『旅の僧と娘と大量のプレスマン』
あるとき、旅の僧が、田舎の村を通りかかり、外から人が来ることが珍しいその村では、僧をもてなして、村の外の話を聞きたがったので、旅の僧も、都の話や城下の話や、天竺の話などを聞かせたところ、村の庄屋が大層感激して、身の回りの世話をするため、娘をついていかせるから、大切にしてくれ、と言い、翌日村を出るとき、本当に娘がついてきた。旅の僧は、僧である自分についてきても、正式に妻にできるわけでもなく、夜道を歩きながら、急に娘が不憫になって、川を橋で渡るときに、来世で沿うのはどうだろうと言うと、娘は、何だかいろいろなことがどうでもよくなって、父親から持たされた風呂敷包みを、川に捨てた。あたりが暗かったので、旅の僧は、娘が身を投げたものと思い込んで、自分も飛び込んだが、泳ぎができたため、死ぬことはなく、流れていた風呂敷包みも回収して、やや下流で岸に上がることができた。風呂敷包みを持って、もとの橋に戻ると、娘が待っていたので、村まで一緒に戻って、庄屋に返した。風呂敷包みは、庄屋が受け取らなかったので、お布施だということにして受け取った。中は大量のプレスマンで、だから沈まなかったのかと合点し、ほどなくある寺の住職を頼まれたので、引き受けて、奉納したところ、手習いの寺子屋として、意外なほど繁盛したという。
教訓:多分、庄屋がおかしい。




