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第6話:一秒先の景色

お読みいただきありがとうございます! 遙 カナタです。

第4話での「わからせ」、いかがでしたでしょうか。

執筆初心者ながら、主人公・葉月の圧倒的なロジックをどう描くか、一文字ずつ悩みながら絞り出しました。

今夜の第5話は、伝説の指揮官(OUKA)の「正体」が明かされる重要なエピソードです。

なぜ彼は最強でありながら、死んだような目でゲームを見ているのか。

姉・Mintyが語る、彼がかつて勝利の代償に失ったもの。

そして、その「深淵」を知った三人の少女が出した、不器用で熱い答えとは。

初心者の挑戦、ぜひブックマークや評価(星★)で応援していただけると、執筆の大きな支えになります!

それでは、第5話――「空っぽの怪物」をお楽しみください。

「……夜も遅い。今日は一つだけ、お前たちの『無知』を自覚させて終わる」

 三人は、固唾を呑んでモニターを注視している。

「ねね。北西、三〇〇メートル。あの赤い屋根の平屋……あそこの不自然さに気づけ」

『えっ? えーっと、誰もいないよ? ドアも閉まってるし!』

 のんきなねねの答えに、俺は冷たく言い放った。

「その家の裏、納屋の横を見てみろ。本来スポーン(出現)するはずのない場所に車両が止まっている。……誰かが乗り捨てて、家の中に潜伏している証拠だ。レイ、あの窓枠の左端にレティクルを置け。三、二、一。――今だ」

 俺のカウントに合わせて、レイがトリガーを引く。

 次の瞬間、エリア収縮パルスに追われて窓から飛び出そうとした敵が、自ら弾道に飛び込むように砕け散った。

『――っ!? 当たった……! なんで!? 索敵アイテムも何もないのに!』

「アイテムなんて頼るな。……今のパルスの収縮速度、車両の向き、そしてあの家がこの付近で唯一の遮蔽物であること。……敵はあそこに『いなければ死ぬ』状況だった。それだけだ」

『……逆算。……パルスそのものを、敵を追い立てる猟犬として使っているの……?』

 ほむらの声が、戦慄で震えている。

「……弾を当てるのは作業だ。当てるための『準備』ができていないお前たちは、ただの動く標的に過ぎない。明日までに、今日のリプレイを一〇〇回見直せ。――解散だ」

 言い終えると同時に、俺は逃げるようにマウスを走らせ、ボイスチャットの切断ボタンを叩いた。

 プツッ、と。

 三人の返事を聞く前に、ヘッドセットからノイズが消える。

 急に静まり返ったリビングで、俺は自分の放った「時間の無駄」という言葉のトゲを思い出し、熱を帯びた脳を冷やすように溜息をついた。

「……お疲れさま、鬼コーチ。初日から飛ばしたねぇ」

 背後で、姉貴がプシュリと三本目の缶ビールを開けた。

「……別に。あいつらが無知すぎるだけだ」

 俺はキーボードから手を離し、背もたれに深く体を預けた。

 熱を持った脳が、少しずつ冷えていく。

「で、どうだい。あのアタシが選んだ三人の『素材』は。……正直なところを言いなよ」

 姉貴の探るような視線。

 俺は目を閉じ、三人のプレイ、そして先ほどの短いやり取りを脳内で再生した。

「……バラバラだ。エイムだけの(レイ)、理屈に溺れる臆病者(ほむら)、そして何を考えているか分からん天然(ねね)。……普通なら、一週間で解散だな」

「あら、手厳しい。……でも?」

 姉貴がニヤリと笑う。俺は目を開け、窓の外の夜景を見つめた。

「……あいつらは、俺に『楽しい内容で勝たせる』と言った。あんな不合理な言葉、五年ぶりに聞いたよ」

「ふふ、あの子たち、アンタの深淵(しんえん)に臆さず踏み込んできたもんね。……で、どうだい。あのアタシが選んだ三人の素材は」

 姉貴がニヤリと笑う。俺は目を開け、窓の外の夜景を見つめた。

「……バラバラだ。エイムだけの猪、理屈に溺れる臆病者、そして何を考えているか分からん天然。普通なら、一週間で解散だな」

「あら、手厳しい。……でも?」

「……伸び(しろ)だけはある。特にあの『ねね』だ。あいつ、俺が指示を出す一瞬前に、無意識でマウスを振ってやがった。……野生の勘か、それとも天性の『待ち』の才能か」

 俺は、マウスを握っていた右手のひらをじっと見つめた。

 さっきまでの、あの三人を導くための極限の集中。

 姉貴と二人で作業のようにチャンピオンを獲っていた時とは違う、「誰かに正解を教え、共に勝つ」という未知の刺激に、指先が微かに熱を帯びている。

「……まあ、勝たせてやるさ。あいつらが、あの地獄を『楽しい』と笑えるうちはな」


第5話までお読みいただき、本当にありがとうございました!

最強のコーチが抱える孤独を知り、それでも「楽しい内容で勝たせてやる」と言い放ったレイ。

三人が初めて、葉月という一人の人間に向き合った瞬間……。

初心者ながら、書きながら鼻の奥がツンとしてしまいました。

「……なら、まずは全員マウスから手を離せ」

彼女たちの覚悟を受け、止まっていた彼の回路が、ついに動き出します。

明日の第6話からは、いよいよ伝説の指揮官による「本物の実技指導」が始まります。

続きが少しでも気になったら、下の【☆☆☆☆☆】から評価(星★)や、ブックマークをいただけると、初心者の僕にとって唯一の救いです!

明日も20:00に更新予定です。

また明日の戦場(更新)でお会いしましょう!

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