アリサルート2
「あわあわ」
全身が泡だらけでアリサに洗われていた。目に泡が入ると困るので、目を瞑っていたが、手の感じで嬉しそうに洗っていることは伝わってくる。
『助けてくださったお礼にお背中お流しします』
と言ってアリサは俺の体を洗い始めたのだが、猫だから全身が毛で泡立ちがすごいこと。全身泡だらけで、泡がついてない所が見つからないぐらいだ。目を瞑ってて良かった。洗うところが無くなっても、アリサは洗い続けている。
「おい、いつまで洗ってるんだ?」
「……そうですね、流します」
そう言うと頭の上からお湯を掛ける。三回ほど掛けると泡は全部落ちる。俺は体を振るわせて水を落として視界を確保しようとしたけど、その前にアリサに連れてかれ風呂の中に。前足を腕に掛けるようにして、アリサに抱っこされている。
「オズワルド様」
「何?」
「今まで何があったのか教えてください」
「……なんで正体を教えなかったのか、聞かないのか?」
アリサは俺の頭に顎をこすりつけてくる。
「聞きません」
俺はその行動に猫が体をこする付けてくる事を重ね合わせ、可愛く感じた。珍しく鬱陶しいとは思わなかった。俺はそこからこの魔族の国に来るまでのことを全部話した。
「それは苦労しましたね」
アリサはそう言うと優しく俺の顎を撫でる。
「溺れたときは死ぬかと思ったよ、にゃ~」
俺はその時のことを思い出して、ため息をつく。愚痴みたいになってしまったが、アリサは黙って聞いててくれる。俺はそんな風に話していて、段々と眠くなって寝てしまった。今日の戦いとお湯の暖かさで眠りやすかったが、それ以外にも理由はあるだろう。俺は人生初めて風呂の中で寝てしまった。
次に起きた時にはクミンのベッドの上だった。