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第9話 初めての冒険者ギルド

 村長の一筆とマーレさんの後見で門番の検問は無事に問題なく終わり、すんなりと都市に入れた。

 都市の中に入って俺は更に驚く。

 当たり前だが、身なりの整った人が大勢いる。

 これまで商隊が物資の売買のために各村を転々を回っていったが、正直どこもタレス村と大差なかった。

 皆粗末な服を大事に使っているという感じで、正直皆すべて少しみすぼらしい感じだった。

 それもそのはずで、皆ほとんど農民ばかりだからだ。

 そして、商隊は大体月1のペースでルート営業する感じで、どこの村もそれを心待ちにしている感じだ。

 まあ、娯楽の少ない辺境の村々はいろんな商品と土産話を持ってくる商隊はある意味大きなイベントの1つなのだろう。

 実際、村人の多くは村を出ることはなく大概はそのまま一生を終えるらしい。

 結構閉鎖的で保守的な感じがするのはそのためだ。

 たぶん、俺を受け入れてくれた神父さまは冒険者として旅をして、いろいろ見聞し視野が広かったからすんなり俺を受け入れてくれたのだろう。

 そういう意味では、本当に俺は運が良かったといえる。 


 そんなことを考えていると、


 「よーし、馬車をうちの商会まで移動させるぞ。すべてはそれからだ」


 マーレさんはそう言って、馬車をダレン商会に向かわせた。

 ダレン商会は代表者のダレン氏を頂点にした、各村々を行商することをメインにした商会の1つだ。

 マーレさんはその商会のNO3の地位にいる結構えらい人らしい。

 商人補助のカレンさんは道中マーレさんのことについてあれこれ教えてくれた。

 ダレン商会はバレスの中では中堅規模の商会だが、やり手のダレン氏が一代で作り上げた商会だということだ。

 マーレさんは10年前にそのダレンさんと一緒にダレン商会を立ち上げた起業メンバーの一人だということだ。

 本来ならわざわざ危険をおかして自分で行商に出る必要はない地位にいる人だが、あちこちの村々をまわるこの仕事が好きなのだそうだ。


 商会に荷物を運び入れたあと、マーレさんは


 「カレンとガッシュは商品の再確認と売り上げを本店にいるダレンに報告しろ。俺はこいつと一緒に冒険者ギルドに行く」

 「わかりました。お気をつけて」


 2人は一礼して、すぐにその作業に取り掛かる。


 「よし、じゃぁ行くか!」


 マーレさんは俺の前を歩き、ガル達を連れて同じ商業区内にある冒険者ギルドに向かった。

 これは城門前の身分証の件の話の後で決まったことだが、冒険者ギルドに入会するにはそれなりの手順があるらしい。

 本来は冒険者見習いからはじめて、ある程度ギルドと信頼関係が出来たら正式採用という形になるらしい。

 つまり、見ず知らずの人間をいきなり採用するのは普通はありえない。

 まあ一般的にいう、正式採用前の試用期間で様子見ということだろう。

 ただ、冒険者見習いはいろいろな面で足元を見られる。

 ギルドのサービスもほとんど受けられないし、依頼の成功報酬も4割カットらしい。

 ある意味冒険者は見方を変えるとならず者の集団なので信頼をえるのは大変ということだ。

 そこで、マーレさんのような都市内でかなり信頼のある人が後見人になってくれると、いきなり正式採用になるらしい。

 先ほどの城門前でのやり取りで、少しからかわれたが旅の道中ちゃんと俺のことを見ていて信頼に足りると判断してくれたみたいだ。


 「一応言っとくが、俺も通常はこんな簡単に後見人なんかやらないからな!あくまで、俺が個人的にお前が気に入ったからやってやるんだからそのところを忘れず感謝しろよ」


 マーレさんは俺に一応釘をさす。


 「もちろん、わかってますよ。感謝感謝で涙がちょちょぎれますよ」

 「お前、本当に感謝しているか?」


 俺がちょっとおどけた感じで受け答えすると、ほんとに大丈夫か?という表情でこちらを見る。


 「マーレさん、さっきのヨージさんの態度は正直幻滅ですが、俺たちもヨージさんにはいろいろ助けてもらったのでその辺で勘弁してあげてくださいよ」


 ガルが俺にちょっとフォローを入れてくれた。


 そんな話をしながら15分程度歩き、目の前に大きな建物が見えてきた。


 「あれが俺らが所属している冒険者ギルドです」


 ガルが指差して教えてくれる。


 「じゃ、ちゃっちゃと手続きを終わらせるぞ。俺もこのあといろいろ仕事が詰まっているんだから」


 とマーレさんが言い、冒険者ギルドの扉を開けて俺を含めて7人が建物の中に入った。

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