!! せめてもうちょいなんか言ってくれよ!」


 くそっ、そんなに反応しづらいツッコミだったかな。今度からはもうちょっとコンパクトにしてみるか。

 僕がそんなことを考えていると、


「さあさあ、時間も遅いし早く行こう!」


 そう言いリサは、ずかずかと歩き出してしまった。

 ほんと我が強いというかなんというか、でもこんなのでも憎めないのはリサの人柄なんだろうなと思う。


「おーい、チョッマテヨッ」


 それでもリサは止まってくれなかった。

 でもそんなリサの後姿がなんだか嬉しそうに見えたのは僕の勘違いだろうか。



 後編へ続く


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