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7 入れ替り ひなサイドその2

お昼休憩もあと十分で終わる頃、私は教室に戻った。


「 やっと戻ってきたな。仁?」

「 なんで、疑問型。」

仁と私の友達 橋田渉くん。彼は疑うような目付きで私を見てる。


「 見た目は仁だけど、中身はひなでしたなんて事はないよな?」

すっ鋭い。見た目身長ともにごく普通なのに、渉くんこういう時ものすごく勘がいい。元々バラす予定だったけど、こんなにあっさりバレるとはね。とっと白状した方がよさそうだ。


「 うん。ご指摘通りです。中身は、服部ひなでやんす。」

「 やっぱりな。まーた、何かやらかすかなって思ってたけどさ、まさか入れ替わるとはな。」


ケラケラ笑いながら、友人が入れ替わったという事実をあっさり受け入れてる渉くん。特殊なうちらの事情を知ってもごく普通に接してくれる彼には感謝してる。――まあそれはいいとして、渉くんと真央には事情を話ときますか。


「 ちいと ( ちょっと)いい? 真央連れてくる。」


私は、他の女の子と話しをしてた真央を渉くんの元に連れていき、二人に事情を話した。


「 そんな訳で、魔法で入れ替わっとるけぇ」

「………もうどこにツッコミを入れていいかわかんない。」

「 ひな。ただの実験で入れ替りたかった訳じゃないよな?」

「 うぇ?」


渉くんの鋭い一言に私は、ギクリとなる。本当に勘がいいな。この勘の鋭さで仁の悩みも一発で見抜いたんだもんな。


「 ご指摘通りです。一度、男の子になってみたかったんだ。」

「 理由はこの前のか?」

「 うん。男の子になってみたかったんは昔からじゃけど、でもなれたらいいなって思っとるくらいじゃったんよ。だけど、この前の遠足の出来事がね。ああ今思い出してもムカつく。」


毎年うちの学校じゃ新入生は、5月の半ばにクラスの親睦を深めるって目的で、近くの山へ遠足に行くんだ。その時同じ班になった一人のアホ男子が、私の荷物を持ったり、大してきつくもない坂道で私の手を引いたりしたんだ。

いいって言うのに、そいつは私が遠慮してると思ったのか、無理やり荷物を持ったりしたんだ。


「 私は、いわゆる女の子扱いが嫌いなんよ。おじいちゃんから、『 これからは、女の子でも活躍する時代だから男の子に頼ってばかりではいけないよ』と言われて育ったからね。レディファーストも好きじゃない。なんか変に気を使われているみたいだから。でも、男の子女の子に優しくすると、どんな気持ちなんか知りたかったんから、入れ替わってみたんよね。」

「 「そうなんだ。」」


二人は、納得したようなしてないような感じで返事した。

今言った理由は本当だけど、ただ入れ替わってみてわかったのは、私は本当の男の子になれないって事だけ。体は男の子になれても、気持ちまで男の子になるのは無理っぽい。

でもせっかく仁と入れ替わったんだ、じっくりと観察させてもらおう。ウヒヒ。

私は、そんな事を考えながら、放課後の訪れを待っていた。



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