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俺vs生姜焼き

俺がユーリスと別れて6ヶ月程経った。どうやら俺がうつつを抜かしてる間にトップギルドに加入したらしく、もうすでにギルド内でもメインメンバーに入ってるようだ。

「457人......?!」

最初に、ギルド『ユニランカーズ』のギルメン数を聞いた時は驚いた。さすがに集まりすぎである。

「お前もこのギルドの一員だったよな?」

「せやで。まぁ、あんたにはこのギルドのメンバーじゃなくて、情報屋のUKMとして情報提供してるがな。」

そう言って目の前の侍おとこがニヤリと笑う。

「そうか......そういえば次の攻略対象って.....」

「察してる通り、エリア36のボス『廃れた英雄王 クリーサム』や。」

「せんきゅー。」

俺はシステムコンソールを開きトレードを選択する。

「へへっ。毎度ありー!毎回毎回10万ゴールドも貰っちゃって悪いねー。」

「悪いと思うなら情報量を無料にしておくことだな。」

「冗談を。」

そう言うとUKMは森の奥深くへと走り去っていった。

「そうか.......攻略組の奴らはもうそんなところまで行ってるのか。」

それに対して俺はなにもしてない。いや、何もしてないというと少しおかしくなってしまうのだが。あえて言うならば金を稼ぎまくっているだけだ。

「さーてなにをしたものか。」

今日はとても天気が良い。季節で言うならば春だと思う。こんなに天気も良くて良い気分なのに対して、レベリングもあまりやってないプレイヤー達がなにか暴動のようなものを起こしているらしく、ランカーギルドの面々は暴動の鎮圧に忙しいため攻略に専念できないんだとか。

「ちょっと様子でも見てくるか。」

とりあえずステータスを最大まで上げておく。というのも、この世界では街だから攻撃を食らわない。というわけではない。大抵のダメージは普通に受けてしまう仕様らしい。初期のころは体格のデカイ馬鹿共がプレスアタックのバフをかけ、道端で仁王立ちをして他プレイヤーを困らせるという遊びが流行っていたらしい。因みにプレスアタックとは、タンク系の職業が覚えるスキルで自分が何かに当たった場合少量のダメージを与えるというスキルだ。正直、タンク役をしたことがない俺としてはどこで必要になるのか分からないスキルだったりする。

.

.

.

.

.

.

俺は3時間という長い旅を終え、36層の中間の街へ着いた。

街について思ったことがある。

「なんか静かだな。」

一週間前に来たときは沢山のプレイヤーが話し、アイテムのトレードなどを行っていたはずだ。

「ちょ!そこに人!そんなとこに立っとったら危ないぞ!」

俺は体格のデカイおじさn.......お兄さんに首根っこ掴まれ路地裏に連れて行かれる。

「悪い事は言わねえ。さっさとこの街から出て行きな。」

「なぜ?」

男はあからさまに焦っている様子だ。

「この街にはギルド『鶏肉の生姜焼き』のリーダーと、メンバーがたむろってるんや。」

「そのギルドって攻略組じゃねぇか。なんでこんな街に.......」

ギルド『鶏肉の生姜焼き』は、トップギルドの一つだ。確か数日前にリーダーが辞めてしまい、今のリーダーになってるとかなんとか.......。

「俺もギルメンだが、今のリーダーのやり方には納得いかねぇ。前リーダーはもっと運営の仕方が上手くて、どんな奴にも優しかった。」

ギルドってリーダーが変わるだけでここまで豹変するらしい。察するに、今のリーダーは運営に仕方がへったくそで、優しくはないようだ。

「正直こんな風になっちまったギルドは辞めたいが........」

「承認されないんだな。」

「あぁ......」

この世界のギルドシステムの珍しいところで、ギルド退会にギルドリーダーの承認が必要という条件がある。因みに、ギルドの半数が退会申請をだした場合はギルド崩壊となり、ギルドは消滅する。

「うげ!あの女!」

いきなりお兄さんが声をあげる。

その理由は道端の真ん中を14歳ぐらいの女が通っているからだろうか。いや、もっと危ない問題は女の少し先に、如何にも田舎のヤンキーっぽい集団がいたことである。

「あの男があんたらのギルドリーダーか?」

「あぁ。あいつをギルドリーダーなんて呼びたくなんてないが......」

「あの女は知り合いか?」

「いや。数時間前にも来たんだ。追い払ったはずなのに!!」

そんな話をしているうちに最悪の事態は起きてしまう。

「よぉーよぉーねぇちゃん。ここら一帯は俺らの縄張りなんだわぁー。」

なんかうぜぇ。

「あれぇ?よく見たら可愛いじゃん。こいつ。」

「リーダーどうします??」

あいつら取り巻きのMOBっぽいな。青春もののドラマなんかで主人公の邪魔しようとして最初にぶっ飛ばされる奴。

「そこの女。今日の相手はお前にしてやろう。ちょっと胸が小さくて好みじゃねぇが、顔は十分だ。」

「..........」

あの女全く動じねぇな。

「おい!!生きてんのか?!」

「...........」

「おい!!餓鬼!!」

「.........」

まだ餓鬼かどうかはわからないだろ。

「ぺちゃぱいやろうが......っよ!!」

ついにリーダーが女に手をあげる。

「.......やめて!!触らないで!!」

初めて声を聞いた。まぁ、俗に言うアニメ声だ。

「おいおい!お前の声おもしれな!!」

いや、お前の声もダミ声がかすれたような声で笑えるぞ。横のお兄さんも笑いこらえてるからな。

試しに横を見てみるが全く笑って無かった。残念。

「リーダー。そんな事言っちゃうとこいつ泣いちゃいますよ〜」

「......うぅ......」

「え?まじで泣いてんの?ダッセー」

餓鬼どもよ。周りからみたらお前らのほうがダサいぞ。男数人で少女1人を虐めてる絵面なんて最悪だからな。

「助けたほうがいいか?」

ここら辺でカッコよく登場して蹴散らしてきたら有名になれそうだな。

トップギルドを敵に回すことになるが。

「待て!様子がおかしいぞ!!」

見てみるとビックリした。少女の周り、半径10メートルぐらいの範囲で地面が光っているではないか。正確には魔法陣が出現しているのだが。

しかしこんなに大きな魔法陣は初めて見た。どこぞのギルドの副リーダーが強力な範囲魔法扱えるらしいが、それなんか比べ物にならない。

「おい!なんだ!!地面が光ってるぞ!!」

男達も気づきだしたようだ。

「な......じめ.....?」

だめだ。少女が何か言っているが全く聞こえない。距離が遠いからなのか声が小さいからなのか分からない。

「おい!!尼ぁ!!!お前の仕業か?!」

「なんで........なんで.......」

「あぁ?!聞こえねぇよ?!」

「なんでぺちゃぱいなんて言うの!!!!!!」

「そこかよ!!」

やっべ声出ちまった!

「そこにいんのは誰だ!!!」

バレたら仕方ねぇ。

「っっふ!俺は通りすがりのチーター!ロミテカだぁ!!」

どやっ!

「あ?!そんな無名やろうしらねぇよ!!」

んな馬鹿な?!

「それよか、この尼はお前につれかぁ?!どうにかしろ!!」

「あー。全然知り合いじゃねぇわー。」

「そんなもん知ったこっちゃねぇ!さっさとどうにかしろよ!!」

んな理不尽な!!

「ま、俺関係ねぇから。」

そう言って俺は屋根の高さまで上昇する。

下にいるお兄さんはなんとも言い難い顔で少女の方を見ている。

少女の方を見ると、あらびっくり!

.

.

.

.

.

ってはぁ?!

少女の周りには10匹程度のモンスターがいた。しかも、ほぼほぼエリアボス並みの強さを持っていそうだ。

種類は、ドラゴンや悪魔、天使と幅広い。

そしてデカイ。

召喚獣と言うのだろうか。これもエリアボス並みのデカさだ。天使はプレイヤーと同じ大きさだが、胸がデカ........いや、無かった事にしてくれ。

「なんで!!なんでなんで!!」

「やべーよ!!俺たち!!」

「かぁーちゃーん!こえーよー!!」

「お前ら!!いちいち騒いんでじゃねぇ!!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

「悪かった!!嬢ちゃんは十分でけぇよ!!」

リーダーがそう言った瞬間、召喚獣達が一斉に黙る。

少女も泣き止む。

「..........どこが?」

「え?そりゃー嬢ちゃんの胸がに決まってんだろ!」

「そんな見え透いた嘘言わないでよぉぉぉぉお!!おじさんのへんたぃぃぃぃぃぃぃぃい!!」

少女が泣き出した瞬間さっきまで虫の息だった召喚獣達がまた喚きだす。

いや、さっきは何もしなかったが目の前に男達に攻撃をしていく。

「「「リーダー!!」」」

子分達が一気にリーダーを睨む。

背デカイとでも言っておけば良かったものを.........馬鹿なリーダーだ。いや、実際結果は変わらなかっただろうが。

「お前ら!!剣を抜け!!こいつらを倒すぞ!!あと、俺はまだおじさんって歳じゃねぇ!お兄さんだ!!」

「無理っすよ!!強すぎっす!!」

「ここは逃げまsy.......ワァァァァァ!!」

子分が召喚獣の突進で吹っ飛ばされる。儚い文字列となって空に消えていく。

じゃあな。次動けるのは24時間後だね!!

「ユジタルの仇!!」

リーダーが近ずいてきていた天使に剣を向ける。

「ロードスラッシュ!!」

青色の斬撃が天使に飛んでいく。

が、天使の周りはバリアが張っているらしく斬撃が弾ける。

「?!」

そりゃーショックだわな。渾身の一撃が一瞬で消え去ったら。

戦闘は呆気なく終わる。天使が両手を胸のところに持っていく。するとプラズマボールのようなものが出現し、そこからレーザー光線が放たれ男集団は消え去っていた。跡にはポリゴンが浮遊していてとても幻想的だ

まぁ、これで「一件落着!めでたしめでたし!」で終われば最高なのだが、世の中そんなには甘くないらしい。

的をなくした召喚獣達が一斉に俺の方.......と、下のお兄さんのほうを向く

あーこれやばい奴だー。

まぁ、俺がやられることはないが下のお兄さんは危ない。

どんな歴戦の戦士だろうがあんな奴らとタイマンはれるのは........俺ぐらいだろう。俺は歴戦の戦士じゃないけどね!

そんなことよりあの近づいて来てる奴らをどうにかしなきゃ.......

いや、普通に倒そ。

「あれ?!私がだした召喚獣は?!」

少女が再び声を出したのは俺が召喚獣とやらを倒しおえたわずか0.5秒後だった。

いや、気付くの早すぎだろ。

「全部倒したよ。」

俺は素っ気ない感じ言った。

「あんたのその力。テスター能力か?」

「初めて会った人に話す必要なんてないわ。」

「そうか.......。まぁ少し気になっただけだからいいや。」

「..........」

なんだか冷めた雰囲気になってしまった。

「おーいそこにいるお兄さん。」

「なんだね?」

「これからどうすんだ?」

「どうするって言われてもなぁ。取り敢えずそこの少女を......」

「違うね。俺が言ってるのはこいつのことじゃねぇ。あんたのギルドをどうするかってことだ。」

「勿論何とかして抜け.......」

「いちいち俺にバレるようなシラを切る意味があるか?」

「?!」

お兄さんが.......いや、『鶏肉の生姜焼き』の元リーダーが驚く。

「いつから分かってたんだ?」

「あんたがギルドを辞めたいって言った時。どうせそこの女もグルだろ?。それから突っ込ませて貰うなら自分のことを良くあそこまで褒めることができたな。」

そうだ。このお兄さんは少し前に自分のことを『ギルド運営うまく、誰にでも優しい。』と言ったのだ。

高校入学の自己アピールよりヤバいと思う。

「別に騙すつもりは無かったんだ。」

「そりゃー俺を騙したところであんたのメリットは無いからな。」

俺がトップギルドのギルメンだったら話は違うけどね!

「俺が聞きたいのはあんたの.......今はリーダーじゃないからあんたのギルドじゃないかも知れないが、『鶏肉の生姜焼き』をどうするかは聞きたいだけだ」

「リーダーをいじめないで!!」

少女が俺とおっさんの間を阻む。

別に虐めてるってわけじゃ.......。

「シャルル......」

「あんたは私達のギルド事情とは無縁のはずよ。ここから立ち去って。」

「嫌だって言ったら?」

「全力で捻り潰すわ。」

案外汚い言葉使うのね!

「おーこわいこわい。」

ま、確かに関係無いことだから仕方ないな。

俺は両手を上げ、回れ右をする。

「待ってくれ!」

お兄さんが俺を呼び止める 。

横の少女は驚いた顔をしていた。

「出来ることなら俺はあのギルドに戻り、ギルドを前のように戻したい!その為に手伝って欲しい!」

「報酬は?」

手伝うにもタダで手伝うことはしない。UKMに似てきたな。

「『鶏肉の生姜焼き』をあんたの後ろ盾として使用していい。」

ま、悪くはないな。完全ソロの俺からしたらトップギルドの後ろ盾はとてもおいしい。

使い道は殆どないけどね。

「了解した。一応あんたには警告して貰った件もあるからな。」

警告されなかった場合困るのはさっきの集団だろうけどな。

「助かる!俺は『鶏肉の生姜焼き』の元リーダー『浜野屋の店長』だ。気軽に呼んでくれて構わない。」

あー、あの大手牛丼チェーン店の浜野屋だな!美味しいよな、浜野屋!

「こいつは.......」

「自己紹介ぐらい自分でできます!こんな奴に自己紹介する意味があるのかも疑問ですが。」

一言多いぞ?ちっぱいよ。

「私はシャル⚫︎・デュ⚫︎アよ。私の名前は呼ばないで。まず、私に話しかけてこないで欲しいわ。あと、私の名前に伏せ字を入れたのは何故かしら?!」

「なんでって.......お前の名前、イ⚫︎フィニ⚫︎ト・スト⚫︎トスのキャラのパクリだろ?」

「なんであんた知ってるのよ?!」

「そりゃー見てたからな!しかもそのキャラ俺の一番お気に入りのキャラだからな!!」

「っく!!貴方なんかと好きなキャラが被ったなんて.......」

なんて奴だ.....。

「どうせなら髪の色とか、アバターだけじゃなくて、体型も同じような感じにしろよ!あと喋り方も一人称を『僕』にしろ!!まったくこれだからにわかは......」

「......かたないでしょ.....。」

「え?なんだって?!」

声が小さくて聞こえないなー。

「仕方ないでしょ?!リアルがBカップなんだから!」

あーそう言えばそうだった。

ロクサスノーツというゲームはここも珍しい所だとおもう。というかこれにいたっては一種のバグで、キャラをクリエイトする際、端末に登録されている性別と同じ性別でクリエイトしてしまった場合、体格がリアルと同じように強制設定されてしまう。

つまりネカマは簡単にできるが、こいつのような某アニメのキャラをパクってクリエイトしようとすると、全く別のキャラになってしまうことが多いのである。まぁ、そのキャラと全く同じスタイルの持ち主なら可能だが。

「まぁ......なんだ......すまん.....」

いろんな意味で。

「フンっ!」

こりゃー完全に嫌われたかな。

「あんたも自己紹介しなさいよ。」

「あー。俺、ロミテカ。チーター。よろしく。」

「えらいカタコトね。」

「あくまでも俺は手伝う身だからな。簡易的な自己紹介だけで十分だろ。」

「キーーーーッ!イラつく奴ね!!」

なんだ。猿か。

店長が猿をなだめだす。

「これで自己紹介は終わったな。それじゃあ、作戦会議といこうか。」

俺たちは宿屋で5時間程作戦を練って別れた。

作戦決行は明日の午後3時となった。





今回からロミテカルートに戻ります。

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