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加速する現想譚  作者: 無碍
序章 反速
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1st 崩れ去る我が日常

死閃はHPで執筆いたしますのでもしよろしければ作者紹介ページからどうぞ。

てかこれ思いつきなんだよなぁ……orz

 学校の帰り道を留まる事無く歩く。

 今年入学し、今は一学期終業式の帰りで、時期的に真夏の太陽が身を焼く。

 言ってしまえば、俺は高校生と言う分類カテゴリに入る。

 自分が望んだ事を為すために勉学に励む。

 それを実行するために高校に入る……なんて、大層な事を考えていたわけじゃない。

 ただ周りに流されるように進学校へ行き、勉強して、いい成績を取る。

 将来は家を継いで師範にでもなろうかな……とでも思っていても、現代の社会は甘くは無い。

 多分、このまま行くと適当な大学に入って、適当な会社に入って、家の道場でもやりながら人生を終えるのだろう。


 ぶっちゃけて言おう。今の生活マジでつまんねぇ。


 勉強は直ぐに終わるし、宿題も困る事は殆ど無い。

 道場での稽古は楽しくもつまらなくも無い。在る意味今の生活の中ではこれが一番気を紛らわしてると思う。

 友人と遊んだりもするが、趣味は余り合わない。つまり楽しくない。


 かと言って、こんな生活を変えることの出来る触媒イベントが在るわけでもない。


 つまりは、今の生活に愚痴愚痴五月蝿く言っているそこ等のチンピラと変わりはしない。

 そんな自分に自己嫌悪すれど、自慢できるような所も無く。


 刺激も何も無い生活にうんざりしているのだ。

 いきなり命がどうのこうのという大冒険までとは行かなくても、何か、心躍るようなことは無いだろうか。


「つまんねぇ……」


 半ば口癖とかしている愚痴は、誰にも聞かれる事無く大気に混じっては消える。


 ――ふと、風を感じた。


 今までは向かってくる風であったのが、いきなり押してくる風に変わった。

 温い風が肌を舐め、体がぶるりと震える。


 ……気味悪いな。


 おぞましいものを感じて、足が自然と速くなる。

 段々と風が強くなる。


「何だこれ……?」


 おかしい。絶対におかしい。

 自然のものじゃない。やばい。


 頭の奥で本能が警鐘を鳴らしている。

 これ以上進むな、戻れ、逃げろ。

 引っ切り無しに言葉が脳裏を駆け巡り、足が早足になり、やがて走り始める。


 体力には自身が在る。学校でも負けたことは無い。


「――はっ、はっ、はっ……!」


 やばいやばいやばいやばいやばい……!!


 殆ど疾走になり、曲がり角を曲がる――


「は……?」


 クロがあった。


 真っ白なキャンバスに虚無の如きクロが描かれた如く、空間を食ったように丸いクロが存在していた。

 背を押してくる風はどうやらアレが周囲の大気を吸い込むことにより発生しているらしく、どうみても危ないものにしか見えない。


 後退りして戻ろうとしてもアレの吸い込みが強すぎて、下がるどころか逆に吸い込まれかかってる。


 ……ああくそ何だあれ、死ぬのか、俺こんなとこで死ぬのかよ……!?


 まだ何もしていない。

 爺も倒してなければ、これから始まるだろう夏休みを過ごしてもいない。

 やりたい事は思ってみれば中々あって、それが走馬灯のようだ、と、どこかさめた頭で考えており。


 足が、地面から、離れた。


 終了。ジ・エンド。俺の人生暗くなっちまった。


「あ」


 一度支えが無くなれば一気に行くのは自然の事で。


「うわあああああああああああああああああああ――――――――!!!!?」


 この日、俺の退屈でありながらも普通の毎日は崩れ去った。


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