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シンデレラ・ベート ~学園劣等生が覚醒する時~  作者: サイトウ純蒼
第四章「さよなら、ベート」

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82/82

82.the day will come.

 新生オリジンであるシンデレラ・ベートが、同じく新たに就任した魔獣王レイ・エレガントを討伐したニュースは、あっと言う間に大陸中に広がった。


「オリジン、万歳!!!」

「シンデレラ・ベート、万歳!!!」


 顔も知らない民達がその偉業を称える中、その新生オリジンが今どこで何をしているのかは一切公表されなかった。ベールに包まれたオリジン。だが皆は人族の勝利に酔いしれた。




「ミリザ、いいのか?」


 ユウキが帝国城で後片付けをするミリザに尋ねる。


「いいって、何が?」


 額に汗を流し、一生懸命壊れた瓦礫を撤去するミリザ。あの戦いから数週間、ミリザは一心不乱に帝国城の再興を手伝っている。ユウキが心配そうな顔で答える。


「いや、だってずっと働きっぱなしだし、オリジンパーティのミリザと言えばもうどこへ行ったって歓迎されるだろ?」


 事実、魔獣王を打倒したオリジンパーティは各国で大変な歓迎を受けた。モモコもサーマルト王国へ、キャロットもフォレスト王国へと帰っている。ちなみにこの頃から彼女らの二つ名『恋する聖女様』とか『他力本懐』と言った名が付き始めている。ミリザが少し笑いながら答える。


「じっとしているとダメなの。思い出しちゃってね」


 ユウキはその言葉を聞き黙り込む。あまりにも酷い最後。苦労して苦労して苦労して辿り着いたその場所。それがこんな酷い光景を見せてくれるとすれば、神などこの世に必要ないとユウキは思った。



「ねえ、ユウキ。ひとつお願いがあるんだけど」


 ミリザからのお願い。その初めての言葉にユウキが全身の喜びを感じながら答える。


「何だい? ミリザのお願いなら何だって聞くよ」


 それは妹エリザベスとて同じこと。救われた。ベートにミリザに、みんなに。そのお返しができるならば何だってする。ユウキはずっとそんな機会を待っていた。ミリザが言う。


「そう? モモコとキャロットにはもうお願いしているんだけど、実はね……」


 ミリザの話を聞き、ユウキは心が熱くなるのを抑えきれなかった。







 そして、三年の歳月が過ぎた。



「お疲れ~、みんな」


 バルッサ帝国と魔獣国との国境。天を貫くダガレスト山脈を前に、ミリザが皆に言う。


「いよいよこれから魔獣国に入ることになるわ。残りはここだけ。だけどすっごく広いからみんな覚悟しておいてね!」


「了解!!」

「わ、分かりました~!!」

「大丈夫だよ、ボクが居れば」


 巨大なハンマーを肩に担ぎ、ミリザの隣に立ったユウキが言う。



「この先に居るのかな、ベートは」


 ミリザが魔獣国を前に大きく頷いて答える。


「いるよ。絶対にいる。だってずーーーーっと感じているんだもん。ベートのマナを」


 レイ・エレガントにベートが消されて二年半が過ぎた頃、ミリザは突如彼のマナを感じ取った。

 純粋無垢なマナ。圧倒的に澄んだマナ。きっとベートはいる。この世界のどこかにいる。だからみんなと約束をした。いつかベートを探す旅に一緒に来て欲しいと。



「でも~、新しい魔獣王が即位したって聞いたよ~、大丈夫かな……」


 レイ・エレガント敗北後、しばらく動きがなかった魔獣国。ここ最近になって新たな王が即位したとの噂が流れている。心配するモモコにキャロットが言う。


「大丈夫だよ、モモコ。ボクがそんな奴、一瞬で消してやるよ!!」


「ありがと、キャロットちゃん!」


 ユウキが言う。



「そうだな。きっとここにいる」


 この半年で人族の国はすべて探した。隅々までベートの姿を探した。残るは目の前に広がる魔獣国のみ。神秘とベールに包まれた敵の本拠地。ミリザが言う。



「じゃあ、みんな。行くわよ!!」


「はい!」

「おう!!」

「了解っす!!」


 ミリザを先頭にオリジンパーティが歩き始める。オリジン無きオリジンパーティ。その主役を取り戻すために。



(待ってて、ベート。必ず私が探し出してあげる、絶対に!!!!)




 ――大好きだ、ミリザ。また会おうな



 ベートが残した最後の言葉。その言葉を胸にミリザは獣族蠢く新たな国へと歩み出した。

今話にて完結となります。

最期までお読み頂きありがとうございました!

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