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第二話:記憶手繰り

「なに!?オヤジをやった!?」

「はい…」

 おいおい…マジか…?

 これは二ヶ月前の記憶である。

 突然少年がこの事務所に来、「親父を殺した」と言うのだ。

 …普通人を殺したなら、警察に行くべきだろうが…逃げる気ではあるまい。でなければ、人に「人を殺した」と言うはずがない。だが、ここは一応この子に進言しておくべきだろう。

「キミ、まず警察に行くのが先なんじゃないか?」

「キミ、じゃない!俺は樹陀(きだ) 正吉(まさよし)だ」

「じゃあ、樹陀君、どうして先に警察へ行かなかった?分かってると思うけど、ここは逃がし屋じゃないよ?それにこのままじゃ警察がそのうちここに来て、ややっこしいことになると思うし…」

 最悪この事務所が潰れ兼ねない。それにこの子の心証まで悪くなる…。

「分かってる。でもどうしても、親父の仇が討ちたいんだ」

「あれ?殺したの君じゃ…」

「ああ、それは俺だが、理由なしに殺したんじゃない」

 理由なしに殺したわけではない…?とすると親父さんが病気になっていて、苦しそうだから殺したが、その病気は違う誰かによって起因したことで、その人物を探して欲しい…とかそうゆうことか…?

「親父は、騙されたんだ…!アイツに…!」

 正吉は、ぎゅうと握拳を握った。

 所長はその様子を見て、神妙に言い放った。

「何か、ありそうだね…」

 所長は恐ろしく勘が良い。何かウラを感じたようだ。

「いいよ、どんな依頼内容でも受ける。まあ探偵から外れたことは出来ないけど。何を私達にして欲しいのか…話してみて」

「…ありがとうな…感謝する」


 ……


「いいんですか?こんな無茶な依頼聞いて…」

 僕は先ほど依頼内容をまとめたレポートを見ながらお茶を入れながら、デスクの前に座っている所長に聞いた。

「いいのいいの。探偵のスキル上げるもんだと思えばね」

「はぁ。そうですか?」

 所長、一度でも探偵らしいこと、したことあるんですか;

 …とりあえず内容を確認しておこう。僕がしっかりしなきゃな。


 依頼人:樹陀 正吉

 親を殺害したと言うが、まだ確認は出来ていない(※恐らくこの依頼人の依頼を果たさなければ、諸事の事情で確認は不可能と思われる。よってこれは重要ではない)。


 依頼内容:違法に働かせ、お金を払わなかった業者、及び社長を調査し、依頼人、並びに依頼人の父に謝罪させ、法的に罰せるようにする。


 報酬:摘発する業者の規模による。


「結果から見ると悪い話じゃ、ないんだけどね〜…」

 小さな会社であろうとも、まあ300万、500万くらいは貰えるだろう。それにウチの事務所は所長とこの僕の二人だけ。つまり、最低でも150万を一挙に貰えるのだ。割に合わない高額収入だ。

 が、そうゆう仕事がボツボツとあるだけなので、案外事務的に、また消えるかも。

 因みにその依頼人、正吉君だが、この事務所のソファで眠っている。僕が所長に、「帰すのは危険だ」と言ったからだ。

 今帰せば、殺人容疑で捕まる可能性があったからだ。しかし確認も証拠もないことなので、正吉のあられもない嘘である可能性も、決してなくはない。

 それでも僕らは、彼の依頼を受けた。

 がしかし…とりあえず最低、正吉の父さんが本当に死んでいるのか確認しなきゃな…。とりあえず依頼に動くのは、それからだ。

「でも、まさか親殺した人の依頼を受けることになるとはねぇ…」

「…ユキヒトくーん、お茶まだー?」

「あ、はいはい、ただいま」

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