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7/12

第五の話 この小話はライターがお送りしました

俺達の戦いはこれまでだ!

 ドーモ、ミナ=サン。コロコロです。作者本人が作品に登場するというのはタブーなのですが、基本的にこの小説なんでもありっちゃありがコンセプトなので、まぁ有り体に言えば開き直っちゃってる感じなので大丈夫だと思います。

 さて、本日私がこうやって地の文を使って登場した経緯なのですが、そこを説明させていただこうと思いましたが、読者の皆様が持つインスピレーションをフルに活用し、宇宙からの電波を受信していただければ、おのずと察することができるでしょう。早い話がノリです。基本この小説はノリでできてるんで問題ありません。インスピレーションがどうのこうの言ってすいませんでした。

 では、前置きはこれくらいにして、本日のお話を。本日は第一部『勇者以上魔王以上 第百五十九の話 この小話はライターがお送りします』に続く形となる、他のキャラクター。正確に言えば、アルスとクルルとフィフィ除いた、異世界組のそれぞれのお話をつらつらと書かせていただこうということです。


 それでは、早速彼らの私生活がどんなものなのか。いざ、レッツ・エンジョイ!!






「ねぇママ見てー。あの黒い人お魚屋さんの前の水槽の中に入って正座しながら何か言ってるよー?」

「しっ! よしおちゃん見ちゃだめよ! ていうかまたあの人!?」










 さて、記念すべき一人目、というか第一部では龍二アルスクルルフィフィという順番だったんで実質四人目ですが、四人目はブェックショイ!!!! ちくせう、全身ずぶ濡れマジ寒いわぁ。おっと、失礼。四人目は、


「…………」


 高層マンションの一室、背の高い本棚に囲まれた書斎の奥まった場所にある机の上で、電灯の明かりの下で分厚い本を読む、長い黒い髪を後ろへ流した長身の女性。立花・久美・アンドリューさんのお宅で居候中のインテリ戦士リリアン・ヴェルバーさんです。

 背丈ほどもあるでっかい斧を振り回して敵を戦国無双よろしく薙ぎ倒すその豪快な戦闘スタイルにも関わらず、趣味はもっぱら読書という無口無表情クール系お姉さんのリリアンさん。本日も相変わらず少し埃っぽい部屋で本の虫状態となっております。すでに彼女の机の周りには読み終えた本がうず高く積まれており、一部では彼女の頭を通り越しているというアンタどんだけ本読んでんだホントに。


「…………」


 静かな部屋では、本の紙を捲る音のみが一定の間隔で聞こえる程度。そんな彼女が読んでいる本のタイトルは『相対性理論の極み ~これであなたも脳筋野郎~』というなんか論理的な本なのか肉体的な本なのか、ていうか極みって何だ極みってとかいうツッコミが入りそうなよくわからないものでした。

 因みに回りに積まれている本の背表紙や表紙には『アームジョー』やら『カニ光線』やら『人は転生を繰り返す』やら『DG細胞のすゝめ』やら『見飽きた花』やら、小説系や哲学系やら色々やばいような本が書かれてありました。興味がある物は手当たり次第読んでるといった風ですね。


「……ふぅ」


 かれこれ30分ほどして、ようやく今読んでいた本を読み終えたらしく、パタンと閉じて机に置いて、目頭を左手の指で抑えつつ顔を上げたリリアンさん。ふと壁にかけられた時計を見てみると、すでにお昼を過ぎていました。


「…………また徹夜した」


 しばらく見てからぽつりと一言。つまり日付変わってから今までずっと本読んでたということですね。すごいですね。本バカですね。


「……ごはん…………の前に、お風呂入ろ」


 どうやら入浴すら忘れて本に没頭していたようです。まさに本バカですね。本のバカです。本の後ろに“物”を付けたら意味が変わりますね。

 おっと、椅子から立ち上がって書斎を後にするようです。本は後で片づけるようですね。今からお風呂だそうです。

 書斎からまっすぐ洗面所へ向かい、鏡を見るリリアンさん。さすがに夜中ぶっ通しで本を読んでいただけに、髪の毛がはねにはねてますね。ぼっさぼさです。元の艶やかな黒髪が台無しです。元々半開きな目から見えるブルーサファイアのような瞳もどこかくすんでたり、若干目元に隈ができてますね。それでもお肌はカサカサにならないのはどうしてでしょうか。世の女性を敵に回しかねませんね。


「…………ひどい顔」


 ひどいのはあなたのお肌の高品質っぷりです。

 何にせよお風呂に入ってスッキリした方がいいでしょうね。と、そう思う間もなく、いそいそと服を脱ぎ始めたリリアンさん。


 まず袖を通さずに防寒対策のつもりで羽織っていたカーディガンを取っ払い、シャツを脱いで引き締まった背中を存分に見せつけるリリアンさん。


 次いでロングスカートのホックを外してシャツ同様脱衣籠の中に入れ、見た目カモシカのようでいて、その中を引きしまった筋肉が隠された足と、白いレースの下着を履いた大きすぎないヒップを見せつけるリリアンさん。


 白いレースブラの背中のホックを外してから、振り返って少し硬直、左腕で豊かなバストを隠しつつ、先ほどの半開きの目とは打って変わって戦闘モードの時のみ見せる鋭い目つきになって、けどその目がなんか涙目になってて、顔なんてもう真っ赤っかで、どこから取り出したのか自前の得物である斧をこっちに、





 あ。











 さて、では引き続き、次は大きな家でもある楠田邸へとやってまいりました。次は勇者パーティの唯一の魔導師キャラでもあるスティル・グライアさんの私生活をお見せたいと思いまおっと油断すると体が縦二つに分かれてしまいそうです。ご飯粒は偉大です。

 いやーにしても初めてですよ、脳天唐竹割を食らったのは。もうびっくりしすぎて叫びそうでしたからね。まぁとりあえず手元にあるカメラにはばっちしさっきの光景撮っといたんで問題ありませんけどね。こいつで一儲けしてやるぜへっへっへ。


 おっと、私の隠れた本性が露わになるところでした。では気を取り直して、スティルさんの様子です。


「…………」

「…………」


 場所はダイニングルーム。大きめのテーブルの前に座る、短く整えられた茶髪とサラサラの金髪のイケメンコンビ。茶髪の雅、金髪のスティルさんです。通称イケメンツッコミコンビと呼ばれているお二人です。


「さぁ、どうぞ。今日は自信作なのよ」


 そんな彼らの後ろで、嬉しそうにニコニコ笑う茶髪のセミロングの女性、雅の姉である涼子さん。朗らかな笑顔と胸にかかっているピンク色のエプロンが素敵です。



『シャガゲガガガガガゲゲアアアアアアアアアアアア!!』

『ギギギギアアアアアアアアアアエエエエエエエエエ!!』



 そして場違いなまでにテーブルの上でなんか叫んでる物体二つ。なんか目とか牙とかそんなん付いてる。色はなんかえらいことになってる。ていうかRPG物に出てくるモンスターみたいな奴にしか見えないよこれ。

 そんな二つの物体RXと対峙する雅くんとスティルくん。手に持つ物はフォーク。刺せってか。そんなチャチな刃物で目の前の化けもん刺せってか。


(……これ何の自信作なんだろうな)

(あれですね、錬金術とかその辺りの自信ですねきっと)


 そんな彼の脳裏に過るのは、先ほどまで台所で調理していた涼子さんの隣にうず高く積まれたたくさんの野菜やお肉たち。スーパーで普通に売ってる食材たち。うまく調理すればきっと絶品料理に変貌するであろう食材たち。

 それがこんな姿になってしまっては、食材たちも浮かばれないに違いないでしょう。絶対。というかどういう過程でこういうことになったのか小一時間問い詰めるべきだと思いますね私は。


(ああ、俺があの時強く引き留めておけば……)

(過ぎたことを後悔しても仕方ありませんよマサ。というより私としてはどうしてこう、生物兵器を平気で量産できるのかが不思議で仕方ありませんよ今更すぎな気もしますけど)

(だって姉さんだもの)

(やめてください姉さんという単語が誤解されます)


 そしてアイコンタクトで会話を成立させてしまうツッコミイケメンコンビのお二人マジパネェっす。


「……つかぬことを聞くけど姉さん。これ、何ていうバケm……料理なんだ?」


 とりあえず寿命を少しでも伸ばそうと雅は無駄な抵抗のつもりで涼子へ質問。人、それは無駄な足掻きと言います。


「ああ、これ?」


 そんな雅にフフフ、と朗らかに笑いながら答える涼子さん。


「ビーフストロガノフとサーモンのカルパッチョよ」

(いっぺんビーフストロガノフとカルパッチョに対して腹切って詫びた方がいいと思う)

(そもそもどの辺にその要素があるんでしょうかね)


 実の姉にそんなツッコミを入れるわけもいかず、心の中でハリセンでぶっ倒す雅とスティルなのでした、まる。


(やべぇ、やべぇぞ……姉さん、これ正真正銘の料理と思って作ってやがる。失敗作だなんて思っちゃいねえ。残すっていうか拒否ったらやばい)


 冷や汗ダッラダラな雅くん。それと同量の汗を滝の如く流してるスティルさん。二人の脳裏にはこの状況をどう打破するか、いくつかのパターンを構築して、最良の脱出方法を検討して、そして出た結論。


「二人ともどうしたの? 食べないの? ……もしかして、迷惑だった……?」

「「いえ、食べます」」




 頑張って作った料理を食べてくれないことに対して涙目になる姉には勝てなかったよ……。




(……こういうのって、ある意味悪質だよな。悪意ない分、逃げ場ないもんな……)

(ああ、女性の涙に弱い自分が恨めしい……)


 雅はシスコンゆえ、スティルはフェミニストゆえ、目の前の地獄からは逃れられないと悟ったようです。

 いまだ皿の上で奇声を上げている物体RX。これを食べたら、ほぼ、いや、確実に人体に異常をきたすでしょうね。怖いですね。普通の食材が生物兵器とかホント世の神秘ですよね。


 やがて腹くくったのか、大きく深呼吸した雅とスティルはフォークを手に取りましたね。


「……スティル」

「はい」

「……俺、実はやりたいことがあるんだ。好きな女性は今いないんだけどよ、いずれできた彼女と一緒にさ、俺……」

「マサさん、それ以上はいけません」

「だけど!」

「生きましょう」

「っ……!」

「生きて……また会いましょう。そして、その時に……語ってください。あなたの夢を……」

「スティル……」

「…………」

「…………よし……逝こう!」

「はい!!」






 茶番の真っ最中の間に抜け出してきた私の背後から、この世のものとは思えない断末魔が聞こえてきましたけど聞こえませんでした。









 さってと、本日最後のお宅訪問! 三件目は魔王クルルの側近双子、カルマとケルマのロウ兄弟です。その類まれなる魔力をいかんなく発揮して、かつてはアルス達を窮地に追いやったとされる、幼い見た目からは想像もつかないような実力の持ち主でもある彼ら。そんな彼らは、生徒会長である斉藤香苗さんの木造二階建ての家で居候の身。二人は普段、どんな生活を営んでいるのでしょうk


【ガッシャアアアアアアン!!】


 アイエエエエエエエエエ!? 窓ガラス!? 窓ガラス粉砕ナンデ!?


 っと、思わず素が出ました。いけないいけない。気を取り直して現状観察。


 二階の窓ガラスが割れてなんか銀髪の黒いのが飛びしてきて目の前の玄関前に頭からベチャッと着地しました。何を言っているのかわからねぇが、ホント何がどうなってんでしょうねこれ?

 あ、よく見たらこのボロ屑、ロウ兄弟の片割れですね。見た目は判別つかないのでどっちがどっちかわからないと思われますが、ここまでボロボロになるということは、ケルマですねこれ。あの変態性。どうしてあんな変態キャラになってしまったのか。未だ私の中の謎です。唐突なカミングアウトごめんなさい。


「うう……カルマめ……よくも……あれ、アンタは……」


 ドーモ、ケルマ=サン。通りすがりの黒装束です。


「いや……アンタ、もしかして作」


 私はこの小説の一登場人物であり、決して作者とかいう存在ではありません。いいね?


「アッハイ」


 それで、いきなりどうかされましたか? 二階から降ってくるなんて穏やかではありませんね。


「そ、そうだ……カルマめ……よくもやってくれたなぁ……!」


 そう言ってフラフラしながら立ち上がろうとするケルマ君。よく見たら右頬がいい感じに歪んでいますね。また喧嘩してましたねこれは。

 原因は何なんでしょうね?


「今度という今度は、さすがの僕も怒ったぞ……後悔させてやる!!」


 ウオオオオオオオッ! って叫んで勢いよく扉開けて家の中へ飛び込んでいきましたね。そんで勢いよく閉めましたね。律儀ですね。あ、せっかくなんでタイム測っときましょうね。


 数秒経過。未だ静寂。


 数十秒経過。あ、なんか怒鳴り声。


 数分経過。すごい打撃音。


 数十分経過。なんか中から「ごめん、ホントごめん、もうしません、もう逆らいません、許して」って声が聞こえてきますね。意味はわかりませんね。


 三十分後。家の扉が開きました。中からはロウ兄弟の特長でもある銀髪赤眼の低身長の男の子が、なんかこっちを見て胡散臭そうな顔をしてました。


「…………」


 …………。


「……何かご用ですか?」


 あ、いえ。


 バタンってな感じで閉じました。うん、あの落着き具合から見るに、あれはカルマ君ですね。テンション高めなのがケルマで、落ち着いてるのがカルマです。

 それ以外? そうですねぇ、大体さっきみたいな感じで両拳と頬になんか赤い液体がベットリ付いてるのは大抵カルマくんだと覚えたらいいと思います。そんで今回は見てないですけど十中八九ミンチよりひでぇことになってるはケルマだと覚えていてくれたら幸いです。てか多分現在進行形でそんな状態になってると思います。


 さて、じゃ帰りましょうか。なんかここで突っ込んでったらひどいことになりそうですからね。触らぬ神に祟りなし。









 いかがでしたか? 今回はアルスとクルル以外の異世界組のメンバーの私生活を覗いてみました。いろいろとなんか失った気もしますけど、まぁ見てる分には楽しかったので私はよしです。

 因みに実際に人斬ったら死にます。私はご飯粒でどうにでもなるので大丈夫ですが、よい子は真似しないでくださいね。お兄さんとの約束だ!


 では、いずれまたどこかでお会いしましょう。サラダバゴベゴボガベ







「ねぇママ見てー。あの黒い人なんかお魚屋さんの前の水槽に頭から突っ込んで溺れてるよー」

「あ、もしもし警察ですか? 魚屋さんのところに犬神家ごっこやってるバカがいるんです」


【はい、てなわけで遅くなりましたが投稿しました。やめたと思いました? すいません、生きてます。まだまだ書きます。別の話も並行して書いたりモチベーション上がらなかったり仕事しんどかったりのんびりすごしたりといろいろと大変。

こう、第三者が作品に登場するのはタブーという感じのお話ですが、私はテンションあがると、ついやっちゃうんだ☆ ていうことで、これがこの作品のコンセプトなので勘弁してつかぁさい。

次の投稿はいつになるかなー……日曜投稿の宣言が早くも崩れ去ってしまって申し訳ないです本当に。

けどまだ書きます。暇を見つけて。というわけで、またいずれお会いしましょう。また見てコロコロ!】


※以上、現場で見つかった手紙から抜粋。大部分は血でぬれていて読めない。尚、被害者は死に間際に「斧持った女戦士が」と言っていた模様。周りには写真だった物の紙が散らばっていたが、内容は切り刻まれていて見れなくなっている。

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