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シンデレラ・ベート ~学園劣等生が覚醒する時~  作者: サイトウ純蒼
第三章「誇り高き屍が遺したもの」

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46.キャロットの秘めた能力

 生前、仲間と共に散ったこの地で、再び剣を振るうことになったマーベルト侯爵。運命の悪戯か、必然か。だがそんな()()も、彼の血に刻み込まれた『人族殲滅』のめいの前に跡形もなく消え去っていた。とにかく目の前に現れる人族を倒す。その状況を上手く作り上げたマーベルトの作戦勝ちであった。

 無双するアイマスクの紳士。不思議と懐かしさも感じる謎の紳士を見つめていたベートに、レザが彼らの対処を命じる。ミリザがそんな言葉を無視してベートに尋ねる。



「でもベート。やっぱりあの禁術を見逃す訳にはいかないわね。どう? 勝てそう??」


 ベートが大量のアンデッドの群れを見て唸って答える。


「うーん、数が少なければな、何とか……。やってもいいが相当時間掛かるぞ……」


 対個人の戦いを得意とするベート。複数体相手にはやや分が悪い。何よりあのアイマスクの紳士。相当な手練れである。



「ベー太、ボクに任せてよ」


 そんなふたりに白のフードを深くかぶったキャロットが声をかける。振り返るベートとミリザ。苦笑して言う。


「何を任せるって?」


「あれに決まってるだろ? エルフ達が勝つのは嬉しいけど、あれはここに居ちゃいけない存在。ボクが消し去るよ」


 そう言ってアンデッド達を見つめるキャロット。思わず顔を見合わせるベートとミリザ。そして問う。



「どうやって?」


「どうやってって、言ったろ? ボクは全属性の広域攻撃が得意なマナ使い。そうだな、あいつらには光のマナがいいかな」


「……」


 ミリザが言う。


「だから気持ちは分かるけど、あなたの微量のマナじゃあれだけの敵を……」


 両腕を空に上げ、キャロットが詠唱を始める。


「森羅万象を源にせし()()()の光のマナよ……」


「ちょっと、キャロット! 人の話を聞いているの!?」


 堪らずミリザが言う。だけどキャロットはくすっと笑い、ベートの顔を見て言う。



「ボクのマナじゃないよ。ベー太、お前のを()()()んだ!!」


(え?)



「……光雨となりて敵を消滅させん」



「ぐがっ!? なんだこれ……」


 刹那、ベートが強い脱力感を覚える。立っていられないような衝撃。思わず片膝をつき息を荒くする。驚いたミリザが声をかける。


「だ、大丈夫!?」


「ああ、大丈夫。痛みはない。ただ、マナが()()()()()……」


 脱力感。全身のマナが、まるで強力な磁石によって引きつけられた砂鉄のように吸われていく。初めての経験。対照的にキャロットの顔は自信に満ちている。



「え? 何あれ!?」


 ミリザがそう言って見上げた大空。そこにはまるで満天の星空のように光のマナが散りばめられ、輝く強い光を放っている。


「綺麗……」


 思わずモモコが口にする。幻想的な光景。皆がその美しさに心を奪われる中、キャロットが天に向かって叫ぶ。



「貫け!! 天より注ぐ光の雨(ライトニング・レイン)!!!!」


 空を埋め尽くす光のマナが強く輝き出す。同時に輝ける光達が一直線に地面に向かって落ち、アンデッドの体を貫き始めた。


 ドン、ドドドドン!!!



「グゴオオオオオ……」

「ガガアアアア……」


 まるで矢のような光の雨。ベートや兵士達には無害だが、アンデッド達には強力な光属性攻撃となってその体を破壊して行く。



(これはまずいですね……)


 さすがのマーベルトも今はアンデッド属性。高レベルの光のマナには抗えず、持っていた剣で振り払い後退を余儀なくされる。

 全滅。あれだけ猛威を振るっていたアンデッドの群れを、キャロットの光マナの攻撃は一瞬で消し去ってしまった。あちこちで崩れ、砂となって消えるアンデッド達。それを見ながらベートが言う。



「すげえ、お前、一体何をしたんだ……」


「何って、ほら言ったろ? ボクは全属性の広範囲攻撃が得意だって……」


 後の世に、オリジンパーティのメンバーで『他力本懐』の二つ名で呼ばれるキャロット・フランソワ。

 信頼する他者のマナを拝借して攻撃をするそのスタイルは、言ってみれば『人の褌で相撲を取る』戦い。ベートと言うマナ量お化けに出会ったことで、キャロットは能力以上の力を発揮することができた。ミリザが言う。


「よ、よく分からないけどすごいわ!!」


「ま、まあね……」


 そう言いながらふらつくキャロット。モモコ同様多発は難しいようだ。




(一体何が起きたというのです!? 敵にどんな使い手がいる? とはいえ私の目的はひとつ……)


「敵将の首を取ること!!!」


 部下の全滅を前にしても、微塵たりとも勢いが衰えないマーベルト。剣を振り上げ、退却しようとする王国軍に迫り来る。レザが言う。



「べ、ベート!! お前が殿しんがりをやれ!!! 俺を守れ!!!!」


 どこまでも自分勝手。どこまでも低俗な相手。だがベートはアイマスクの紳士をじっと睨み、ミリザ達に言う。



「やってやるよ。ああ、やってやるよ。あいつの為じゃねえ。なぜだか知らねえけど、本能が戦えって騒いでいるんだ。お前らは逃げろ」


「ベ、ベート……」


 尊敬する師ヴォルトを彷彿とさせる剣戟。ベートは純粋に拳を交えてみたいと思った。

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