硝子の向こうのあなた
硝子の向こう側には
もう一人のあなた達がいる
こちら側と重なって
濃い影を背負って
それに気付かぬふりして
背を向けてたり
映る自分を楽しんで
笑った振りしたり
もう一人のあなた達の一生は
ほんの僅かな時であることもあれば
数時間にも及ぶこともあるけれど
それでも七年地中で我慢する
あのいつも騒がしい子達に比べると
なんて儚いってそう思う
人と人がすれ違う
互いの人生が交差する瞬間みたいな命
そういうものと思うなら
硝子の向こう側の子の命は
それっきりじゃなく
その先も続いて
ただこちら側と繋がってる時が
ほんの僅かってだけかもしれない
硝子の向こう側のわたしが
じっと見つめるわたしを見つめる
一瞬の命の儚さに
悦とも咽ともとれる表情で見つめてる
彼女にとってのわたしはきっと
通りすぎてく一人の異邦人
この硝子をここで叩き壊したら
そこで終わるのはどちらなのだろう