マルチエンディング②
「すまないなおっさん。」
俺はパソコン電源ボタン触れ電源落とす。
「かまわんさ。それが君の選択だったのだから僕は本望だよ。あと僕は22だからね、まだおっさんじゃないよ。」
ハハハ。と笑う六壁院裕二の顔は笑ってはいるものの心の中では泣いているような気もした。
「本当にすまない.....」
あぁ。俺は本当にこの選択して良かったんだろうか?
確かに、これでロクサスノーツというゲームは終わりを告げたし、社会からも闇に葬り去られるだろう。
だけど俺自身はどうだ?
俺はまだあの世界でやり残したことがあったんじゃないか?
「君が謝ることはないさ。感謝しているよ。」
「本当に!!ごめん........っ!!」
俺はやってしまった事への罪悪感で部屋を飛び出してしまった。
最後に見えた六壁院裕二は泣いてるよう見えた。
「何だ?もう話は終わったのか?」
屋敷出た俺はなるべく後ろを振り向かないように園原巡査部長の所まで帰ってきた。
「あぁ........」
「そうか.......良く頑張ったな。」
すると園原巡査部長は本部から呼び出したであろう小隊に向かって言った。
「全員!!突入!!もう六壁院家の許可は下りてあるので手早く六壁院裕二を確保してこい!!」
ドタバタと5〜6人が屋敷へ侵入していったと思うと、数分で帰ってきた。
六壁院裕二を連れて。
さっきみた六壁院裕二とは雰囲気が違う。少しやつれているような感じだ。
「じゃあ俺はこれで。」
「一緒に乗っていかないのか?」
「遠慮しておきます。」
正直もう六壁院裕二と一緒の空間にいるだけで罪悪感で押しつぶされそうだ。
それを察したのか園原.......いや、店長は髪に携帯電話の番号を書いて渡してくれた。
「何かあったら電話してくれ。相談にのるぞ。」
「ありがとう.....ございます......」
紙を受け取ると俺はダッシュで近くのバス停まで向かった。
雨が降り出した。
まぁ.....わかってた事だしな。
「濡れて帰るしかないか。」
帰り際に聞こえた六壁院家からの少女の泣き声は聞いた事のあるような無いような声だった。
あの事件からもう3年経つが、俺は何ら変わりないいつも通りの人生を送っている。俺自身はもうゲームを引退してこの前大学に入学したばかりだ。
高校ではそれなりに友人ができ、彼女はできなかったがリア充なる物を味わった気分だ。
ゲームの代わりに始めた某イコイコ動画でのインターネット配信は、運良くランキングに載ったりで結構人気の生放送主になっている。知り合いなんかも沢山できた。
まさに人生好調期だよ!でも、何か失ったような感覚は無くならないんだが.....
姉貴はいつも通り会社の女の子に大人気。でもこの前男に告られたらしく、頬を赤くしながら話してたっけなー。そのまま結婚までいくんじゃないかって勢い。
由紀もいつ通りかな.......。うん。
男子生徒に告られたり、家にラブレターなるものが来てたりしたけど全部見てなかったな。
「私のおにちゃんとの関係は義理だから結婚できるです!!」
だってよ。
すまん俺シスコンでもロリコンでもないし、まず由紀には胸がないし......
やっぱ前言撤回でよろしく。
まぁそんなこんなで楽しい人生だよ。
園原巡査部長とは少し前に電話で話したし、今もたまーに会ってたりする。
とある女性とお付き合い中らしいな。
一方的な告白だったらしい。相手は今年で18だったけ?しかもあのシャルルだからなー。分かってはいたけど。
まぁ15も離れてる年の差婚だとよ。お幸せにな。
でもこれで本当に良かったんだろうか?店長も、シャルルも、姉貴もゲームは引退しちまったし.........ユーリスはどうなったんだろうな?
「これで良かったのかなー。」
部屋のカーテンを開けると眩しい光が差し込んでくる。
「放送しよ。」
直ぐに部屋のカーテンを閉めて俺は趣味に戻る。
そうだ。これが現実<<リアル>>なんだ。ロクサスノーツは楽園ではなく、監獄だったのだ。それで良いじゃないか!
こう思うこと事で俺は過去の罪悪感から逃げる事ができ、気付けばロクサスノーツやユーリスのことは忘れてしまっていた。
この話は普通のエンド見たいなら感じです。
続きはないので、良かったらマルチエンディング①の方を見てやってください。