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こうして俺は、吸血鬼になった。  作者: ねこた まこと
告る 告られ。告りれろ。
16/30

16 ひなが告られた?!

更新が遅くなってすみません。

六月初めの日曜日。俺は渉と、地元の桃宮市に戻ってた。今住んでいる中島市よりは、遊ぶ場所が充実してるからだ。

中島市でゲーセンと言えば、大型スーパーにある小さなゲームコーナーだし、シネコンが一つあるけど、視たい映画が上映されないと、桃宮市かその隣町に行くしかない。ついでに言えば、女子が買い物する時、お金に余裕がある時は、桃宮市の商店街やショッピングモールに行き、お金に余裕がない時は、地元の中島市の大型スーパーで買い物するという事をやってるみたいだ。


俺と渉は、ゲーセンで遊んだあと、実家のマンションから徒歩十五分くらいのところにあるファッションビル内のファストフード店で、昼飯を食べてる最中だ。俺の正面に座った渉から、俺にとっちゃ最悪な話を聞かされた。



「 今、何て言ったん?」

「 だから、ひなが二年の先輩に告られたんだって。」

「 それはマジか?」

「 マジ。真央の話だと、この前の芸術の授業が終わって、音楽室から帰る時に、告られたって話だぜ。うちのクラスの連中以外にも、他のクラスの奴らとか何人かいる中で、告られたみたいだから、女子の間じゃかなり噂になってんな。」

「――マジかよ。」


油断してたな。 ひなの性格だと、俺以外にまともに相手出来る人間は、そうそういないだろうなって、高を括っていた。

実際、友達は、長谷川と渉以外いないし、付き合ってないと公言してるとはいえ、いつも俺が一緒にいるから、野郎共は、ひなに近寄りもしなかった。

――だから、他の奴に告られるなんて、思いもしなかった。




「 おーい。大丈夫か?」


ぼんやりと考え耽っていたら、渉の痛わしげな声が聞こえてくる。心配してくれてるのかも知れないけど、最悪な話題をふってきた本人だけに腹が立つ。


「 大丈夫じゃねーよ。」


苛立ちを隠さずに出した声は、自分でも驚くくらい低い。現に渉は、ビビり気味に引いてる。


「 ですヨネー。」


そう言ったきり、渉はモソモソとハンバーガーを食べてる。よくよく考えたら、渉は悪くない。完全に八つ当たりだ。

――こんな時あいつがいてくれたらな。

俺の願いがわかってたみたいに、俺が、思い描いていた人物が登場した。


「 般若みたいな顔した奴がいると思ったら、やっぱり仁か。」

「 拓人。久しぶり。」


俺の目の前に現れたのは、中学時代の親友 林原拓人。小学生からバスケットをやってて、身長は180センチ。髪は、スポーツをやってる割にはやや長く、顔もアイドルのように整ってる。今は、部活帰りなのか、白い開襟シャツに紺のスラックスという制服姿で、部活の道具が入ってるであろうエナメルのバッグを肩から斜めがけにしてる。手には、ハンバーガーが乗ったトレイを提げていた。


「 その様子だと、何かあったみたいだね? そっちの彼は、気まずそうにしてるし。良かったら話聞かせろよ。」

「 ……わかったよ。」



拓人は、一つだけ空いてる椅子に座ると、渉と自己紹介した。ハンバーガーを食べながら、俺と渉の話を聞いていた。


「 なんだ、そんな事で怒ってたのか。」

「そんな事って。拓人、お前なあ。」

「 だって、渉は、ただ単にそのひなって娘が告られたって、話をしただけだろ。そんなんで、機嫌悪くなられたら、たまったもんじゃないと思うけど。」

「 そうだ。拓人の言う通りだー。いつも言ってるみたいに、ひなに告らないから、他の人に告られんだ。」

「 ……悪かった。反省してます。」


二人から責められて、ちょっとへこんだ。しかしこいつら、出会ってってそんな経ってないのに意気投合してる。


「 しかし、そのひなって娘、、返事どうしたんだろうな? 」

「 さあ? 真央、俺の彼女にそれとなく訊いてみたけど、保留してるみたいなんだよな。」

「 へー。」


拓人が、俺の方へ意味ありげな視線を向けてきた。


「 なんだよ?」

「 いやぁ、保留にしてるって事は、お前にも、まだチャンスはあるって事だよなって思っただけだ。」

「 そうだな。」


二人揃って “ニヤリ“と笑ってくる。何かやな予感がするな。


「 「ひなに告れ。」」



やっぱり、かくして俺は、ひなに告白するという人生最大の課題に挑戦しなければならないのだった。

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