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ふたりで紡ぐ物語  作者: にしのかなで
序章
4/55

ここらで少し変わろうよ。

たっぷり眠ったカリンが次の朝を迎えると、しっかりとルディの腕の中に抱き込まれていた。うーん、昔もこんなことがあった気がするなぁ・・・。あの頃はまさか自分がこの人のお嫁さんになるなんて///思い出してちょっと恥ずかしくなった。身動ぎをして上目遣いに寝顔を見る、ホントに自分なんかで良かったのかな〜と見とれる程の綺麗な寝顔がある。残念なのは今も昔も変わらない癖っ毛だけど。


「ルディ様、おはようございます。朝ですよ〜。」


心配をかけただろうから目覚めたことを早く知らせたい。


「ん・・・起きたの?カリン」


「はい。私丸一日寝ちゃったみたいですね。心配かけてすみません。」


「う、ん。・・・いやいいんだ、ぐっすり眠ってるだけだと解って安心したから。」


その割にはどこにも離すまいとしっかと抱き込まれているんだけど。


「お腹空いたよね?食堂に行こっか。」


「はい!」


二人とも着替えて宿の一階にある食堂に降りて行く。軽く朝食をすませて今日はどう過ごすか話していると女将さんが


「今日は朝市がありますよ!食べ物はまあ無理でも土産物なんかもあるし、カリンちゃんの好きそうな小物や服なんかも出てるから行ってみたら?」


「本当ですか!じゃあお財布持ってこなくっちゃっ。」


すぐ様二階に駆け上がると斜めがけの鞄にお財布を入れて降りて行く。美味しいものもあるかなぁ?と、宿の夫婦に聞くとルディが「今食べたばかりだろう?」と、言うがそこは女将さんと二人で甘いものは別腹と反論し宿の旦那さんが呆れた顔のルディを見てゲラゲラ笑って送り出された。

朝市は結構な人混みで、ルディがシッカリと離れない様に手を繋いでくれる。ハヴェルンではなかなかこういう風に買い物を二人でする時間がなくてなんだか嬉しくなった。

一通り見てワンピースとサンダルを買い、なかなか海を見られない近所の子ども達のお土産に貝殻の詰め合わせをたくさん買った。それから飲み物とお菓子を幾つか買って、疲れたらまた大変だからと宿に帰る。

部屋に帰って旅行鞄にお土産を詰め込んで窓際で海を見ながら別腹にお菓子をポイポイ入れていく。


「そんなに食べてお腹壊しても知らないよ。あと、服のサイズが変わってもね。」


「大丈夫ですよ、たまに食べたくらいじゃ体型変わりませんもん!」


膨れっ面で反論するカリンを、くすくす笑って見ているのでつられて彼女もくすくす笑う。


「なんですかね〜、最近すごいお腹空くんです。成長期?」


「いや、君もう18歳だからそれはないんじゃないかなぁ。環境の変化と食べ物があってるのかな。あ、ところでさ提案があるんだけど。」


行儀悪くストローを加えてルディ様を見る。


「なんですか?」


「その敬語と僕の呼び方かえられないかなぁ。」


「⁉︎ええっ」


「だってさ、いつまでもルディ様じゃなんだか夫婦って感じがさ・・・」


「う、う〜ん。そうですね、確かに元々侍女としてお仕えしていましたから、生活もその当時とほぼ変わりないし、何だか主従関係の延長戦て感じはあります・・・ねぇ。」


「そうなんだよ、3年経つのにまだ遠慮があるって感じでさ。」


「でも・・・でもルディ様は歳上ですし、5歳からずっと呼び慣れてますしそれに、今更なんてお呼びしたら。」


「ん〜、他の人みたいに呼び捨てとか?あとせめて敬語を止めるとこから始めるとか?」


「う〜ん、どっちも難しいですぅ。」


そう言ってテーブルに突っ伏した。


ー無理無理無理!呼び捨てなんて、タメ口なんて、ぜ〜ったい無理だよ〜っ‼︎ー


すると肩をボンポンと軽く叩かれたので、顔を上げると楽しげな顔をしてルディ様が自分を指差し


「はい、ル・ディ。」


えええぇぇぇ〜っっっ⁉︎


「ほら、言ってごらんよ。」


うーん、うーん今日の彼は手強いな。


「ル・・・」


「ん?」


「ル・・ディ?」


「はい、もいっかーい。」


ううう///


「ルディ」


パッと彼の顔が明るくなった。


ーあ、あれだ小さいルディ様の表情だー


向かい合わせから回り込んで来て再度要求された。はいはい・・・もう///恥ずかしいのに。


「ルディ。ル・・・」


んんっ!唇塞がれた〜///癖っ毛の魔法使いは金色の瞳で見つめてもう一回とねだってきた。もぉっ!多分赤いんだろうな私の顔・・・。


「・・・ルディ・・・」


そう呼ぶとおいでと、抱き上げられてベッドに降ろされた。ベッドの淵に腰掛けた私に目線を合わせてまたあの瞳が覗き込む。


「あのさ、悩みとか不安な事や調子が悪ければちゃんと話して。君が僕に頼んだ様に、僕に直して欲しいことやして欲しい事もちゃんと言って?僕らは夫婦なんだから。」


「・・・はい、ルディ。」


そう返事したら柔らかい微笑みに抱き締められて何度も何度も口づけを交わしてそのまま二人ベッドに倒れこみ甘く長い時間を過ごした。

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