4th 突風による僥倖
「ですから、魔力の道筋を中から外に作るんです!!」
「いやだからソレをどうやってするのかと」
何と言うか、起きて早々巫女さん……つまりはノルンさん(王族らしい)に魔術を教えられてます、何だこれ。
朝飯を食べようとしたら姫さんの私室に連れ込まれ、いきなり”魔術を使ってください”といわれても出来るわけ無いでしょうが。
そもそも最近少しづつ身体の中で魔力を循環できるようになったばかりで、外への事なんて全く気にしてなかったし。
「だから、そうじゃなくて!! 魔力を外へと放出するんです!!」
「うーん……」
イマイチよく分からない。何と言うか、どうやったら外へ出せるのだろうか。
外への道は作れても、癖で身体へと戻ってきちまうんだよな。
どうするんだろ。
「何でタツヤ様は身体へと戻せるんですか……」
「いや、それはもう癖だから」
そんな呆れた眼で俺を見ないでっ。
常識的に考えれば、俺がやっている事はマジで凄い事らしい。
在る意味で魔力の永久機関。実際、姫さんが出した魔力も中に戻せた。
いや、どういうことなんだろうねホント。
「何と言うか、”循環”する道じゃなくて、”放出”する道を造るんです」
「あ」
そうか。そうだよな。
同じ道でやろうとするから悪いんだ。
ならば新しく、その用途に沿ったものを作ればいい。
とゆーわけで。
「ん……」
感じとしては水鉄砲を想像。
一度タメをつくり、意志の引き金で力強く放出する銃。
新たに作られたそれに魔力をタメて、ちょろっと、弱い感じで引いてみる。
ご、という地鳴りにも音が響いた。
瞬間的に何かが弾け、闇色の風が突っ走る。
それは姫さんのスカートを捲り上げ……おお。
「ちょ、ちょっと!? タツミ様何してるんですかぁっ!!」
「あ、いや、そのごめん。在る意味ワザと」
「殴りますよ!?」
悪気は無いんだってば。
ともかく、怒られる前に俺は姫さんの私室からすたこらと逃げ出した。
うん、白だったなぁ。