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引きこもり姉ちゃんの中の人、魔王です。だけどアイドル始めました。  作者: 風谷 華


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第6話 昼休みのドタバタ

昼休みのチャイムが鳴った瞬間、教室は戦場と化した。


「購買ダッシュ班!先陣頼んだ!」

「ヨーグルトは任せろ!」

「席取り部隊は!?」

「プリンが絶滅するぞォ!!」


誰もかれもが、己の“昼”を確保するために動き出す。

まるで狩猟民族。胃袋のために命を賭ける祭。


そんな中、平然と机に座っている“姉ちゃん”……の中身、魔王ヴェルネスは俺の方を向いて言った。


「照人。我、腹が減った。食を寄越せ」


「……いや、俺、弁当なんて作ってないし」

「なんと!?」

「そんなビックリする!? 現代高校生男子が弁当持参してる方が少数派だぞ!」


「我は魔王。料理など臣下の務めよ。そちは臣下。つまり……?」

「買ってこいって言ってんじゃねぇよ!!」




俺は財布を握りしめ、ざわつく廊下を駆け抜け購買へ向かった。


「パンどれでもいいから確保してくれ!」

「ヤマナミ製以外頼む!」

「もうメロンパンしかねぇよおおお!」


争奪戦の末、俺は奇跡的に「プレミアムたまごサンド」と「黄金メロンパン」を入手。

ダッシュで教室に戻ると――


「忠臣照人、よくぞ戻った!」


「帰還兵扱いすんな」


俺の机には魔王がドヤ顔で座っていた。

そして手をスッと差し出す。


「当然、たまごは我。お主はメロンパンじゃな?」


「配給制度みたいに決めんな!!」




俺がしぶしぶパンを渡すと、ヴェルネスはひと口でかぶりついた。


「……うむ、美味。やはり“民の味”は格別よな」


「“民の味”ってなんだよ。あとで“民のお小遣い”返せよ」


「精算は後日、異世界通貨でな」


「使えねぇよ!!!」




そんな茶番を繰り広げていたら、女子たちが数人、机の周囲に集まってきた。


「ねえ、いのちゃんって最近バズってた動画の子じゃない?」

「100万回再生のダンス姫! 生で見れるとか勝ち組じゃん!」

「しかも制服姿、バチバチに可愛い……!」


たちまち、ヴェルネスは女子たちに囲まれた。


「えへへっ、ありがとの〜♪」


さっきまでの魔王口調は完全に消え失せ、超ウルトラ笑顔モードに切り替えている。

しかも……さりげなくウィンクまで決めてきた!


「キャァァァァ!!!本物だぁ!!」

「今、心臓がときめいて死ぬかと思った!!」


俺は呆然と見ていた。

この短時間で、姉ちゃん(の身体)を使った魔王が、クラス女子の心を完全に“支配”していた。




「……やっぱあの子、何者なんだろうね……」

「動画見たときもすごかったけど、実物の可愛さやばくない?」


そんな会話が飛び交う中――

教室の隅。窓際の席に、一人の女子生徒がじっとヴェルネスを見ていた。


制服の着こなしはパリッとしていて、表情は冷たく硬い。

誰とも話さず、ただ一人で弁当をつついている。


そして、視線は……東雲いのに、真っすぐ向けられていた。


「……あの子、なんか……ムカつく」


小さく、誰にも聞こえない声で呟いた彼女は、東雲いのが“姉がいじめて不登校にさせた女の子”だとは気づいていない。


ただ、何かが引っかかるように、苛立ちが胸に募っていた。


(なんか……気に食わない。ちょっと綺麗だからって調子に乗って、気持ち悪い。)


その感情の気持ち悪さがなぜなのか、彼女自身よく分からなかった。

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