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息抜きでわぁっと書きはじめた作品です。
勢いだけで出来た物ですので、色々突っ込みどころだらけかと思いますが、気に入っていただけましたら幸いです。
2/24誤字脱字修正
この妄想はご覧の駄作者の暴走でお送りしていきます。
やや日当たりの悪い入り組んだ路地。
其処は街をはしる主要な通りに建ち並ぶ家々と比べ、隣り合う家との隙間も少なくまた其の見た目もくすんだ所が目立ち、其の上どこか作りも安くさく見える物が並んでいる。
手入れに入れられた力具合も明らかに目立つほど、どこか継ぎはぎだらけのそこを、なれた足取りで歩く、規則正しい足音を響かせ、タッタッタと其の路地の奥へと吸い込まれていく。
其の足音が止まった先、そこには其の空間に似合いこそすれ、やや建物の作りが大きめの、それでもやはり古臭く、安くさく、その建物の用途から考えると、どこか寂しそうに静謐とした空気を滲ませた、二階建ての建築物。
申し訳程度に作られたような門柱があり、そこを潜った先にでかでかと掲げられた看板には
― 此れ池荘 『空室あり』 ―
と、大きく、それはそれは立派な字で書かれていた。
此れ池荘はどう見ても築30年は越えているようにしか見えない外観をし、其の住戸数は一階、二階共に八戸、併せて十六戸の居住空間を持っている。
木造りの簡素な作りに見えるが、それでいて長い年月を崩れることなく耐え、未だその内にて生活を営んでいる住民を迎えている。
その様は歴戦の猛者とは言えずとも、老い死に逝くのみの古参の老兵の如くとまでもいかない、まだまだ現役でいけるんじゃね? てよりまだ現役だし? いいから契約して住めば? という感じに見えなくも無い。
とはいえ、この建物の持ち主は、何時その崩落の牙が住人を襲うかも知れない自身の持ち物に、住人が居なくなったら取り壊したいんだけどなぁと思っていた。
それであるのに、未だそこから動くことを良しとせず、共に戦うが如く根を張り、そこを終の棲家と定めたと言わんばかりに腰を降ろす住人が居るのである。
これはそんな此れ池荘の住人の一人、205号室に住むとても不運な青年、山田 信士君(18)の色々巻き込まれた上どうにもならなくなった挙句、微かな光明に引き寄せられてなんとか勝ち取ってみたものが、結局碌でもなかった物だったとは…これからどうしよう、とほほ
と途方に暮れていたときに出会った206号室の住人に紹介されてここに住むことが決まり、そしてこれから頑張って行こうと心に決め、決意を新たに歩む姿の物語。
に、なるのかな? なればいいなぁ……まぁ、明日から頑張ろう。
ふとそんな昔を思い出し、重くなる足取りに暗いオーラを纏って備え付けられた外階段を、ギギッと嫌な音を響かせながら上り始めた。
きっかけは、突然だった。
其の日も何時ものように帰宅後、風呂に入り、晩御飯を食べ。
さて今日も頑張ろうと生活習慣の一部と化したパソコンの電源を入れを終え、起動音の後に浮かび上がったひとつのアイコンをクリックする。
中学生の頃から嵌まり始め、今でも続けているオンラインゲームである。
『天上転華』
それがこのゲームの名前である。
メインストーリーはあるものの、それに沿った行動をする必要はなく、とにかくやれることが多いゲームであるそれには、毎年一回だけというイベントがあった。
魔王討伐
イベントの日にだけ開放される魔王城側に出現する特殊ワンフロアフィールドは、一度に入ることができるのはただ一人。
その入場者が討伐に失敗、もしくは制限時間を超過したら、再びその門が開かれて、次なる挑戦者を迎え入れる、ということを繰り返すイベントであり、討伐成功者は世界全体へとその名前を轟かせることになるという。
が、未だにその光景は見ることができていない。
その討伐第一号になるべく様々な場所でレベルをあげ、様々な数の武器防具をそろえ腕を磨きと、今では先の見えないメインストーリーよりも、その年に一度のイベントに熱意を向けるユーザーが大半を占めるようになっていた。
信士もまた其の一人であり、知人がログインしてない時はひた向きにソロプレイの腕磨きに勤しんでいた。
友人が居る時は武具の強化素材やレアアイテム集め、メインストーリー進めてみたいという意見があればそれに助力したりと、そんなありふれた楽しみ方でそのゲームを楽しんでいた。
さて、今日は何処に行ってみようかと、自身のキャラクターをその世界に送り込もうとした時。
ディスプレイ踊った文字は、何時もの見慣れた
”Now Loading”
の文字ではなく
― Welcome to the world ―
という見慣れない文字と、それを目にした途端暗転し始める視界が――――
以降ここは、とある一室を舞台にします。
読んでも読まなくても本編に支障はありません。ただの趣味です。
裏話、ネタばれは今後でてくるかもしれませんが、そこはご容赦を。