私たちの出会い
仕事を終え家路に続く公園の階段に向けて歩く私の目に、夜公園で偶に見かける女の子が階段に座っているのが映る。
女の子は私の顔を見て顔を赤らめながら綺麗に包装された箱を差し出し話しかけて来た。
「あ、あの、これ受け取ってください、
チョコレートです」
「え、 私に?」
「は、はい」
「ごめん!
こんな格好しているから間違えたのだと思うけど、私は女なの」
私は角刈りにした頭にガテン系の服を着ているからよく男に間違われれる。
でも男装するのは私の趣味であって、恋愛の対象は男性。
「知っています。
わ、わた、じゃ無くて……ぼ、僕は男です。
僕も趣味で女装してるんです、で、で、でも、知り合いに見られて笑われたり後ろ指されたりするのが怖くて夜しか女装してないのに、貴女は昼間から男装してるので凄いなぁって思って、前から憧れていました」
「えぇ!?」
これが私の趣味を理解してくれる異性との初めての出会いだった。