第25話 金稼ぎ 前編
エルスタットとの出会いの日の翌日、俺はギルドで依頼書を出した。
「戦士職か盾職のF級冒険者2人求む。日当2人で2000ゼニー。仕事内容は基本は運搬のみ。ただし、ゴブリンレベルと多少戦闘する可能性有り。仕事の説明は宿屋エルバンにて依頼者本人から説明。依頼主ヨージ・タナカ」
俺は子供冒険者のカインたちを助けたときに、実は楽して金を稼ぐ方法を考えていた。
そのため、ギルドには一切報告せず、カインにも1割の報酬の中には口止め料も入っているから口外するなときつく言って聞かせていた。
その日の午後に、2人の冒険者が依頼を受けに宿屋に来た。
冒険者が俺を訪ねて2人くることを事前に話しておいたので、エルバンが俺の部屋に2人を通した。
冒険者の名前と能力を確認する。
戦士職 ダン 男 人族 19才 LV5 ランクF
戦士職 ケン 男 人族 18才 LV5 ランクF
ダンは背が高く細身で槍を使い、ケンはずんぐりむっくりして剣とスモールシールドを使うようだ。
完全に凸凹コンビである。
2人は同じパーティメンバーで、日当が良いので仲間を説得して依頼を受けることにしたそうだ。
「よろしく。」
俺は、右手を出して二人と交互に握手をする。
「「よろしくお願いします。」」
冒険者ランクは俺が下だが、年上で依頼主であるため2人は丁寧な受け答えをした。
「じゃ簡単に仕事の説明する。」
「わかりました。お願いします。」
「仕事はいたって簡単。バレス平原に3人で行き、俺が指示したら二人はバレスに戻って荷馬車を借りてそのまま同じ場所に戻ってくるという寸法だ。多少ゴブリンなどに出会う可能性があるのでそこで戦闘になるかもしれないが、基本逃げて回避してもいい。重要なことは荷馬車を持ってくることのみだ。何か質問は?」
ダンが質問する。
「荷馬車には何を載せるのですか?」
「取り敢えずそれは載せるときに説明する。」
ケンが質問する。
「日当とあるんですが、拘束時間はどのくらいですか?」
「基本朝の8時に平原に行き、夜の7時にバレスに戻るかんじだ。」
2人は考えている。
そこでもう1つ重要なことを付け加える。
「日当の2000ゼニーについては、仕事の内容の秘密厳守が含まれているのでそれは必ず守ってほしい。」
通常、荷馬車を取ってくるだけで2000ゼニーは割りのいい仕事だ。
ただ、秘密という言葉に二人は不安を感じたようだ。
ダンは再度質問する。
「期間が記入されていなかったのですが?」
「あっ、すまんすまん。単純に忘れていた。予定では取り敢えず1ヶ月を予定している。ただし、場合によっては長くなったり短くなったりする。どうだやるか。」
「ちょっと待ってください。」
2人は俺の反対のほうを向いて、こそこそ話し合っている。
数分後結論が出たようだ。
「この依頼受けます。」
「よし、決定だ。明日の朝8時にバレス平原と麦畑の境の道で落ち合おう。」
「「了解しました。」」
2人は元気に答えた。
翌日、俺は新しく買った盾を背負い、魔法の杖を腰に下げ、ショートソードのみをもって宿を出た。
まだ8時には多少時間があったが、バレス平原入り口にはすでに2人の姿があった。
「おはよう」
「「おはようございます」」
2人は昨日と同じように元気にこたえた。
「じゃあ、行こうか。」
俺は2人を促し、先頭を歩いてバレス平原に入っていった。
「それで、これから何をするんですか。」
ダンが俺に聞いてきたので俺が答える。
「これから、バッファローを探す。」
「えっ、バッファローですか?」
「そうだ」
「それで、どうするんですか?」
「倒して、バレスに持ち帰る。」
「いやいやいや、無理ですよ。あれは平原ではレアでなかなか遭遇しないですし、基本C級の討伐モンスターなので俺たちじゃ殺されますよ。」
「問題ない。俺はもう先日1頭討伐している。それに戦うのは俺一人だ。2人は発見したら指定した場所に荷馬車を持ってくるだけでいい。」
今度はケンが俺に聞く。
「一人でやるんですか?」
「ああそうだ。前もほとんど一人だった。」
「でも・・・、俺たちが荷馬車をもって戻ったときに万が一のことになっていたらどうするんですか。」
「そのために、先ほど前渡で2000を払ったじゃないか。あと、最悪そうなったらその辺にでも埋めてくれ。」
「えーーー。そんなの嫌ですよ。」
「だいじょうぶ。だいじょうぶ。余裕だから♪ あと、仕事は全部秘密だからそれだけはわすれるなよ!」
ダンとケンは2人顔を合わせて、たいじょうぶか、この人は?という顔をしていた。
そうして広いバレス平原の1区画を俺は鷹の目を使いながら1日歩き回り、結局その日は見つけることが出来ず夜になりバレスに取り敢えず三人で戻った。




