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異世界の呼び声  作者: 岡田孝
1,星からの暗黒
3/20

1-2

「……はそのことを認めないという姿勢で挑むもようです。続きましては今日のお天気です。ウォレインの東部は晴れが一週間ほど続くでしょう。しかし、干ばつの心配はない予報です。西部は……」

「私は今日、電話会社の方が休みだから事務所の方に行くけど、リック(エリクの愛称のようなもの)はどうするの?」


 この厚切りベーコンとレタスのサンドイッチを最もおいしく食べるのには、どの角度から食べ始めるのが最も最適かを考えていると、ステラがそう言った。


「ん……今日は司書の仕事もないしな……クレイたちは?」

「クレイは…たぶん下にいるんじゃない?マヤは事務所ね」

「まぁ、そうだろうな……うん、じゃあ、今日は俺も行くかな」

「ん」


 このサンドイッチの食べ方に正解などないのではないかという思考に取りつかれそうになったため、すぐさま口の中にそれをほおばると、強烈な肉独特の臭いと小麦の香りが鼻から抜け、パンの少し硬さに続けてレタスとキュウリのしゃきしゃきさ、歯ごたえのあるベーコンの食感が続けて襲来する。味についてはもはや筆舌に尽くしがたいほど美味だった。

 食べ方に正解はなく、ただこのサンドイッチ自体が正解だった。おいしい。さすがはステラだ。


「今日はいい天気ねぇ……お洗濯ものが良く乾きそうだわ。」


 もうすでに食事をとり終わったアンナが、コーヒーを楽しみながらそう言った。その目はどこか遠くを見ているようだった。


 食事をとり終わり、身支度を整えて 玄関を出、妙に急な階段を下りるとすぐそこに探偵事務所がある。俺たちの住んでいるマンションは一階が喫茶店、二階が探偵事務所、三階からが居住区となっていて、俺たちの住んでいるところは五階だ。そのすぐ上は屋上になっていて、町の往来が見下ろせる。

 事務所の扉を開くとそこには、腰まで伸びた長い髪の毛をそのまま垂らし、本を読んでいる色白の美女と、ハンチングを深くかぶり、腕を組んで煙草をふかしている初老の男がそこにいた。

 美女はけだるそうにこちらに眼をやりステラに気付くと眼を見開いてこちらに突進してきた。

 ステラの手を握り、キラキラとした碧い眼―というと聞こえはいいがただ瞳孔が開かれているだけである―でステラの黒目がちの瞳を覗き込む。


「ステラ、ステラじゃない!久しぶり!一日と15時間22分35秒ぶりだわ!!あぁ、会いたかったですわ!おはようございます!!!」

「う、うん、おはよう……あの、離して…」


 何やら背後の方がやたらとにぎやかだが、それを気にしないようにしつつ、落ち着き払った態度を心がける。


「よう坊主、今日はこっちか?」

「あぁ、クレイ。あなたこそ指導はいいのか?」

「何、休むのも訓練の一つだからな。そういう日もある。……というか、聞いてないのか?」


 微妙に眉をひそめ、おかしいな、という様子のクレイは情況を察したように話を再開した。


「いや、今日は依頼人が来るんだとよ。昨日は事務所が開いてなかったろ?そんでエレウスの方に」

「なるほどね。内容もまだ聞いてないんだろ?」

「いや、人探しってことだけは知ってるんだが……なんでも」


 そんなことを話していると、不意にこんこんこん、というノックの音が部屋に響いた。


「まぁ、直接聞いた方が手っ取り早いだろ」


 そう言ってクレイはにやりと笑って見せた。

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