第五話 テストくらい余裕です(フラグ)
ストーリー 抜き専の同人エロゲにTSして飛ばされた件 〜狂った主人公から、ヒロインを守り抜きたいと思います〜
第五話 テストくらい余裕です(フラグ)
宿から歩くこと二十分、ついに俺とナツメは受験会場にたどり着いていた。
受験会場にいる受験生のほとんどは、冒険者になる為に鍛えられた体つきだった。
俺たちは受付に並んで、受験票を受け取ってから、試験会場に向かっていた。
「まず第一試験が、剣術テストでしょ。その次が魔法テストで、最後が筆記試験ですね。ちなみに、エル、自信のほどは?」
ナツメは首をかしげながら、俺を見つめる。
「いやぁ、配点が大きい剣術はからっきしダメだしな。後のテストで挽回できるかどうかだな。」
「剣術が苦手なのは良くないですね。近距離攻撃を食らった際に致命傷を受けますよ。」
「まあ、そうなったときは騎士である、ナツメが守ってくれるよね?」
「エ、エルがそういうなら守ってやらないこともないが……」
ナツメは照れている様子で、顔を真っ赤にしていた。
第一試験である、剣術が始まった。
これは教官と剣を打ち合って、評価してもらうことになっている。
俺は、念押しでナツメに向かってお願いする。
「あまり、試験会場で目立たないようにしたほうがいい。面倒くさいことになるから。」
俺は剣を構え、初めの合図が聞こえるとともに、そのまま突き進む。
教官に近寄ると金属がぶつかったような鈍い音とともに、強い衝撃が俺の頭に響いた。
俺は痛さのあまり、たまらず頭を抑え込んで転がりまわっていた。
それを見ながら、周りの奴は大笑いしている。
いや、仕方ないだろ、剣なんかお祭りでおもちゃしか持ったことないし、前世ではついていなかったものがあるおかげでバランスがとりずらいんだよな。
そんな中、ナツメは心配そうに駆け寄ってきた。
「随分と派手に目立っていたが、大丈夫か?」
皮肉なことに、違う意味で目立ってしまったみたいだ。
その後、二次試験の魔法テストを受けるために、会場を移動していた。
「そういや、ナツメは一次試験どうだった。」
「ああ、何の問題なく終わったぞ。エルの言ったとおりに目立つようなことはしてないぞ。」
なんか、申し訳なさと、恥ずかしさで顔面が真っ赤になっている気がする。
「ところでエル、このままではまずいのではないか?先ほどのテストはゼロ点だったから、魔法の試験と、筆記試験でかなりの高得点を取らないと厳しくなったぞ。」
この学園の入学試験においての問題点は俺にとって二つある。
一つ目は、一次試験の剣術が最も配点が高い点だ。
冒険者学校の入学者に限らず、この世界で生活魔法以外を実践レベルで使えるものが少ないためである。
つまり、剣など一切振るったことのない俺にはかなり過酷な試練になる。
前世の俺は棒ですら、他人に見せるのをはばかれるような短いものを激しくしごくくらいだったからな。
二つ目は、筆記試験の出題自体が問題である。
俺は自分の中ではこのゲームをやりこんだつもりであるが、例えば歴史の問題で設定になかったことを聞かれると詰むだろう。
「そうだな。しかし、ここまで来たら、絶対に受かってやるよ。とりあえず、魔法テスト受けてきます。」
試験会場に入ると、また教官が立っていた。
この試験の内容は、教官に向かって、何らかの魔法を発動することらしい。
生活魔法くらいしか使えない人が多く集まっているので、こういう試験をしているのだろう。
呼ばれて教官のほうに向かうと、禿げたおっさんが待ち構えていた。
「お前さんは、エルだな。とりあえず、お前は何の魔法が使えるんだ?」
確か、草原で試してみた限りは、どんな魔法でも使えそうだったな。
「難しい魔法でなければ、基本的に何でも使えると思います。この試験で満点を取るには何の魔法を使えばいいでしょうか。」
「そうだな。取り合えず、美少女をこの場で作り上げれば、満点をくれてやる。」
美少女を生成すればいいのか。
取り合えず、水32Lにたんぱく質に、アミノ酸に、ってできるわけないだろ。
そうだ、魔法でフィギュアを作ったらいいんじゃないか。
俺にとって、魔法は想像だけでほとんどのことが上手く再現できるし、フィギュアの形は生前の記憶に強く刷り込まれている。
俺は、目を閉じて美少女のあられのない姿を目に浮かべ、土魔法で簡単な形を作り、風魔法で削っていく。
ゆっくりと目を開ければ、下着姿で四つん這いになった少女のフィギュアが完成していた。
禿げたおっさんは、俺が作ったフィギュアを一周しながら眺めると、急に抱き着いた。
当たり前だが土の人形なので一瞬で崩れ去り、おっさんは砂まみれになっていた。
「そうだな。今度作るのなら、俺から必死に逃げて、捕まえても崩れない『美少女』を作ってくれ。」
この世界、女の子は消失し、おかずも手に入らないので、どこがとは言わないが、たまっている人が多いのだろうか。
二次試験も終わって、最終試験まで来ていた。
「やっと、最終試験ですね。先ほどの魔法は素晴らしかったですよ。ちなみに、先ほどの少女はエルの趣味なんですか。」
先ほどの魔法で上手くいったことに浮かれていて、俺は何も考えずに首を縦に振ってしまった。
「そうですか……。」
そういうことで、最終試験が始まった。
問題を開けてみると、初めは国語の問題みたいだ。
「やらないか。」
「いいぜ、俺のピストルは暴れ馬だぜ」
(中略)
『パンパンパンパン』
たけしは気持ちよさの余り、勢いよく発射した。
ゆっくりと引き抜くと、足の付け根から白いものが流れてくるのが分かった。
問 これは何をしているでしょうか?
いや、何してるんだろうな、俺でもわからんわ。
本当にすっとぼけたいが、この問題で点数を取らないと後がないため、仕方なく読み進める。
「たかし、君は僕のことたった一人の大切なパートナーだって言ってくれたよね。」
たけしは、連れてきた男の手首をより一層強く握りしめていた。
「かけしのことを大切に思っていることは確かだ。しかし、他にかわいい子がいたら、出してみたいって思わないのか?」
「そんなの当たり前じゃないか。」
そういいながら、三人は空き部屋に向かっていった。
問 かけしは突きか、それとも受けか?
俺は、答案を破いて捨ててしまいたい衝動に駆られているが、必死に我慢している。
誰だ、この問題を国語の問題に採用した奴は。
その後、国語の問題が終わると、数学や社会や理科もこのような地獄絵図だったことはいうまでもない。
そういうわけで、無事試験を終えることが出来た。
結果発表は明日出るらしいので、取り合えずナツメと歩いているところだ。
「さっきの筆記問題の国語難しくありませんでしたか、エル?」
「そうかな、どこが難しかったか教えてくれないか?」
「あの、かけしが受けか突きかってところだな。かけしは文章内から、身軽そうに感じたから、突きだと思ったのだが、どうなんだろう。」
ナツメは相変わらず純粋だったので、そういうネタであることは気づいていないらしい。
「ここは、たけしが連れてきたパートナーが受けだったから、かけしは同じように受けだったって話だと思うよ。」
その後、ナツメは知ってると言わんばかりに顔を赤くして、黙り込んでいた。
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補足ですが、今の状態の主人公エルは、力を持っているだけで上手く使いこなせていない状態です。
なので、運動能力が著しく半減しています。
ただ、魔法の想像力は高かったため、今の段階でもそれなりに使いこなせることが出来ているわけです。
更新、遅くなって申し訳ございません。
読んでいただきありがとうございます。
出来るだけハイテンポに進んでいきたいので、必要最小限の描写にしているのですが、もしわかりにくい箇所があれば、指摘してください。
次は、入学式、寮の部屋決めまで書きたいと考えております。
P.S. 誤字報告ありがとうございます。
きちんと確認できていないところも多いので、ミスがあれば修正を出していただけると非常に助かります。