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退屈少年が腐るまで

さて、車でコミケ会場に行くまでに、回想に入らせてもらう。

あ、その前に服は着替えて、その上に髪とか顔を隠すパーカーを羽織った。とりあえずの処置らしい。

後、伊達メガネを元の牛乳瓶に戻し、カラーコンタクトを入れる。しかし、シャンプーしてる暇はないのでそのままにしてはいるのだが。


じゃあ、回想に入らせてもらう。



中学に入るまで、俺はなんにも夢中になれなかった。まぁ、ほとんどの子供なんてそんなものじゃないか?と考えたほどだ。流行りのおもちゃにもテレビにも目を輝かせない。

そんな少年時代だった。

しかし、中学に上がってから夜更かしが許される年頃になり、眠れなかった夜にテレビをつけた。

そして、適当にチャンネルを変えていると、ある番組に出会った。

それは、俺の夢中になれるものだった。


深夜アニメの、『怪人戦記』という、腐の住人が好むようなアニメだった。まぁ、偶然に偶然が重なるわけではなく、一話ではなく四話くらいだったが、その世界に引きずり込まれた。そのアニメをネットで探して一話から見直し、小学生から使わずに放置されていたお小遣いをつぎこんで、原作や、その人が書いている他の作品を読み込んだ。



その中には当然BLもあったわけで………。

初めてみたBLで感じたのは…………。



『萌え』の一言だった。

まぁ、自分はホモではないのだけど、他の人の男性同士の濡れ場は萌えた。

それから、同人誌とコミケの存在を知り、その道に突っ走ることになった。



コミケで一番気に入っている同人作家の名前は心愛みるくというペンネームの人だ。まぁ、売り子をやっていることがなく、アシさんとかが売り子をやっているらしい。『怪人戦記』の同人誌をよく書いている。


しかし、当然のことかお小遣いが足りなくなっていった。

そんなときに、同じくコミケで知り合ったYukanaという人にコスプレとトーン貼りのバイトとして雇ってもらい、稼いでいたりもする。

それが中学一年の夏の事である。



さて、回想をしている間にコミケ会場に着いた。

「くそっ!!これじゃあさすがに限定冊子付きの特装版はぁぁぁ!!楽しみにしてるのに!!うぉぉぉぉ!!!」

とにかく走った。




人混みをかき分け、ようやくたどり着いた心愛みるくさんの売場は、片付けをしている最中だった。

「う、嘘だ…………。」

その場に立ち尽くした。

心愛みるくさんの特装版は毎回買っていたのに………。

そのために、どれだけ苦労してきたか……。

日々、体力と足腰を付けないといけなかったのに………。

「おにーちゃん、だいじょーぶ?」

どこからか、声が聞こえた。



ふと顔をあげると、小学生低学年ぐらいの背で、青いウサミミパーカーにピンクのスカートにシマシマニーハイソックスの女の子が俺の顔をのぞき込んでいた。

「大丈夫じゃないんだ………。いつも買っていた心愛みるくさんの新作の特装版が………うぅ……。」

男らしくないと分かっていても涙がぽろぽろ落ちてしまう。

毎回限定300部なのに………。

「おにーちゃん、とくそーばん、あまってるから、かう?」

その子が天使に見えた。

「買うよ!!え~っと、一万円一万円………。」

即答だった。

「おにーちゃん、おとこのひとでいつもくるから、きょうはかぜをひいちゃったのかなってしんぱいしたの!!だからね、いつもよぶんにつくったのうってあげる!!」

「うん………ありがと………何円だっけ?」

「え~っと、にちぇんはっぴゃくえん!!」

「あ、ちょうどバラがあったよ………。はい。ちょうど2800円。」

「おかいあげありがとーございます!!」

「ありがとう。じゃあまたね~。」

俺はロリコンではないが、この子はなかなかかわいいと思う。

「ばいばいのなでなでして~。」

「おし、じゃあなでなでね~。」

そして、しばらくしてからそこから離れる。



それから、まだ片付けていないサークルを回る。

ばるむんくさんと竜滅隊サークルなどをまわり、何点か購入する。

最後に新しくやってきたサークルを回る。

結構売り余っているサークルの所に行って立ち読みをしてみると、なぜこんなに評価されないのかが分からないぐらい良いものだった。シリーズがかなり続いていたのでまとめて購入してみると、かなり喜ばれた。

「実力あるので、またきてください。」

と、本心で言うと、その人は顔を赤らめてしまう。

ファンができたことが嬉しいんだろうなぁ………。



そして、俺は自分の入っているチェンバロサークルに向かった。

「お~い、ヘルト君。君が売り子してくれなかったから、トトちゃんが疲労困憊になってしまったじゃないか………。だから今度ノーギャラで綾埜葉風のコスプレをやってもらうからねって、トトからの伝言。まぁ、私としてはトーン100ページやってもらいたいけど……。」

「す、すいませんでしたぁ~!!!」


そして、しばらくしてから牧村さんの所まで戻った。


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