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完璧少女  作者: パナバナ
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出会い

皆様こんにちはパナバナと言います。

こちらのサイトで投稿するのは初めてですね。

普段はpixivで投稿しているのですが、今作品はあっちのサイトとは毛色が違うかなと思って投稿させて頂きます。

拙い文章ではあると思いますが少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。

では、物語の世界へどうぞ

—完璧

何も欠点がなく完全であるさま。


日常的な会話でもよく耳にするこの言葉の多くは主に大袈裟な誇張表現として使われることが多い。

だが稀にその言葉を体現したかのようなものがある。

数式、理論…そして完璧な人間。

前者の二つは早々覆されるものではないが『完璧な人間』そんな存在はこの世にはいない、だが現実に俺の目の前でそう呼ばれてる一人の女性がいる。


『椿未来』その人の事である。


彼女は俺らの通う学校の高校二年の同級生だ。

別に高校はこれといって特徴がある高校ではない、部活が強いわけでも、芸能人が通ってるとかでもない、ごくごく普通の学校だ。

だが彼女の名前は学校中に知れ渡り、なんなら今年の新入生の中には彼女目当てで入った人もいるとかいないとか…

何故そこまで彼女が有名なのかというと、親にある。

未来の父は椿グループという日本有数の大企業の会社の社長であり、彼女はそのご令嬢というわけだ。

更に家柄だけでなく、彼女自身も目を惹く容姿をしている。

日本人離れした銀色の髪にエメラルドグリーンの瞳、背はさほど高くはないが体の凹凸はハッキリしており、キリっとした目つきの中にどこかあどけない雰囲気がある、美しい女性というより可憐な少女といった印象だ。

おまけに成績優秀で運動神経も抜群ときたものだ、そんな一部の隙も無い彼女を見てみんなは口を揃えてこう言う、『完璧少女』と…

と、まぁここまで話したのはあくまで世間一般の人からの印象だ。

だが俺からしたら意外とそんな事もない、というか今そういう心持ちになった。

「時さん、あがりました」

「ちょ!おまっ!」

少なくとも下着姿のまま年頃の男子高生の目の前に現れる件の女はおおよそ完璧には程遠いものであった。

「…?どうかしましたか?」

しかもそれを本人が自覚していなさそうなのが一番タチが悪い。

「どうしたじゃねぇよ、服を着ろ!服を」

「別にみられて減るようなものではないと思うのですが…」

「そうじゃなくて…お前は知らない人の前に下着姿のまま現れるのが普通だと思うか?」

「…確かに、では服を着ます。」

「おう、そうしろ。」

そういって、俺は彼女に背を向ける。

脱衣所に戻れというツッコミをしようと思ったのだが、更にややこしくなると思ってやめた。

それよりも俺は後ろから聞こえる布の擦れる音がさっき見た下着姿も相まって無駄に意識してしまい理性を鎮めるのに必死だった。

「着ましたよ」

振り向くと、ダボダボのロングTシャツを着た未来がいた、ロンTのせいで見えないが短パンもちゃんと履いてはいるらしい。なんの躊躇いもなく服をめくろうとする彼女はやはりどこか抜けている。

「…これで満足ですか?」

「なんで不服そうなんだよ、それしかないんだから我慢しろ。」

「そうですね…ありがとうございます」

聞き分けが良かったり、しっかり感謝を述べることが出来るあたり育ちの良さが見える、お嬢様と聞くともう少し傍若無人というか、一般人なんてどうとも思っていないようなイメージがあったが意外と違うらしい。

「…で?お前はどうしてこんな真夜中に道端にしゃがみこんでいたんだ?」


そろそろどうしてクラスの負の集合体こと俺、時成哉がスクールカーストティア1の彼女を家に連れて来ているのか説明しよう。

それは、つい30分ほど前の事だ。

夜も更け備蓄していたお菓子が尽き、追加のものを買いにコンビニに行った帰り道、街灯の下に誰かがいるのが見えた。

きれいな銀色の髪と白いワンピースに加え街灯がまるでスポットライトのように当たるものだから天使と見間違えるほどだった。

ついにこの堕落した生活が祟ったかとか思ったがその天使が件の女だと理解するのにはそう時間はかからなかった。

「お前…椿か?」

「あなたは、時さん?」

「なにしてんだ、こんなとこにいたら風邪引くぞ」

最近は風も冷たくなり夜はかなり冷え込むようになってきた、ワンピース一枚では風邪を引いてしまうだろう、そもそも夜に女の子が一人で出歩いていること自体おかしいのだ、声をかけないわけにはいかない。

「別にいいです」

「いいですじゃないだろ」

彼女の吐き捨てるような言葉は静まり返った夜の街に儚く響く。

学校では作ったかのような張りつき笑顔で誰とでも一定の距離を保って接する。そんなイメージがある彼女がそんなパーソナルな所を見せてきた。それだけ今の彼女には余裕が無いという事なんだろう。

全てを持っているであろう彼女が一体何に怯えるというのか…

「あーもう分かった、じゃあうちに来い」

「は?どうしてあなたがそこまで」

「理由なんてない、強いて言えばクラスメイトだから、ほら行くぞ」

そういって俺は有無を言わさず彼女の手を取って家に連れてきた。

普段は人に過干渉しない俺がここまで彼女を気に掛ける本当の理由は多分同情ってやつだ、今の彼女は昔の俺にそっくりだった、自分には明確に壁が立ちはだかっているが自分の力ではどうにも出来ないから結局どうしていいか分からない。

多分彼女と俺がぶつかってる壁には天と地ほどの差があるだろうけど、心の苦しみは分かってあげられるつもりだ、俺なんかに何ができるかは分からないが誰かが傍にいないとこの子はいつか壊れてしまうだろう。

その傍にいる人は家族が適任なのだろうが、この状況を見る限り親に頼れないのだろう。

そして今は冷えた体を温めるためにシャワーを浴びせ今に至る。


「それは…」

だがやはりというか彼女にはあまり話せない事情があるようだ。

なら無理に聞く必要はないだろう、俺には関係ないことだ。

「…まぁいいや、別に無理に答えろとは言ってないし、それに明日は土曜日だ、服が乾いたら家に帰れよ。」

「…です」

「は?」

「いやです!私家に帰りたくないです!」

その声はわずかな怒気と多くの震えが混ざっていた。まるで何かに怯えた子どものようだった。

俯いていて目元は良く見えないが多分想像に難くないだろう。

「…そしたらお前、これから生活はどうするんだ?」

彼女の境遇からして金銭的なことは心配していないが、箱入り娘なのは明らかだそういう事は決まって生活力は無いのが相場というもの、だから彼女は一人で生きていけるようには見えなかった。

「それは…それとなくなんとかします。」

そして案の定計画的な家出ではなく、衝動的なものだったようだ。

だが『帰りたくない』この言葉に嘘はないようだ。さっきの震えた声がその証拠だ。

「お前の家は、というより親は何も言ってこないのか?」

「…」

「どうなんだ?」

言いたく無さそうに口を噤んだがこればかりは俺には関係ないことではない、未来を家に連れきた時点で彼女の次をどうするのかを決めるのは俺に責任がある。だから少し語気は強くなってしまうが問い詰める事にした。

「…多分、何も言わないと思います。というか探しに来るかも怪しいですし」

だが、渋々話したその回答はあまりにも無情なものだった。

「そうか、じゃあこの家に住め」

「は!?」

大きく目を見開いた彼女を横目に俺は指を二本立てて捲し立てる。

「理由は二つ、一つ目は女の子が一人で歩くのが危険だから、ましてやお前は他の奴より目を惹く外見に境遇、余計に危ないだろう。そして二つ目、どんな事情があるかは知らないがお前は椿の家の人間なのは事実だ。そんな奴が夜の街を歩いていたら変な噂をされるかもしれない、それこそ誘拐でもされたら今より大事になるのはお前も本意ではないだろ。」

「…何が目的なんですか?」

さっきとは一転ワントーン低くなった声と細めた目で俺を見る。どうやら俺の事を誘拐犯か何かかと思っている、と思ったがもっと別の言葉に反応したように見えた。

「別に目的なんてものはないよ、お前に会ったのも偶然だし、何より俺はお金に困ってるなんてことは無いから身代金なんてものも要求しない。もし俺がお前に何かしようとしたら通報でもなんでもすればいい。」

「…そこまで言うなら」

俺の丁寧な説明に少し安心したのか、納得してくれたようだ。

「まぁ少しは家事とか手伝ってくれよ?」

「それはもちろん」

「じゃあ決まりだ、よろしくな椿さん」

「こちらこそ時さん」

かくして、俺と椿の奇妙な生活が始まった。


作品を最後まで読んでくれた方、またあとがきから読み始めるという稀有なそこのあなたもとにかく見てくれてありがとうございます。

ありきたりな導入だと思うんですが、ここから先で面白くしていきたい、気持ちだけあります。

僕の筆の進み具合はすごく波があるので続きの投稿がすぐにされるかは分かりません。

一応僕の本拠地はpixivなので、今はそちらを優先したいと思っています。

もし気になる方いらっしゃったらpixivの方も見に来てください。

Twitterから飛べます。

それではまた次回

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