オロチvsチーターの事情
「あれが『オロチ』......」
「せや。とりあえず奴の情報が知りたいんやが.....」
そう言うとUKMは、落ちていた小石を俺に渡してきた。
「軽くでええからオロチにこの石を当ててみてくれへんか?」
「なぜ!?」
「きまっとるやろ!奴の情報確認のためや。」
「心眼で分かるじゃん?!」
わざわざ俺が攻撃しなくても.....。
「わいのスキルは敵mobに対しては自分のパーティーメンバーが攻撃しないと情報が表示されないんや。」
「めんどくせぇスキルだな!ちくしょう!。」
その言葉とともに俺はオロチに向かって思いっきり小石を投げる。
グギァーーッ!
そんな断末魔が聞こえた気がした。
さっきいたはずの巨大な蛇は完全に姿を消している。
ポーン
数秒後に電子的な通知音が流れてきた気がする。
「お、侍の書ゲットやでー。」
「え?!なに?!今ので終わり?!」
「そうや!さっきのロミテカはんに攻撃でオロチの討伐は完了や!」
「攻撃って......。」
俺いまさっき石投げただけなんだけど?!攻撃ってレベルじゃないんだけど?!。
てかオロチ弱っ!
「ま、手伝いせんきゅーやでー。」
そう言うとUKMは帰還スキルでも使ったのだろう。
まばゆい光とともに街へワープした。
「俺も帰ろ.....。」
最初のかっこいいボスバトルだと思ったのにとても残念である。
俺はスキルを使わずに徒歩で近場の集落へ移動することにした。
声が聞こえる。
「あー。もしもし?。わいや、UKMやで。」
『..........』
とても流暢な関西弁だ。
格好の特徴といえば昔の日本にいた侍に似ているかもしれない。
「侍の書?あぁ、もちろんゲットできたにきまっとるやろ。」
『...........』
「え?そっちやない?。」
『............』
「あーあー。監視ナンバー.2のことかいな。」
『.............』
ここで声の主は少し間を置く。まるで何かに迷っているようだ。
そして何かを決心したかのようにこう言った
「奴はチーター。黒やったで。」
『...........』
「ほな、報酬の1000000ゴールド、ちゃんと用意しといてーなー。」
『............』
「じゃあ、また後ほど。」
そう言うと声の主は電話を切り、ニヤリと笑った。