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28 エピローグ 3


拓人の部屋の真ん中に置かれたローテーブルを挟んで、俺と拓人の前に正座したミカンは、出されたお茶を一口すすると、話し始めた。



「 んじゃ、改めて、自己紹介しますね。ぼくは、ネコミミ族のミカン。異世界からやって来ました。」


ミカンは、そう言うなり、ふわふわとした茶色い髪の隙間から覗く黒いリボンをほどく。

すると、ツーサイドアップテールになっていた部分が、ネコミミに変化した。

茶色いネコミミがピコピコと動いてる。

これが彼女本来の姿だ。

ひなや俺の事もあってか、拓人はあんまり驚いてないけどな。


ミカンも対して期待してなかったのか、拓人の反応は、意に介せず話を続けた。


「 ひなお姉ちゃんや仁さんが、吸血鬼ってのは、聞いてますよね?」

「 うん、まあ。 実際に服部さんが、仁の血を吸うのも見てるし。」

「 なら、話は早いです。」


ミカンは、そう言って、自分が持っていた鞄からノートを取り出して、さらさらと人形ひとがたを描く。



「 夕陽の病気ですけど、ぼくのいた国では、『 魔力過多症まりょくかたしょうって呼ばれる病気なんです。一言で言うなら、魔力が通常の人より多くてコントロールしにくいというのが特徴なんです。」


魔力が多い? 小説の異世界転移物なんかにあるチートっぽいけど、駄目なのか?

俺が今考えいた事と、丸切り同じ疑問を拓人が口にした。


「 魔力が多い事は、良いことのように思うけど、駄目なの?」

「 そう思うでしょ? それが駄目なんです。」


ミカンは、さっき描いた人形ひとがたに、魔力と書き込み説明を続けた。


「 魔力というのは、こうやって普通は、体内にチャージされてる物と、ぼくのいた国では、考えられてます。ちなみに、ぼくのいた国には、4つの種族がいます。イヌミミ族 ぼくの種族であるネコミミ族 ヒト族 そして、仁さんやひなお姉ちゃんの祖先の種族でもある吸血鬼族です。種族によって、魔力の強さは違いますけど、保有できる量は、そんなに変わらない筈です。」

「 魔力の強さとかは、どうやって調べるん?」

「 専用の機械があるんですけどね。べらぼうに高いんで、ぼくは持ってないんです。」

「あっそうなん。」



話それましたね。と、ミカンは、病気の説明を続けた。


「 とにかく、魔力過多症まりょくかたしょうは、体内にチャージ出来る最大量が通常100としますね。だけど、その魔力が150とか200とか通常より多くなっちゃう人がいるんです。原因はよく分かってません。んで、その症状は、分かりやすく言うとですね、多すぎる魔力が"暴走"しちゃうんです。その結果体に異変を起こす。……夕陽の場合は、入院が必要となるくらい発熱が何日も続く。時と場合によっては、"暴走"した魔力のせいで、命を落とす事もあるんです。」


ミカンは、そこまで話して、下をうつむいた。


「 あたしの妹もそうだった。『 お姉ちゃんが、治す方法見つけてくるね。』そう約束して、村を出たのに。」


見つけられなかった。小さなつぶやきの後、すすり泣く声に変わる。

ミカンが急に泣き出したのと、思わぬ過去の知ってしまった衝撃から俺達は、しばらく黙ったままだった。


「 ごめんなさい。急に泣いて。」

「 いやいいんだけど、ミカンのさっきの感じからしてその妹さん。」

「 亡くなりました。ぼくが、村を出て一年しない内に。」

「 そっか。」

「 でも、夕陽は死なない。ぼくは信じてます。夕陽は強い娘だから。」



二人の話を黙って聞いていた俺のスマホが、鳴り出した。


「 親父? 」

『 夕陽が意識取り戻した。』

「 マジで? うん。わかった。すぐ行く」


拓人とミカンに夕陽の事を教えてやると、二人が手を取り合って、やったーと喜んでる。

拓人に一緒に行こうと言ったが、拓人は、明日会いに行くと言って断ったから、ミカンを連れて、病院に向かったのだった。






ミカンがぼくを使うのは、異世界にいた頃に、男装して旅をしてた時の名残です。作中にもあるように、妹の病気を治す方法を見つける旅にミカンは出ていました。

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