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第1話 スキルボーナス

 それから毎朝、シスターに起こされ子供たちの朝食を作り、午前中は子供たちと一緒に建物の掃除をして、それが終わると昼食を作り、午後は子供たちの遊び相手をして、夕方には夕食を作り眠った。

 あっという間に1ヶ月がたった。


 1ヵ月も経つと流石にその生活にも慣れ、ある程度相手の話す単語が聞き取れるようになった。

 まだまだ発音は変だが、こちらの言いたいことを伝えることは出来るようになった。

 文法は日本語のように、最後に動詞がくるタイプで、発音は英語のような感じである。

 単語さえ覚えれば比較的スムーズに会話が成立するようになった。

 まだ発音や動詞の活用形など細かく見れば、駄目駄目だが、片言で喋る外国人のようなレベルにはなった。


 それで神父さまからいろいろなことを聞いた。

 ここはガレスト大陸の南西部にあるアルバニア王国内のガーレン伯爵領にあるタレスという小さな辺境の村らしい。

 ・・・・もう完全に異世界決定である。

 とりあえず、話がややこしくならないようにするために、神父さまたちには自分は記憶喪失で気づいたらココにいて、自分が誰であるかもわからず、言葉もわからないと無理やり説明した。

 正直記憶が無い以外は、すべて当たっているような気がするが・・・

 とりあえず、神父さまたちはその説明で納得してもらった。

 ちなみにココはやはり教会で大地神アポルという神様を信仰する宗教の教会で、神父さまは神父さまでシスターはシスターと言うことだった。

 子供たちは、5年前にアルバニア王国内での内戦で孤児になった子や、生活苦で育てられなくなった捨て子を神父さまが集めて育てていると言う事だった。

 教会の運営予算は教会本部からの援助が50%・領主が25%・村が25%のお金を出してぎりぎりラインで生活していた。

 ちなみに村の外には異世界のお決まりで、魔物が存在し、基本は剣と魔法の世界である。


 そうして1ヵ月生活が過ぎ、その間にある発見をした。

 それは異世界にきて35日目の夜の事である。

 ベッドで寝ていて天井を見ると、右斜め上にタッチパネルのボタンのようなものがピコピコ光っていることに気づいた。

 最初は虫かと思って手で払うと、いきなり目の前に半透明のウィンドウのようなものが展開されて、縦右側にステータス・装備・アイテム・スキルというボタンがあった。

 なんだこれ?と思ってステータスボタンを押すと、正面の画面が切り替わり田中洋二と27歳とLV1とスキルボーナス2と各種能力値パラメータが表示された。

 体力1筋力2器用さ2すばやさ1魔力2


 「・・・低っ!?」


 もともといろんな面で才能無いことは自分で理解していたが、これはあまりにも低すぎじゃねぇ?と思った。

 同様に装備・アイテム・スキルのボタンを押してみた。

 装備を見ると、上スエット・下スエットと日本語で表示されている。

 アイテムを見ると、何も表示されなかった。 

 とりあえず、ズボンのポケットに床にあった小石を入れると、アイテム欄に小石と「ピッ」と表示された。

 最後にスキルボタンを押すと、上下左右のスクロール画面になり、ズラッと大量な?ボタンが並んでいた。

 各種矢印で左から右にボタンがつながっている。

 とりあえず、上から適当に押してみたが何の反応もない。

 ムキになって、左側のボタンを上からなめるように人差し指でスライドしていく。

 ・・・全然反応無し。

 ずーっと押しまくっていくと、とあるところで「ピッ」という音が聞こえたので、あわててスクロールボタンで画面を上にずらして行く。

 その中に、1つ光っているボタンがあった。

 そこには「鷹の目」と表示されていた。

 スキルというのだから、何らかの能力であろう事は確かだ。

 名前から「鷹のような目」が使えると推測できる。

 とりあえず、部屋の木の窓を開けて外を見る。

 丁度満月の日で、夜中なのに結構明るい。

 遠くに人影が映っている。

 こんな夜中に誰だろうと思い、目を凝らすと一気に焦点中心が拡大して相手の顔が判別できた。

 それは三軒隣に住んでいる親父で、鼻歌歌いながら酔っ払って千鳥足で歩いていた。


 「すげぇ!!」


 なにこれ、自動望遠機能?


 「倍率30倍くらいか?」


 正確には焦点を中心に望遠となり、焦点から離れると通常の倍率になっている。

 意識を緩めると通常の目視と同じになった。

 超高機能オートフォーカス式望遠鏡である。

 これはいろいろムフフな状況で、使えると直感的に思った。

 もう一度、スキル画面を開いて、鷹の目ボタンを押すと、暗転した。

 どうやらONOFFが出来るようだ。

 画面全体を見ると、下にスキルボーナスという欄があることに気づく

 鷹の目ボタンを押すと数値が2→0になることがわかった。

 どうやらスキルボーナス値がスキルボタンに影響しているらしい。


 「なにこれ、よくあるお約束のチートじゃね?」 


 その後、すべてのスキルのボタンを押してみて、もう1つスキルを起動できた。

 それは「ステータス表示」というスキルであった。

 その夜は結局そのステータス表示について何の機能なのかわからず、とりあえず寝た。

 次の日シスターに起こされて、初めてステータス表示の意味が理解できた。

 シスターの頭に、アリア LV2 女 人間 16才 スキルボーナス2というウィンドウがプヨプヨ浮かんでいた。


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