第26話 金稼ぎ 中編
街に帰った俺たちは、探索中に倒したゴブリンやオークの討伐部位を換金し3分割した。
翌日また同じように三人で平原前に集まる。
「今日はちょっと異なる方法を使う。」
俺はダンとケンにそう言うと、杖を取り出し意識を集中する。
俺の前の地面が急に光ったかと思うと、直径30cmの大きさの光の魔方陣ができた。
そして、その中から、
「チュン、チュン」
すずめの鳴き声が聞こえる。
「ヨージさん、すごいです。召喚魔法がつかえるんですか!」
ダンは俺を見て驚いている。
「ふっふーん、すごいだろ。ただ、使えるのは低レベルの召喚魔法なんで、呼び出せるのはねずみとすずめだけだけれどな。」
俺は最近やっと使えるようになった召喚魔法を使って見せた。
この魔法はかなり便利で、意識を集中すると召喚獣の視界と音を共有することができ、かなり細かく意識して動かすことが出来る。
ただ欠点は、召喚獣を維持するためのMPの消費が半端ない。
更に、召喚者から離れれば離れるほど消費量が増大する。
俺はMPを空っけつにするわけにはいかないので、このすずめを瞬間的に頭上高くに飛ばしバッファローらしき影の有無だけを確認して、あとは鷹の目で注意深く判別することにした。
「これでちょっとは探索範囲が広がるだろう。」
俺は2人にそう説明する。
しかし、その日も結局バッファローは見つからなかった。
また今日も昨日と同じように冒険者ギルドでゴブリン換金を行い宿に戻った。
「う~ん、思ったよりうまくいかないな。」
二日続けての空振りに少々凹んでいた。
俺は宿の浴槽の中で歩き回って疲れた脚の筋肉を手でほぐしながら、なかなか思うようにいかないことに焦っていた。
次の日も同様にすずめを使って広範囲を上空から探索し鷹の目でバッファローを探した。
そして、正午を過ぎて昼食を食べた後とうとう見つけた。
「いたぞ。」
俺は2人にそういい、
「よし、2人はすぐにバレスに戻り荷馬車を借りて来い。」
「「わかりました。」」
2人はバレス方向に走り出す。
俺はその2人の背中を確認したあと、徐々にバッファローに近づいた。
バッファローは平原に生えている草を食べることに夢中になっていて、徐々に近づいている俺に気づいていない。
大きさは前に倒したものよりかなり小さい。
俺はある程度距離が近づいたところで、杖を持ちアースフォールを唱えていくつかの穴を設置する。
準備が出来たらショートソードで盾を叩いてバッファローを挑発する。
すぐにその音に気づき、食事を邪魔されたのに怒ったのか真っ直ぐ俺に向かって突進してくる。
俺はすぐに杖に持ち替え、安全のために盾を前面にだし、前と同じように正面からバッファローと対峙して突進してくる奴との距離を意識しながらタイミングを待つ。
「アースウォール!」
絶妙なタイミングで俺は魔法を発動させる。
バッファローの前にいきなり1mの土が盛り上がり、瞬時にジャンプしてかわす。
そして着地しようと前足が地面につきそうになった瞬間、
バキボキバキ。
また前回と同じように非常に乾いた嫌な音が発生し、もんどりうってバッファローは俺の前を転げていく。
「グゥモー、グゥモー、グゥモー。」
バッファローはものすごい叫び声をあげ、必死に後ろ足で立とうとするが前足があらぬ方向をむいているため、後ろ足が氷の上で滑っているかのように、ばったんばったん倒れる。
俺は盾を構えて用心深く近づき、解体時に確認した心臓の位置めがけて一気にショートソードを突き刺すとあっけないくらいに簡単にバッファローは動きを止めた。
「よっしゃー、大成功だ!!!」
俺は自分が考えた方法がうまく行ったことに歓喜した。
バッファローを見つけ出し、魔法で弱らせ、解体時に得た情報から弱点を突き、一撃で完璧に相手をしとめる。
うーん、自分でも完璧すぎるほどの理想的な狩りになった。
5時間後、ダンとケンは荷馬車を持って戻ってきた。
3人でバッファローを荷馬車に積み込み意気揚々とバレスに戻ることにした。




