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第36話 おいてけぼり その2

 俺はギルドのテーブルに座って待っていたゲイルたちに挨拶をした。

 

 「はじめまして、ヨージだ。」

 「よろしくね、ハンナです。」

 「バナッシュだ。」

 「・・・ミーナです。」

 

 俺はいつものように彼らのステータスをスキルで見てみる。


 弓職 ゲイル 男 人族 27才 LV21 ランクC リーダー

 戦士職 バナッシュ 男 人族 25才 LV20 ランクC

 魔法職 ハンナ 女 人族 26才 LV17 ランクC

 回復職 ミーナ 女 猫族 24才 LV18 ランクC


 やはりC級冒険者、俺よりはるかにレベルが高い。

 う~ん、俺はこれにあわせることが出来るのか?

 少し不安を感じつつあった。


 「よし、簡単な自己紹介も終わった。まあ細かいことは、移動しながら確認していけばいい。途中連携を確認するためにも弱い敵と戦闘を繰り返す予定だからな。」


 ゲイルは皆にそう言ってダンジョンに向けて出発を促す。

 俺達は南門を抜けて一路目的地の南東にあるダンジョンに向けて移動を始めた。


 パーティの基本的な戦闘形式はわかり易かった。

 まず、弓職と魔法職のゲイルとハンナが遠距離から先制攻撃を仕掛ける。

 その後、盾職の俺が相手を挑発してひきつける壁役に徹する。

 そして、戦士職のバナッシュが両手剣で力をためて1匹ごとに大ダメージをあたえていく。

 回復職のミーナが全員のダメージコントロールと周囲の警戒を行って補助する。

 先制攻撃後のゲイルは常時後ろから全体を見ながら各人に指示を出していく。

 盾職の俺が入るとかなり効率的に動くパーティになる。

 あえて言うならば、盾職がもう1人入れば非常に強固な感じとなる。

 はじめはレベル差にビビッていたが、俺自身の仕事は単純明快で難しくないのですぐに慣れた。

 ベースのステータスだと完全についていけないが、スキルボーナスを筋力+13・体力+8に振ってとにかく筋力で敵の攻撃に対抗し、高いスタミナで相手を長時間引き付ければ良いだけだ。

 合間合間に、ショートソードでちくちくダメージを与え相手を怒らせるという具合だ。



 「パーティ戦闘にもだいぶ慣れたな。」

 

 ゲイルが俺に聞いてきた。

 俺達はバレスを出て3日目の位置のダンジョン近くの森で野営をしている。

 俺とゲイルが焚き火を囲って見張りをし、残り3人は寝ている。

 

 「ああ、まぁ俺の役割は簡単だから。ただ黙って相手の攻撃に耐えるだけだ。」

 「・・・それにしても、ちょっと意外だったな。」

 「どういうことだ。」

 「盾職とみこんだ俺が言うのは変だが、見た目と違ってかなりパワーもあるしバナッシュに負けないほどのスタミナもある。」

 「なにか問題でも?」

 「・・・いやいや、良い意味での誤算だよ。本音はランク差を少し体感してもらって、へばったところで先輩風を吹かす予定だったんだがな。」

 

 ゲイルは苦笑いしながら俺に答えていると、


 「やめてよ!」

 「なによ!」

 「やめろよ、2人とも。」


 少し離れたところでテントを張って休んでいたはずの三人が騒がしい。

 俺がテントの方を見てゲイルの顔を見ると、ゲイルはやれやれまたか、という感じで立ち上がってテントのほうに歩き始めた。

 

 「おい、今度はなんだ。」

 

 ゲイルがハンナとミーナの間に入って仲裁を行う。

 

 「ハンナが、バナッシュにまたちょっかいを出している。」

 

 ミーナは涙声で言う。


 「ミーナ、そのことはもう話し合っただろ。お前とバナッシュとは関係が終わったはずだ。」

 「いや、だって、・・・。さっきも私が横で寝ているのにイチャイチャして・・・。」

 「お、俺達はそんなことはしてねぇ。なぁハンナ。」

 「そ、そうよ、ミーナの見間違いよ。」

 

 明らかに2人はきょどった返事をしている。

 ゲイルはめんどくせーなという表情で、ミーナに諭した感じで言う。


 「ミーナ、おちつけ。今はクエストの最中だ。そのことは終わってからな。」

 「・・・だって、だって、2人が・・・。」


 ミーナは半ば泣きそうな感じだが、しぶしぶ了承した。


 俺はそれを遠巻きに見ながら、なんかめんどくさいパーティだな、と率直に思った。

 旅の道中ですぐにわかったことだが、バナッシュは女癖がわるい。

 話すことすべてが女がらみのことばかりだ。

 そして、もともとはミーナと付き合っていたが最近ハンナに手を出し結果ミーナとは別れた感じだ。

 更にどうも、他にも女がいるらしい。

 そのため、ミーナは少々情緒不安定気味だ。

 その逆に、ハンナは元がさばさばした性格でその辺についてのこだわりみたいなものは無いらしく自由人だ。

 最後に、彼らのまとめ役であるゲイルは基本そのあたりについて無関心という感じで、問題が表面化するまでほっとくという感じだ。


 「う~ん、だいじょぶかこのパーティ。」

 

 俺は、つい心の声がぽろっと出てしまった。



 翌日俺達はダンジョンに到着した。


 「よーし、これからダンジョン内に入る。目的は10階層奥の場所に生えているバッファムだ。それとこれはダンジョン内の大まかな地図だ。」


 ゲイルはみんなにダンジョン内の地図を渡す。

 このダンジョンはバレスに最も近いダンジョンで、結構冒険者がもぐっている。

 まだ完全攻略はされていないが、15階層まではかなり詳細な情報がある。

 中にある特殊な薬草の場所や休憩場所や湧き水の場所など、どこに何があるか明確にわかっている。

 それらの地図が安値で売られているのだ。

 俺はそれを受取る。

 

 「じゃあ、入るぞ。」

 

 ゲイルは皆にそういうと、俺に先頭を促す。

 俺は、俺が先頭かよ!と内心ゲイルに突っ込みを入れたが、盾職なのでしかたなく先頭になって歩き始めた。

 中に入って感じたことは、7階層まではかなり楽に進めた。

 薬草採取が目的なので、逃げる敵は放置だ。

 また、地図がしっかりしているので迷うことが無く、ほぼ一直線に進んでいる。

 しかし、8階層から明らかに敵の強さと数が変わってきた。

 回復職のミーナと俺が交代で傷を負った者を回復しながら進むことになり、かなりスローペースになった。

 正直、10階層までこれでいけるか?という感じだった。

 そして、10階層に到着した直後に大とかげに遭遇した。


 「大とかげだ!ヨージ、奴を近づけるな!」

 

 前を見ると頭が胸の高さまである4mのサイズの大きなとかげが、こちらに向かって歩いてくる。

 ゲイルは大声で俺に指示を出す。

 

 「バナッシュ、ヨージの後ろで待て。ハンナ、風魔法を打て!」


 ゲイルは弓で大とかげをけん制しながら各人に指示をだす。

 ドガン。

 大とかげは俺に体当たりを食らわせ、俺は盾で受け止めたにもかかわらず2m後ろの壁まで飛ばされて背中を強く打ちつけた。

 ちょっとふらついたが、すぐに立ち上がり大とかげの前まで走り挑発をして引きつける。

 俺は、大とかげの足をショートソードで切りつけると大とかげの動きが一瞬ゆるんだ。


 「バナッシュ今だ!」

 「わかった。」


 俺はバナッシュに合図をすると、俺の真後ろに待機していたバナッシュが上段から大とかげの胴に斬撃をくわえる。

 ザシュ。

 大とかげの胴の一部がぱっくり割れて骨が見え、血が噴出す。

 しかし、大とかげの動きは更に強くなり暴れだす。

 俺はそれに対して必死に対抗する。


 「右から大とかげが2匹来ます。やばい!」

 

 周囲の警戒をしていたミーナが叫ぶ。

 大とかげの血に誘われたのか、2匹の大とかげが近づいてくる。


 「ヨージ、足止めしろ!」

 

 ゲイルはそう叫び、んな、無茶な!と俺は思うが仕方なく近づいてくる2匹に対して盾と剣で音を立てて注意を引く。

 そこからはもう無我夢中で戦った。

 1匹目は大暴れしたあと徐々に動きが鈍くなり始め、2匹目の大とかげはバナッシュが首を落としたことまでは覚えているが、それ以外はよく覚えていない。


 3匹目の大とかげをやっとのこと倒したら、俺はボッチになっていた。


 「さて、どうしたものか?」


 俺は死んだ大とかげをいすにして座り、この先をどうするか悩んでいた。

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