少女VSおっさん...ってなぜこうなった?!
街についた僕は、みいやちゃんに案内されて母親との合流場所にいくことにした。
リスポーン地点で待たないの?と聞くと
「おかぁさんが、合流地点はここって言ってたから!」
らしい。
にしてもここは薄暗い。普通の家族がこんなところを合流地点に選ぶのは少しおかしい気もする。
「ここだよ!」
と、みぃやちゃん。
そして、僕は気付くのが少し遅かったと悟る。
「ここって........」
そうだ。ここは薄暗い路地裏で誰もいないはずなのに、人の気配が沢山するのだ。
「やっとここに連れてこれた。」
「みぃやちゃん........?」
そこにはもう可憐な幼女の姿はなく、筋骨隆々としたおっさんが一人いた。
いや、正確には沢山のおっさんが僕の周りを囲んでいた。
「お前、ゲームマスターの妹だよな?」
「え......?」
「しらばっくれても無駄や!!」
いきなり前にいた男が怒り狂いだした。
「お前の兄貴が作ったこんなゲームのせいで!!俺は!!希と由美に捨てられるんや!」
「意味がわからないんだけど.....。だいたい僕がゲームマスターの妹だなんてどこで........」
「そんなもんUKM様に気まちょるやろ!あのお方は俺が恨むべき相手のことを全部教えてくれた!!お前みたいにゲームマスター野郎のおかげでトッププレイヤーに成り上がった奴とは大違いや!!」
「またあいつか.......」
なんだかこの世界で起こる問題の裏では、なんやかんやでUKMが関わってる気がする。
「お前はここでデスポーンさせるんやないで!手足を縛って誰にもばれないところに放置するんや!」
「僕が君なんかに捕まるとでも?」
「俺らは20人以上はおるで!全員でかかれば簡単や。」
そのとおりだ。今の僕ではここにいる全員で一斉にこられたら多分すぐに捕まるだろう。どうにかして逃げ出そうにも方法がない。あるとすれば.......。
「それは無理か。」
壁をジャンプしていけば逃げれるかもしれない。と、考えたがこの街では屋根の上に乗ることができない仕様になっている。つまり上に逃げるには不可能だ。透明バグも、ストックしていた短剣がきれていてもう予備がない。
さて、どうしたものか........。
まず、あの男はどうやって幼女に変身したのか.....。そんなスキル、あってもとる奴なんていないはずだ。
「やれ!!!」
そんなことを考えている内におっさん共が飛びかかってきた。
いや、どっからどうみてもこの絵面最悪だよ?周りからみたら集団で女の子を襲う最低な集団だよ?
「お前いま最低な集団だとか思ってるだろ?でもな!これは公式的に認められてる絵面だから特にお咎めもないんだよ!!」
「どこの公式だよ!」
おっと。こんな会話をしている暇はない。僕は最初にかかってきたおっさんの垂直切りを軽々避ける。案外簡単にいけるんじゃない?これ。
そんなことを考えた1分後、僕は縄で手足を縛られていた。
「はーなーせー!」
「親分捕まえました!」
呆気なかった。まさか麻酔系のスキルを所得しているプレイヤーがいるとは思わなかった。
「こいつどうします?」
「そうだな.......」
おっさんが悩む。
「とりあえずもう一発麻酔で傷つけておけ。ここで動かれたらこまる。」
すると、さっき僕に麻酔針を投げてきた奴が、こんどは装飾の少ない短剣を取り出した。
「お嬢ちゃん恨みはねぇが、なーんせ兄貴の命令なんでね.......」
そういっておっさん.......沢山いるから麻酔おっさんとでもしておこう。
麻酔おっさんが短剣を頭上に振りかざす。
「ちょいと眠っておきな!」
麻酔おっさんがそう言ったのと同時だった。
「デュアルバレット!!」
幼女っぽい声が聞こえた。僕が見えたのは.......金髪の幼女がハンドガンを二丁持ちして......熊さんのパンツだった......。
って、意味がわからないんだけど!!
「あれ?助かったの?!」
「ゆーりすさんですね?!」
「そう.....だけど。」
「ご無事でなによりです!」
いや!無事じゃないんだけど!麻酔打たれたんだけど!未だに手足拘束中なんだけど!
「失礼します。」
そこにいかにも騎士といった感じの青年が近づいてきて。
「スラッシュ!!」
スキルを発動してきた。しかも僕に。
そして僕を拘束していた縄だけが切れていた。
「危な!!」
「すみません!これぐらいしか方法が思い付かなくて!」
「いや!普通に切ろうよ!」
「ゆーりすちゃん。怒らないであげて!そいつあまりにも役目がなさすぎて目立つところがなかったから!」
「へーそうかー.....ってならないよね!?」
危うく死にかけたわ!助けてくれた人のスキルで!
「なんで!なんでお前らここが!」
さっきまで空気だったおっさん達が騒ぎ出す。
パンッ!!
乾いた銃声が鳴り響く。
「すこしだまってください!」
幼女の声で言われてもな......。誰も黙るわけ.....
「かわええ.....」
騎士さんが訳の分からない.....こともないが、ロリコンっぽいことをほざいている。
てか、なんでおっさん達黙ってるの?!
「やぁ。みなさん。お久しぶりだねぇ。」
そこに聞いたことのある声が響いた。
それはおっさん達も同じだと思う。
「辻斬りの......」
「UK......M.....?」
そう。またこいつだ。またこいつが裏で手を引いていた。
「そう驚かないでくれよ。」
僕達の目の前の侍っぽい格好の男がニヤリと笑った。