雨粒を編むひと
掲載日:2026/02/01
怪獣は冷たかった
呼吸の度に酷く汗が吹き出して
首筋に蛞蝓みたいに這う
カサついた指先が紫ずむ
ヒビの割れた爪を隠したくて
せめてパールを飾ってみた
マグネットネイルみたいになればいいのに
怪獣の心拍が地響きのように唸る
それを聞きながらグレーの糸で曇を編んだ
痺れたように全身が重い
それでも手を動かすのをやめられない
これが唯一の安息だから
編んだ端から雫が一滴垂れ落ちる
負の感情が滲み出た雫が
ポツリ
深呼吸をした深く
気楽な呼吸が肺の底で笑う
怪獣が低く笑って目を閉じた
そのまま眠るつもりかもしれない
曇になった編み物から雫がまた
落ちる
ポツリ
ポツリ




