#4「学園の謎」
#3の続きです。
プロローグ「過去」
残酷な真実は人を狂わせる。
忘れた過去を取り戻した先に何が残る?
僕は何を忘れた?僕は何をしたい?
今、彼にはこんなことを思わせるかもしれない。でも君が依頼したことだ、完璧に遂行してみせる。
情報屋として、知っておきたいことなんてたくさんある。
しかし時に思う、彼と同じ探求心が残酷な真実を知ってしまったり、忘れたいほどのことをまた見てしまうことにもなる。
人は行動しなければ変われないという、しかし人は行動をしなくても「周り」が変えてしまうきっかけを持ってきてしまうこともある。
果たして、どう行動した方が「正しい」のだろうか。
第1章「欠けた日常」
12月3日 午前9時。
あまりにも受け入れがたく、心のどこかで気づいていたことが確信に変わった。
「さっそく本題だけれども、君は約一年分の記憶が消されている。また、その消された内容に関するものを思い出させないように「日常や常識などに必要最低限な記憶は消さない」ように上手く消された。分かると思うけれど、誰かの都合に悪いものを君から消したようだね。こちらでもまだ調査してるから、もう少しだけ待ってもらえるとありがたい。――コード135」
あまりにも非現実すぎて頭が痛くなる。
「誰かの都合に悪いものが消された」?何を消したのか気になるじゃないか、そんなの。
そしてもう一通、メールが来ていたことを思い出し確認してみる。
内容はこうだ。
「それと、校長室の調査はしてくれたのかい?あそこで過去に校長殺害事件があったんだけどいまだ未解決のままでね、それに、校長室にあるはずの空間が改装工事の後間取り図から消されたらしい。調査して結果を報告して、それじゃ。――コード135」
これは行方不明事件の手掛かりに校長室の写真もあったが、調べてなかったことを思い出した。
しかし校長室なんてどう調べれば……。
「なーにしてるの?お兄ちゃん♪」
と、後ろから水連が話しかけてきた。
驚いた僕はとっさにスマホの画面を消し、水蓮と話す。
「何もしてないよ、ただ友達のメッセージを見ていただけだよ」
「ふーん……もしかして彼女さん?」
「違うよ?!ていうかいないし!」
「えー?嘘だぁ~新しい女を見つけたんでしょ~」
「いやいや、僕今までに彼女作ったことないよ」
その時だ、水蓮の顔が一瞬険しくなったのは。
「え?何言ってるのお兄ちゃん。まさか静野ちゃんとの関係をなかったことにする気なの?」
……静野?そんな名前は一度も聞いたことはない。なのになぜか、その名前を聞いた僕はうっすらと花畑にいる誰かの姿が見えた。
誰だろうか、この美しい女性は……?
そんな僕の姿を見た水連はハッとした。
「そういえば花蓮お姉ちゃんが「ここ一年、猫吉兄さんの様子を見てるとね、何か欠けてる気がするの。こう……なんか昔の出来事に囚われなくなったところとか、まぁそっちの兄さんの方もいいんだけど。私は……欠けすぎるのも良くないかなって思うの。」って、お兄ちゃんは静野ちゃんの死から暗かったのにどうして急に明るくなったの?」
「死んだ……?静野さんって人が?その人の死を僕が悲しんで暗くなっていた……?」
まったくもって分からない。本当に誰なんだ。
――その時思い出した、あのメールに書かれていたことを「また、その消された内容に関するものを思い出させないように「日常や常識などに必要最低限な記憶は消さない」ように上手く消された。」「誰かの都合に悪いもの」
つまり水連が言った静野という人物は誰かの都合にとって悪く、僕の記憶から消された誰かだ。
第2章「非日常」
色々やることや知りたいことが山ずみだ、そのため一旦整理をしてみる。
まず最初にメールの内容から。
僕は約一年間の記憶を誰かの都合よく消された。
これにより調べることは「誰が記憶を消したのか」、「何の目的があったのか」、「一体何を消されたのか」
次に、校長は過去誰かに殺害されたが、いまだ犯人は見つからず未解決。
その後改装工事などにより校長室にあるはずの空間が消された。
これにより調べることは「犯人が誰なのか」、「校長室のあるはずの空間はなぜ消されたのか」
それと、大学の階段から物音がする件もある。
だが解決するには、行ってみないと出来ない。
こうして、僕たちは猫好き学園へと向かった。
水連は、何か考え事をしているのか、ずっと頭にはてなマークを浮かべてそうな顔をしていた。
そんな時、ふと思い出した。「猫好き学園不可解現象」という物を、図書館で見たことがある。その現象の1つに「大学一階階段から謎の物音、オカルト研究部が調査したが霊的なものはなく、また物音は彼らが調査している期間は鳴らなかった」という記載があったのだ。
さっそく図書館に行って関連情報を調べようと思い行ってみる。
あの時の本があるかを受付カウンターでの手伝いをしている図書委委員に聞いてみる。
……誰かの視線を感じる。
そう思い視線を感じる方へと向く、するとものすごい睨んでくる女の子が居た。
誰だろう?そう思っていると水連が「井上陽子ちゃん、私と同じ一年だよ」と教えてくれた。
井上という名字をまたもや聞いた、一体僕たちに何の用なのだろうかと思いつつも教えてもらった本の場所に行く。
肝心の本は見つかり、中身を読み進めるうちにわかったことがいくつかある。
どうやら物音が鳴るのは大学一階の階段だけではないらしい。イオンモール内にある一階床、第二ごみ処理場壁、職員棟一階階段、など様々な場所で謎の物音がするらしい。
複数の個所で同じようなことが起こっているのは何か関係があるとしか思えない。
と、その時「あの、猫吉さんであってますよね?」と声をかけられた。
それは図書館で睨んできた井上陽子だった。
第3章「忘れた者」
「はい、僕は黒川猫吉ですけど。僕に何用でしょうか?」
陽子は少し驚きこう言ってきた。
「前までは気まずかったのか知らないけど目をちゃんと合わせられるようになったのね。」
まるで前の僕を知っているような言い方だが、この人とは一応初対面のはずだ、それに先ほどから水連が顔を下に向けているのが気になる。
「失礼ですが、君とは初対面ですよね?なぜそのような態度を?」
「初対面って?!まさかあなた……私を忘れたの?!」
本当にこの女は何を言っているのかさっぱりだ、そう思っていると水連が口を開いた。
「ごめんね陽子ちゃん、お兄ちゃんは記憶が消えてるみたいなの。だから……」
「まさか……姉さんのことも忘れてるとか言わないでしょうね?!」
水連の顔が青ざめるのを見た陽子は僕に向かって叫ぶ。
「私は……、あんたの大切な人、「井上静野」の妹よ!あんたは姉さんが死んだときものすごく悲しんでいて、半年経ったら平然と過ごしているように見えて、今こうして確認してみたら実は私のことも、姉さんの事も忘れたですって?!ふざけないでよ!」
……まずい、図書館では静かにするのがマナーだからこの子をどうにかして落ち着かせなければ。
「とりあえず、ここでは静かにするのがマナーですし、一旦場所を変えて話しませんか」
僕がそう言うと相手も周りの様子に気が付いたのか、落ち着きを取り戻して僕たちと一緒に図書館を出て話をすることになった。
学園内にある小さな公園エリアのベンチで、僕たちは事情を説明した。「何者かに記憶を消された事」、「消えた原因を探している事」、「今はその手掛かりになりそうな事件を調べている事」、そして「静野さんの事や陽子さんの事は何も覚えていないという事」
これらを説明して相手が納得するとは到底思えなかったが、理解はしてくれた。
以外に冷静で読み込みの早い子という事に驚きつつ、とりあえずその場を収め去ろうとした。
その時「待ちなさいよ」と呼び止められた。
「最後に確認させて、あなたは過去を思い出して何をするつもりなの?」
「何をするつもりなのか?」という問いに僕は少し迷ってしまった。なぜならただ知りたいという探求心が僕をここまで突き動かしていたのだから。
「分からない」そう答えて僕たちはその場を去った。
エピローグ「謎の場所」
さて、調査を再開……と行きたいのだが、そもそもオカルト研究部ってのが調査している期間物音はしなかったという事からおそらく知ろうと動くとその現象は起きないという事。
まぁ本当に調べてみないと何も分からないので、その物音のする場所に行き潜伏してみる。
しかし二人だけでは10個ほどのエリアは調べられないので、何か記録のようなものを残すため定点カメラをイオンで購入し設置してみることにした。
12月4日 午前4時。
結果夜の間僕たちが潜伏していたエリアでは何の物音もならなかった。
そして定点カメラを回収、映像を見ていると、謎の物音の正体が分かった。しかしその正体は怪奇現象などではなく、人工的なものだった。
なんと物音がするエリアに覆面をかぶった男が謎の個所は触り、ボタンのようなものを押したその時、エリア内の床や壁の一部が動き、その先に通路が現れたのだ。
隠し通路の開閉音、これが謎の物音の正体だったのだ!
そして、僕はあの通路の先はどこへつながっているのかという事が気になり、謎の覆面が現れたエリアに行き、その覆面がやった手順を映像を見て再現してみたところ見事に隠し通路が出現した。
正直、ここまで来たら後戻りできないのと同時に、自身の安全を完全に保証できないというリスクに気づいた時には、僕たちはもう進んでいた。
――一体この先には何があるのだろうか?
#5に続きます。
お楽しみに




