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転生先でゲーム脳をフル回転する話  作者: 外付けうち窓
第一章 チュートリアルでフル回転
1/12

セーブ1回目 転生と説明とゲーム脳

初投稿です。初見ゲームをやるときは初めに説明書を読むもんです


追記 ストーリーの修正をしました

 青い空 白い雲 広い草原―――


 太陽の光が暖かくこのまま昼寝でもしようかと考えたくなる場所で目が覚めた。辺りを見回すと身に覚えのない場所。どうしてここにいるのかもわからない。


「ココドコデスカー?」


 無意識の内にこんなへんてこな声がでた。とりあえず落ち着いて直前の記憶を思いだそう…


小遣いを貰った

  ↓

その金でコンビニに行った

  ↓

凍った道で滑って転んだ

  ↓

見知らぬ土地にいた←いまここ


「………………頭でもうったかな?」


 頭を抱え、うずくまる。持ちうる知識の中にこの状況と一致するものはなかった。


 いや、こんな状況と似たようなものを思い出した。俗に言う『異世界転生』というやつだ……それが自分の身に起こったということか。


 そこまで考えて真っ先に思い浮かんだのが「どうやって帰ればいいのか」だった。

 正直こんなわけのわからない場所より家にいるほうが何百倍もましだ。ゲームと衣食住が揃った我が家。「俺には、帰る家がある!」などと気を紛らわせるために少しオーバーなセリフを心に浮かべた。


 まず目の前の非現実に頭が侵食される前に現実的な思考をしなければ…そう考えて持っている物を確認した。


 着ていた服、財布(そこまで入ってない)、スマフォ……

 スマフォがあることに安堵した。画面ロックを解除しアンテナの状態を見る………圏外だった。

 絶望した。万策尽きたと思った……その時


「ブーブーブーブー」


 スマフォが震えた。慌てて画面を見ると


   着信

㈱°㎝㌃@@|,-@DIGA


 意味不明な番号からかかってきていた。


「カブマルセンチメートルアールアットアットタテボウコロンスペースハイフンアットディーアイジーエー……IGAAAA…って何考えてんだ俺…」


 こんな怪しい番号からの着信出てやる必要はない!すぐに切ってやる…そう思った瞬間スマフォの震えが止まった。


『……もしもしー?聞こえますかー?』











『もしもーし?聞ーこーえーてーまーすーかー?』


 妙に軽いノリの声が聞こえた。声の高さから会話の主は女性だろうか?


「も…もしもし?」


 恐る恐る返事をした。


『あ、聞こえてますねー♪この度あなたは異世界に転生しましたーおめでとうございまーす♪』


 頭と体が固まった。そしてノリは軽いが冗談で言ってるように聞こえない声を聞いて無意識のうちに声が出た。


「あのー…病院って近くにありますか?」


『いきなり何言ってるんですか?』


「コンビニに向かって歩いてる途中に頭ぶつけて幻覚と幻聴が聞こえるんですよ、ちょっとヤバイかなーって」


『別に頭がおかしくなったとかヤバイもの食べたとかじゃないんで病院行く必要なんかないですよー♪』


「あっはい」


 このやり取り、僅か30秒になるかならないかの会話で本格的に現実とさらばしたことをすんなり理解してしまった。

 多分脳がパンクしないよう自分自身に言い聞かしたようなものだろうと自己分析をしていると、


『では、これからあなたが取得するスキルを選んでもらいます♪お手元のスマートフォンの画面をご確認ください♪』


 言われたとおりに画面を見ると3種類のスキル名と説明が書かれた吹き出しが写っていた。


『身体能力強化!!屈強な体であらゆる武術を使いこなすアタッカー!』

『魔法強化!!前衛後衛どちらもできるテクニシャン!』

『精神強化!!超常的能力でチームをサポート!』


 まるでソシャゲのような画面だ…少し溜め息が出た。


『後から変更とかはできないのでしっかり迷ってくださいねー♪制限時間とかはありませんよー♪』


 少し考えた。どれも悪くない。ゲームの基本前衛後衛補助と揃っている。どれも魅力的だ。


「………他のスキルは何がある?」


『他のはこちらになりまーす♪』


 そういうと画面が変わる。


『コピー!!相手のスキルを奪う!おまけに威力もアップ!』

『未来予知!!敵の行動が丸わかり!お前の動きは読めている!』

『時間停止!!動けるものはいない!俺だけの時間だぜ!』


これも面白い。先のスキルより玄人向けのラインナップ。


「他のは?」


『こちらになりまーす♪』


 『空中浮遊』、『分身攻撃』、『精霊使役』、『召喚士』、『闇の眷属』、『大怪盗』、『変身ヒーロー』、他に数十種類あり中には声で戦う『シンガー』なんてのもあった。


「他には!他には何があるんだ?!」


『えぇーと…今紹介したのが基本スキルですね…はい…』


「基本?てことは他にもあるってことか………それも教えてくれ!」


『他のもですか?!えぇ~~…っと……こちらでーす…』


 声の主が疲れているようだがそんなことはどうでもいい!今はスキルの情報収集が先だ!


 『翻訳機能』、『常識説明』、『自然治癒』、『アイテム合成』、『ステータス視認能力』、ステータス視認能力?!


「この世界ステータスみるのにスキルいるの?!」


『別になくても問題ありませんよー基本スキルで無双できるんですからー』


 ………心なしか受け答えがめんどくさくなっている。しかしこれは大事な事だ。


「問題なくない!敵のステータスやレベルがわかってないとダメだろ!防御が低いのか、特妨が低いのか、わかってないと適切な攻撃ができないだろ!それに経験値稼ぐ時の効率にも関わる!」


『えぇ~…』


 気づかない内にゲームをする時の考え方に頭が切り替わっていた。


「この際色々聞いておこう、この世界はRPGか?アクションか?それともシミュレーションか?」


『え?』


「アイテムを持てる数は?ステータスは何がある?基本スキルは強化できるのか?できる場合どうやったら強化される?基本スキルはいくつ取得できる?それから…ペラペラペラペラ」


『あ、あのぉ!いっぺんに質問されても…!』


「あとオプション画面は?」


『…………へ?オプション?』


「そう、オプション。ゲームを始めるときに最初にいじるんだよ。あとキーコンフィグも」


『あぁ、そのっ、えぇーっとぉ、、じ、上司を連れてくるので少々お待ちくださーい!』


 電話がゴトと置かれガチャとドアを開ける音がスマフォから聞こえた。これ説明するのに人呼ぶの?そんなことを考えた。











『お待たせしましたー!』


 と、焦った声が聞こえた。その声にさっき聞き忘れた質問をした。


「あ、忘れない内に聞いときたいんだけど説明書ってないの?」


『せつめいしょ?』


 なんのこと?と聞いているような声だった。


「説明書だよ、説明書。ゲームパッケージに入ってるヤツ。あるじゃんそういうの」


『えーっと…あるにはありますね、はい。データそちらに送りますねー♪』


 困惑する声を聞いた後、画面を確認すると電子書籍のようなものが写っていた。さすがに紙媒体じゃないかと一瞬落胆し説明書を捲った。


 スッ…スッ…スッ…スッ…

 『異世界での生き方』、『スキル発動時の心構え』、、、そんなページを流し見て、目当てのページを探した。『操作説明』や『基本情報』のようなものを……

 数枚捲ると何も書かれていない白紙になりそこから先のページはなかった。目当てのものにはかすりもしなかった。


「え…これだけ?」


『はい、それだけです』


 さっきまでと違う低い声が答えた。おそらく男性だろう。………連れてこられた人だろうか?


『先ほどは部下が失礼しました』


「あ、いえ、質問責めしたのはこっちなんで…」


 あまりに真面目な声と言葉にこちらも少し罪悪感が沸いた。


『では質問に対する返答をさせていただきます。まずステータスを見るためにスキルが必要な事についてですが、相手をステータスだけで判断し馬鹿にする方が続出したため基本設定から外しています。次にRPGかアクションかシミュレーションかという質問ですが、簡単に言えばアクションです』


 そこから長い説明が始まった。


 アイテムは基本四次元鞄で持ち運び、ステータスはHP(体力)MP(魔力)AP(攻撃力)DP(防御力)MAP(魔攻力)MDP(魔防力)SP(素早さ)の7種類等基礎的な事。そして驚いたのが基本スキルは取得する時点で最大まで強化されているらしく初心者でも無双が可能らしい。あとオプションとキーコンフィグは存在しないようだ。というかなぜそれらが存在すると思ってしまったのか、異世界とかいう常識外れの場所にいるからか?一旦落ち着こう。


「なるほどねぇ…」


『ご理解頂けたでしょうか?』


「大体わかりました」


『では基本スキルをお選びください』


………………決まらない。

 こういうときに悩んでしまうのは自分の悪い癖だ。直感で選ぶというのも考えた。しかし、スキルの変更は出来ないと言われていたので頭を抱えてしまった。

 女性の声に『テキトーに決めればいいじゃないですかー』と面倒くさそうに言われたが断固拒否した。こういう時はとことん悩むのが大切なんだと。………しかし決まらない。


「もう一度スキル確認していくかぁ…」


 『身体能力強化』……『時間停止』……『変身…』…………どれを見てもピンと来ない。それとさっきから引っかかっているのが最初からレベルマックスということ。いきなり最強無双ゲーとかそんなのやる意味あるのか?そんな思考が頭から離れない。なにか、こう、いい感じの奴ってないものか…


『………決まらないようでしたら別のプランもありますが?』


 それなりに長いこと考えていて呆れられたのか別の方法もあると言われた。だがこのまま悩み続けても答えは出なさそうだ。


「どんなやつですか?」


『複数取得プランです。基本スキルを3つまで取得でき、さらに自由に付け替えできるものです』


「そんな欲張りプランがあるんですか?!」


『はい、ですがデメリットとして取得するスキルはレベル1のものになります』


「………あの、さっきから質問ばっかなんですけど…この世界ってレベル1でも遊べ……生きていけますか?」


『戦う相手や住む場所を選べば十分生きていけます』


「レベル1からってことはレベルアップもあるんですか?」


『はい。問題なくレベルアップできます。ただし最大レベルは一つ取得プランより下がります』


「どの程度下がるんですか?」


『誤差の範囲です、塵一つ残らないオーバーキルがただのオーバーキルになる程度です』


「なるほど…」


 これかもしれない、俺の求めていたものは。


「うん………決めました。複数プランでお願いします」


『バカなんですか?』


 突然女性の罵倒が聞こえた。罵倒された意味がわからなかった。


「へ…?」


『テキトーに一つ選べば無双できるのになんでそうしないんですか?』


「いや…あんまコ〇エ〇テクモ作品はやってきて、あ、今の話はそっちの無双じゃないか…」


『何を言ってるのかさっぱりわかりませんが……普通はサイキョーになれるものが目の前にあるとすぐ飛び付いて俺ツエエエエエエ!!とかしたいものなんじゃないんですか?』


 ……なんとなく馬鹿にした気持ちと理解できないものに対して言う感じが混ざって聞こえた。


「………俺つええは俺のゲームプレイの方針と違うかなぁー」


『は?』


「やるんだったら全部楽しみたいじゃん、それに簡単に終わるなんて詰まらないでしょ。あと最初から強かったらプレイヤースキルが上達しないしね」


『ぷれいやーすきる?』


 ポカーンとした顔で言ったと想像できる声が聞こえた。


『わかりました、基本スキル、非基本スキルはスマフォでONOFF切り替えられます。なにかわからない事があればこの番号にかけてきてください』


 事務的な言葉で男性のほうから伝えられた。でも少し、ほんの少しだけ、声から機嫌の良さを感じた気がする。


「じゃあまた今度かけてみますね。あ、名前とか教えてくれませんか?」


『申し訳ありませんが本名は伏せさせていただきます。変わりにヒラと呼んでください』


「わかりました、じゃあ何か質問あったら連絡しますね、ヒラさん」


『はい、健闘を祈ります』


プツッ…ツーツーツー

 通話はそこで切れた。


 幾つかの能力を同時に使用できる。この手のものはバランスブレイカーになるか器用貧乏になるかで別れる。しかしやり方でその辺はどうにかできるだろう。というかしてみせようじゃねーの!


「………とりあえずスキル確認からだなぁ。」


続くといいな

多分続きます。初見ゲームは知識をあまり仕入れないでやるもんです

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