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第55話 珍獣? その8

 濛々と立ち込める土煙で視界が奪われるが、少し経つと土煙はおさまり視界が戻る。

 そこには、完全に土砂で埋まった通路があった。

 通路があった場所に近づいて、聞き耳をたてるが何の音もしなかった。


 「フーッ」


 俺が、一息ついていると、

 

 「フーじゃねぇよ!フーじゃ。どーすんだよ。出入り口ふさいじゃって!」


 カインは両手を腰に当てて、少し前かがみの状態でプンプン怒っている。

 ムーイとキュィは俺とカインを交互に見て、わけがわからない様子だ。


 「いや、しょうがないだろ。迫りくる強そうなハイコボルトたちがいたんだから・・・」

 

 「でも、出口はココしかねぇじゃんか!」


 カインは奥の戦闘でこの洞窟は2つの空間しかなく、2つめの空間の先が行き止まりであることを知っている。

 

 「ごめん悪かった。・・・取り敢えず、出口になりそうな場所を手分けして探そう」


 俺はそう言うと、3人はしぶしぶ洞窟内を見回ることにした。

 カインたちは第2の広間を見ることにし、俺は第1の広間の土壁を叩いたりして見て回る。

 しかし、出口らしい穴は見つからなかった。

 しばらく、あちこちを探し回っていると、 


 「兄ちゃーん、こっちにきてくれ」


 カインが第2の広間をつなぐ通路口から大声で俺を呼んだ。

 俺は急いでカインの後についていく。

 カインは第2の広間の奥の天井を指差した。


 「あそこの木の根がむき出しに出ているところ見てよ。なんか揺れてない?」


 「揺れてるな」


 「ということは、風が通り抜けてるってことだよね!」


 「そうだな。地上への出口かも知れんな。・・・問題はあそこまでどうやって行くかだな」


 「どうしよっか?」


 俺とカインが話し合っている間に、いつの間にかムーイとキュィも集まって、4人ともに頭を抱えて考え込んでいる。


 「第1の広間にあったコボルトたちの戦利品に何か使えるものが無いか見てみるか?」


 「わかった」


 俺たちは第1の広間に戻り、山積みにされたコボルトたちの戦利品の中から、1つ1つ使えそうなものが無いか手にとって見る。


 ショートソード

 ブロードソード

 バトルアックス

 皮の鎧

 鋼の鎧

 ・・・


 どうやら、コボルト達の戦利品の多くは武器・防具が中心になっているようだ。

 

 「使えそうな良い武器と防具があれば、この場で装備の変更しろよ」

 

 俺はカイン達にそう言いながら、使えそうな物がないか物色する。

 冒険者のルールとして、魔物から奪い返した物はそっくりそのまま奪い返した人のものになるのは暗黙の了解だ。

 どのみち、奪われた者は生きてはいないだろうが・・・。


 その中に見た目が高価で、鍵のついた鉄の箱があった。

 何だろうと思い、山の中から引っ張り出してあちこちを見る。

 しばらく持ち上げたりして見回していると、いつの間にかカイン達が興味深げに見ている。


 「なあ、これの鍵になりそうなものないか?」


 カイン達はみな首を横に振って答える。


 (しょうがないな。いっそ壊すか)


 俺は短剣を取り出し、箱の隙間に刃先を差し込んで柄の部分を岩を手に取って叩く。

 ちょっとずつ刃先が隙間に入っていく。

 ある程度隙間に刃先が入り込んだところで、しっかり箱を持ってテコの原理で無理やり箱をこじ開けようとした。

 

 パキィン

 

 思いっきり力を入れたら短剣が折れてしまった。

 仕方ないのでもう一本取り出して、最初の短剣の刃の横の隙間に再度差し込む。

 結局短剣を3本駄目にしたところで、箱の鍵がぶっ壊れた。


 中にはきれいな赤いシルクの布が大量に入っており、その真ん中に大きな卵が入っていた。

 

 「なんだこれ?」


 俺は卵を取り出して、あちこち見回す。

 大きさはダチョウの卵くらいあり、けっこう重く中身が詰まっている。

 そして、卵に耳をつけて中の音を聞いて見ると、中からカリッと音がした。


 「生きている!?」

 

 卵なので生きているのは当たり前だが、ちょっとびっくりした。


 「兄ちゃん、それたぶん何かの魔獣の卵だよ」


 「魔獣の卵?」


 「そう、うまく育てれば結構使えるらしいよ」


 「結構高価なものなのか?」


 「さあ、どうだろうねぇ。卵の種類によるんじゃない」


 「ふーん、まあいいや。そんなことより何か使えそうなものは見つかったか?」


 「ああ、これとかどう?」


 カインはロープとシャベルを俺の前に出した。

 結局、コボルトの戦利品の中からは武器・防具が主で、脱出に使えそうなものはあまり無かった。

 しかし、俺たちはそれぞれ武器と防具を新調することができた。

 俺はくたびれた皮の鎧を脱いで鋼の鎧に着替え、剣も鉄のショートソードから鋼鉄のショートソードにかえた。

 ムーイとキュィは共に皮の鎧から革の鎧にかえて、弓も小弓から大弓にかえた。

 カインは皮の鎧から鋼の鎧にかえて、盾をやめて両手持ちのバトルアックスに変更した。



 俺たちはロープとシャベルを持って、第2の広間の4m近い高さの木の根の下に集まった。

 

 「どうするの?」


 「俺が、レビテーションで近くまであがって、木の根にロープをくくりつけて、あのあたりを調べて見る」


 俺はそう言うと、自分自身に浮上魔法をかけて天井の木の根がある場所に近づき、一番しっかりした木の根にロープを縛り付ける。

 そして、シャベルを取り出して、根が密集している部分をガシガシ突いてみると、木の根がポキポキ折れてパラパラと落ちていく。

 どんどんシャベルで突いて根を折っていくと、ちょうど人が1人通れるくらいの大きさの穴が出来た。

 俺は根を掻き分けて中に入っていくと、風が通ってくることを感じたので、穴から体を出して下にいるカイン達に叫ぶ。


 「風が通ってる。この先地上につながってるぞ!」


 「マジで!?」


 「よっしゃー」


 カイン達は3人飛び跳ねて喜んでいる。

 俺は再度穴に上半身を突っ込んで、木の根をシャベルでつついて取り除いていく。

 木の根は腐っていて、結構簡単に進むことが出来た。

 小1時間程度上へ上へと根を掻き分けて進むと、3mくらい進んだ。

 そこまで到達したところで、横から風が吹きぬけてくるのを感じたので、土と岩を手で掘り返していくと空洞が見つかった。

 俺は泥まみれになりながらその空洞の中に入ると、そこから更に3mくらい上に外への出口が見つかった。

 俺はもと来た穴を顔を突っ込んで叫ぶ。


 「おーい、出口が見つかった。登ってこーい」


 「わかったー」


 下からカインの声が聞こえた。

 俺は、再度レビテーション魔法をかけて何とか外に出た。

 出た先は、俺たちが斜面の上から襲撃をかけた場所のすぐ近くの岩が密集している場所であった。

 周囲の安全を確認するが、コボルト達の気配はまるで無かった。

 その後すぐにロープを取り出し、近くにあるしっかりした木に巻きつけて、岩の中にたらす。

 少し時間が経ったところで、ひょっこりカインが顔を出した。


 「おお、地上に出れた!」


 「キュィたちは?」


 「今、すぐ下にいるよ」


 俺たちが話をしている間に、ムーイとキュィも体中泥だらけになりながら穴から這い出てきた。

 

 「どうやら、見張っていた場所の近くに出たようだ」


 「ふーん、じゃあ、どうする?」


 「さっきの斜面の上の場所に行って、コボルト達がいるか一応確認しよう」


 俺がそう言うと、3人ともうなずいて同意する。

 4人とも斜面上から洞窟の入り口の部分を隠れながら見ると、洞窟の横穴は土砂で塞がっており、そこにはすでにコボルト達はいなかった。


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