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遥か彼方のフェアリーステラ  作者: るてーあ


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11/12

11 "来客" 上

11話ペタペタ。

最初はめっちゃみじかかったはずなのになぜか2分割するまでに。

「試験が終わったからと言って気を抜くなよ。嘘か本当かはわからんが、他校じゃ訓練中にファンタジアの群れとかち合ったとかいう話しで大騒ぎになってるらしいからな。えーっと……連絡や注意事項はこんなもんか。じゃあ今日も一日がんばれよお前ら」


減給で許されたらしい鶴城宮鉄次先生、つまり私たちの担任の筋肉中年のゴリ先が朝のホームルームの終わりを告げる。

気を抜くなと言いながらも眠そうな目をしていたゴリ先が出席簿を持って教室を出ていった。

どの口が言っているんだと思いながら、皆、その後姿をただ見送る。


ゴリ先がいなくなった教室内はどこか気だるげだった。

ぼんやりしている眺めているクラスメイトもいれば、ゆっくりと朝一の授業の教科書やノートを机から取り出す者もいた。

席がそれぞれ離れていた大葉綾香、秋津寺萌花、小山田心心愛、石上凜は全員腕を組んだり、肘をついて俯いていた。ぴくりとも動かない。どうも寝てるみたいだ。

窓際の席で頬杖をついて曇り空を眺めながら一限目の授業の開始を私は待っていた。


「ああ、そうだ。忘れてたわ」


先ほど教室から出て行ったばかりのゴリ先がまた戻ってくる。

教室の出入り口で半分だけ体を見せ、視線は教室中を見回しながら


「大葉綾香、小山田心愛、石上凛、秋津寺萌花、起きろー。白峰は……起きてるな。大葉綾香小隊。今から俺と一緒に職員室にこい」


「……え、どうしてです?」


首を傾げ私は聞き返していた。


「先生に口答えすんじゃねえ、っていってもわからんでもない。すまんな、元々読んで来いって言われてたんだが忘れてたんだわ。俺も詳細は聞かされてない。とりあえず朝のホームルームが終わったらお前らに職員室に来るように、ってことづかってたんだよ」


大きく開けた口を手で隠したり、目元を擦る四人を連れ、仕方なく私はゴリ先の後をついて廊下を歩く。

私たちの小隊がテスト結果で怒られる以外で朝から呼び出されるなんて初めてのことだ。

試験評価が出るのはいつも一週間後だから試験結果のことではないはずだ。


私は首をひねる。


だとしたらわざわざ職員室に呼び出すなんて何の用だろうか。

試験での話はもう終わってるし、試験から今日までなにかあったわけでもない。


「……失礼します」


「「「「失礼しまーす……」」」」


私たち五人が通されたのは職員室ではなく校長室だった。

校長室は校長先生の事務机の他に中央に来客用のテーブルとソファーが置かれている。

ノックするゴリ先を先頭にして、戸惑いながらも校長室に入った私たちは校長の他に二人の先客がいることに気がついた。


私たちが入ってくるのと同時に大きな黒革ソファーから立ち上がったのは、二人の別々の学校の制服を来た女の子だった。


一人は中肉中背で髪はショートカット、目元に鋭さを感じる少女で、時折もう一方を立てるような所作を見せている。

そして片方から配慮されているもう一人は腰辺りまで伸びた長い髪、垂れ目で美しいというより愛嬌があるといったほうがいい顔立ちをした小柄な少女だ。


どちらも最近テレビで見た顔。そして片方は誰よりもよく知っている顔。


自然に自分の視界が狭まっていくのを私は感じた。


私たちが入口で固まっていると自分の豪華な机から立ち上がった校長が私たちを歓迎した。


少し小太りだが髪型服装きっちりとした壮年の男性だ。


普段関わる人間ではなく校長がどんな性格をしているかなんてわからないが、人の良い気さくな人であるらしい。


逆に欠点として、ことを荒立てるのを嫌い、少々隠蔽気質もあるのだとか。


人好きしそうな顔で穏やかに微笑みながらこちらへ歩いてくる姿を見たとき、先輩から聞いたと凛や心愛が言っていた言葉を思い出した。


「わざわざすまないね」


校長がにこやかに口を開いた。


なぜここに呼ばれたのかわからない皆が困惑した目を向けていることに気づくと、わかってるわかってると言いたげに先客にも顔を向ける。


「朝から君たちを呼び出したのは他でもない。昨日この子たち、いや、失礼、この方々から君たちを紹介してほしいと連絡を受けましてね。君たちも知っている子のほうが多いかもしれない」


自衛隊学生部北陸学生選抜小隊隊長龍仙ミカゲ、副長比咩ヒサメ。


校長から改めて紹介され、二人は小さく会釈する。


皆も慌てて頭を下げる。


「えと、一年Bクラス大葉綾香です」「1B秋津寺萌花です」「1年Bクラス石上凛です」「1B小山田心愛です」


「……」


「最後が皆と同じで1年Bクラス白峰きくりさんね」


少しの静寂のあと、龍仙ミカゲの隣にいた比咩ヒサメがあとをつぐように口を開いた。


私が龍仙ミカゲを嫌っていることを知っている大葉小隊の四人がいやーな顔をしてこちらを見るし、校長はにこやかな笑みを顔に貼り付けて固まっていた。


ゴリ先は最初なにか言おうとしたようだったが言葉を飲み込んだまま、首をかしげて私を見ている。


私が来客をどう思っているか校長室全員に伝わったようなのでこれ以上なにかいうこともない。


龍仙ミカゲはほんの少し不快そうに目を細めて私を見た。


そんな目で見るのはやめてほしい。


ちょーっとあなたのことが気に入らないだけなのだ。


そんな中、ミカゲとは真逆で楽しそうな笑顔を作る比咩ヒサメが校長へと目を向けると、


「校長先生、挨拶も済みましたし、立ったままってのも落ち着きませんし」


「! あ、ああ、そうだね」


校長が皆にソファーを勧めると同時にゴリ先が校長室を出て行ったので、もしかしたら全員が座れないことに気づいたのかもしれない。


いや、そこまで気が利けば試験中にあんな醜態は晒さないか。


ミカゲ、ヒサメの対面に綾香、心愛、萌花を座らせ、私と凛は三人の後ろに立った。


不愉快そうなミカゲに小隊の皆は緊張し、冷たそうな印象のヒサメの軽い言動にも困惑もしているようだ。


それで、この状況、誰が説明してくれるのかしらね。


いいやんと思ってもらえたらうれしい。



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