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第17話 バレス観光その1

 ガフィさんに装備一式を渡し、修繕・調整まで最低3日はかかるので、とりあえず今日からバレス観光をすることにした。

 よくよく考えたら、護衛から休むまもなく魔物討伐と最近俺は働きすぎだ。

 金もそこそこたまったし、都市の中も知りたいのでいい機会だ。


 「おやじさん、今日からちょっとバレスの観光するつもりなんでちょっと聞きたいんですがいいですか。」

 「おうなんだ、俺が知っていることなら何でも答えるぞ」


 宿屋のカウンターに座っているエルバンは身を乗り出して答えた。


 「えっとまず、街の中でここは行かないほうがいいような場所とかありますか?」

 「それなら、居住区の奥のスラム街だな。あそこは昼間でも薄暗いし、ひどいときは日中に殺人もあるような場所だ。伯爵様の威光でこの街はかなり治安がいいが、あそこだけは駄目だな。」

 「場所的にどこになりますか。」

 「ちょっとまて、えーっとこのあたりに街の区域地図があったはずだが・・・。おっあった。」

 

 カウンターの前に都市の地図を広げる。

 都市は円形状になっており、地図の上に北門、下に南門、右に東門、左に西門があり、中心の伯爵城からまっすぐ道が引かれている。

 そして、それはそのまま4つの区画に分かれ、時計回りに居住区、歓楽街区、商業区、工場区と文字が書かれている。

 

 「ええっとな、ここらあたりだな。ここがうちの宿屋で、北門の真下にある。居住区は右側だ。その城壁に近い一番奥の端のこの区画がスラムだ。」

 「ふむふむ、じゃあ宿屋の左側の区域はなんですか?」

 「ここは、ガフィたちのような職人が集まって、いろんなものを作っている工場区だ。」

 「ではその下のここは?」

 「そこは商業区で武器、防具、アイテム、その他なんでも売っている。そして西門のすぐ横がお前らの冒険者ギルドでこの辺になる。」

 「ではその横はなんすか?」

 「東門から南門にかけての区域は、歓楽街だ。酒場や賭博場や娼館などがある。」

 「へぇ~」

 「まあ、いろいろ楽しむならここだな。俺も行きたいが、今は金がねぇから行きたくてもいけねぇが。」

 「あと、第二門を越えた内側は貴族様方のお屋敷があり、通常平民は一切立ち入り出来ないから注意しろよ。まあどのみち門には門番がいるから入れないけどな。」

 「わかりました。ありがとうございます。」

 「おう、どうてことないさ。楽しんでこいよ。」

 「じゃあ行ってきます。」


 そういうと俺はとりあえず、バレス内をぐるっと半時計周りに回って観光することにした。

 宿屋から大通りに出て、西に向かって歩き始める。

 ここら一帯は工場区で工場が軒を連ねている。

 大小さまざまな建物があるが、どこも大きな搬入口を持ち、中では職人たちがなにやらいろんなものを作っているみたいだ。

 元は工学部の機械科を卒業しているので正直何をやっているのか興味があるが、どうせ部外者立ち入り禁止に違いないので遠めであれこれ見ながらざっと眺めていく。

 鉄の精錬をしたり、ハンマーで金属を叩くような音がこだまする。

 別の場所では衣類を縫っている様子も見られる。

 街全体の基本的な生活用品はここで作られているのがよくわかる。


 あっちこっち見ながら2時間ぐらい歩き回ると、西門にたどり着いた。

 とりあえず、ギルド近くにきたので中に入ってみる。

 相変わらずセリーヌちゃんの前には野郎どもが並んでいる。

 横の年増のおばさん受付員がぶすっとした表情で、ちらほらくる女性冒険者の対応をしている。

 セリーヌちゃんは忙しそうなので話をするのは諦める。

 そこで、ギルドの壁にズラッと並んでいる依頼書を見る。

 

 「わかんねぇ」


 俺はまだ文字があまり読めない。何とか会話は違和感無く出来るようになってきたが、いかんせん読み書きまでは手が回っていない。

 どうしたものかと思案しているところに、服の端を引っ張られた。

 

 「兄ちゃん、どうしたんだ。」


 そこには昨日助けた子供冒険者のカインが立っていた。

 ちょうどいいのでカインに頼むことにした。


 「いや、ここにある依頼書の内容がしりたいんだが、お前読んでくれ。」

 「えっ? 兄ちゃん魔法が使えるのに文字がよめねぇの?」

 「いやいや、ここの国の文字が読めないだけで、俺の国の文字は読めるさ。」

 「ふーん。ホント兄ちゃん変わっているな。ガレスト大陸では言葉は共通だって俺は私塾で習った気がするんだけど、他にも別の言葉があるのか。ふーん。」

 

 俺は、ヤバっ と瞬時に思った。

 大陸全土で共通言語だったとは知らなかった。

 まあ、変になんか納得しているのでまあいいや。


 「とりあえず。そうだなF級の稼げそうな討伐依頼を教えてくれ。」

 「えーっ、F級で楽に稼げるような仕事はあるわけないじゃんか。もしあれば俺たちがやってるよ。」

 「えっ!?そうなのか。」

 「そうだよ。G級は街の雑用、F級がちょっと割高な雑用と簡単な討伐クエスト。それなりに稼ぐには最低E級にならなきゃどうしようもないよ。」

 「そうか、そんなに楽はできないということか。」

 「っていうか、そもそも兄ちゃんは何級なんだ。」

 「俺か、俺はG級だ。」

 「えええええええええ!!」

 「おい、声が大きい。そんなに驚くな。みんなが見ているだろ。」

 「いや、だって兄ちゃん俺たちの下じゃんか!」

 「だからなんだ。助けてやっただろ。」

 「あのな、兄ちゃん。解体屋のおやじも言っていたけど、バッファロー討伐は中堅のC級の討伐クエストだぜ。なんでG級の兄ちゃんが倒せるのさ。ありえねぇよ」

 「おまえなぁ、実際に助けてもらってそれを言うか?だいたい、人が決めたことにはいろいろと穴があるのがあたりまえなの。特に俺は天才だし。もうちょっとお前も頭を使え。」

 「いーや、違うね。兄ちゃんが変なだけだよ。」

 

 そういうとカインは不貞腐れた様子で、そっぽを向いてしまった。

 これ以上は何を聞いても無駄だなと感じて、俺はカインをそのままにしてギルドを出た。

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